鈴木伸一選

2006年11月15日上毛新聞掲載


夕焼けに母と散歩の赤い道
前橋山王小5年 南雲 彩歌
【評】夕焼けに赤くそまった道を、南雲さんとお母さんが楽しそうに歩いてゆきます。読者も、いつの間にか幸せな気分に包まれる俳句です。
秋の風木の葉がゆっくりまいおりる
高崎城山小5年 薄井 裕樹
【評】秋風だから、木の葉もゆっくり舞い降りるのです。冬の強い風だと、こうはいきません。その季節に特有の表情を、よくとらえました。
赤トンボいつも見かける通学路
高崎城山小6年 高橋 悠汰
【評】同じ情景に慣れてしまうと、そこからはもう感動は生まれてきません。この句のように、日常の中で感動できる心を大切にしたいもの。
秋の空雲一つない正直さ
前橋桃川小6年 青木 晶子
【評】晴れ渡り、どこまでも青一色の秋空の印象を、「正直」と表現したのがいい。青木さんの人柄も、自(おの)ずとうかがい知ることができます。
体育着でいると寒くなってきた
前橋桃川小6年 古市 隼人
【評】事実をそのまま書いただけのようですが、よく読むと、これは心理的な寒さでもあると思えてきます。そこが俳句のおもしろいところ。
秋の風葉っぱの色を運んでる
前橋桃川小6年 高柳亜理沙
【評】赤や黄色や茶色など、秋風がそれぞれの木に合った色を選んで、配達しているような感じ。高柳さんは、すてきな想像力の持ち主です。
大仏の頭の後ろに秋の空
榛東南小6年 大熊純一郎
【評】鎌倉の大仏の俳句は、どうしても「大きくておどろいた」といった感じになりがち。この句は、後ろの秋空に着目したのがよかった。
江ノ電のまどから見た海寒そうだ
榛東南小6年 一倉 有紀
【評】曇りか雨かは分かりませんが、「寒そうだ」という一言に、晴れを期待していた一倉さんのがっかりした気持ちが感じられるようです。
秋空に大きな飛行機飛んでゆく
六合中2年 小島進之助
【評】澄み渡った秋空を飛ぶ飛行機は、実際より大きく感じられるのかもしれません。空を飛ぶことへのあこがれも、自ずと伝わってきます。
秋らしく光っているや秋の空
高山中2年 小林 拓人
【評】どのように光れば秋らしいのか、実はよく分かりません。が、俳句に書かれると、確かに秋らしい光が感じられてくるから不思議です。
秋の朝ないかと思う窓ガラス
渋川小野上中2年 小野 敦也
【評】さわやかに晴れた秋の朝。室内の空気も澄み切って、まるで窓ガラスが無いと感じられるほど、外の風景がくっきりと見えるのです。
銀色に光る雲に冬せまる
渋川小野上中2年 佐藤 史佳
【評】季節の推移に伴い、私たちを取り巻く自然の表情が変化してゆく様子を、しっかりとらえています。銀色の雲は、確かに冬の前ぶれです。
静けさに歌を歌って秋の夜
渋川小野上中3年 野村  楓
【評】静かな秋の夜に口ずさむのは、詞もメロディーも心にしみ渡るような歌でしょう。こんなときは、ちょっと感傷的になるのも悪くない。