鈴木伸一選

2006年12月27日上毛新聞掲載


冬の夜明るく光る家のまど
前橋大胡小5年 神山 真由
【評】たくさんの家の窓が明るく光っている情景って、本当に美しいですね。見ているだけで、何だか心があたたかくなってくるようです。
秋の山着がえおそくてすみません
下仁田小坂小5年 松本 美咲
【評】秋になっても、赤や黄色になかなか色づかない山を、着がえが遅いと表現しました。「すみません」に、ユーモアがあっていいですね。
ビュービューと木がらし吹けば木がおどる
赤城養護小児医療センター分校小5年 大関  彬
【評】木がらしに吹かれる木は寒そうだ、というのでなく、楽しげに踊っている、と感じたところがいい。こういう感性が俳句には大事です。
僕達の通学路にも冬が来た
前橋桃川小6年 田部 竜憧
【評】俳句を続けていると感性が豊かになり、田部君みたいに、日常生活の中にも、季節感を自然にとらえることができるようになるのです。
冬の朝猫といっしょにひなたぼっこ
高崎堤ヶ岡小6年 中曽根莉子
【評】ただでさえ暖かいひなたぼっこに、ネコに対する中曽根さんの愛情がプラスされて、暖かさが何倍にもふくらんでいる感じがします。
セーターの毛玉を取って冬思う
渋川小野上中1年 斉藤 結衣
【評】セーターの毛玉取りって、一旦始めると、つい止まらなくなったりしますね。そんな他愛ないことに熱中するのも、ときにはいいもの。
澄んだ空遠くへ飛んでくコハクチョウ
高山中1年 倉沢 一人
【評】コハクチョウは、オオハクチョウより、やや小型。大ざっぱにハクチョウとせず、ていねいに種類名まで書いたのがよかったですね。
初雪に耳を澄ませて歩いてく
渋川北中2年 藤田 尚実
【評】じっと耳を澄ますと、雪の降るかすかな音が聴こえてきます。たいへん清浄な雰囲気に包まれた俳句で、読者の心も洗われるようです。
落葉散り友達ひとり待つあの木
渋川北中2年 武本 莉奈
【評】落ち葉する木の下で、だれかをじっと待っている友達。そのだれかとは、作者であったかもしれません。物語を感じさせる俳句ですね。
枯れていく木々をみていた日曜日
中之条中2年 戸塚眞太郎
【評】身のまわりの自然の変化に目を凝らし、冬の季節感を全身でとらえている作者。こんなふうにして過ごす休日があってもいいですね。
冬の朝いつものように顔あげた
中之条中2年 高平 彰子
【評】登校時の一こまかと思いますが、空を見上げることが、作者の日課のようになっているのでしょう。今日の空は、どんな表情でしたか?
通知票吹きとばしてよ冬の風
中之条中2年 安済 里佳
【評】作者と同じ思いは、多くの人が持っていることでしょう。それがかなわぬ願望だということも、同じくだれもが承知しているのですが。
年の暮携帯の中メール消す
高崎片岡中3年 茂木 瑞葵
【評】携帯電話の中にたまったメールを消去しています。いかにも現代的な情景ですが、歳末の季節感はちゃんととらえられているのが見事。