鈴木伸一選

2007年1月17日上毛新聞掲載


家ぞくでねあしもなかいいこたつの中
渋川津久田小5年 茂木 藍里
【評】こたつの中で仲よく並んだ足に着目し、ほのぼのとした家族団らんの様子を、うまく描きました。読者の心もあたたかくなる俳句です。
冬の道しろいガラスがいっぱいだ
沼田薄根小5年 桑原みきな
【評】雪や霜や氷。これらをひっくるめて、「しろいガラス」と表現したのでしょう。寒さの中に見つけた、冬ならではの美しい光景ですね。
雪がふる庭に冬鳥とんでくる
沼田薄根小5年 大嶋 克海
【評】雪の降りはじめでしょうか。家の庭に飛んできた冬鳥は、雪を喜んでいるようでもあり、反対に、どことなく心細そうでもあります。
雪化しょうまとった山は光りだす
高崎上郊小6年 井野 嘉博
【評】雪化粧した山は、日の光を浴びて、ますます清らかに美しく輝きだすのです。私の職場の二階から、真っ白な浅間山が見えましたよ。
走る今日秋風我を包みこみ
六合中1年 市川 昌樹
【評】校内マラソン大会などが思い浮かびます。全身に感じる秋風から、作者は走る力をもらっているかのようです。「包みこみ」がうまい。
霜柱新たな冬の音鳴らす
六合中2年 中村 真唯
【評】すがすがしい印象の作品。初霜が降りた日でしょうか。踏んだらザクッと音がして、その瞬間に、作者は冬の到来を実感したのです。
北風に百人一首の手がのびる
渋川小野上中2年 佐藤 史佳
【評】冬に百人一首の大会を行う学校も多いようです。外で吹いている北風の冷たさと、屋内の熱気との対比が巧みで、印象もたいへん鮮明。
星光る明るく冷たいクリスマス
渋川小野上中2年 唐沢久美子
【評】明るさと暗さ。暖かさと冷たさ。物事には常に、相反する面があります。クリスマスだって、いつも楽しいというわけではないのです。
夕暮れの時計の針が凍ってる
中之条中2年 安済 里佳
【評】寒さで、時間すら凍ってしまったかのように思える夕暮れ時。実際の寒さに心理的な寒さが加わることで、作品の深みが増しました。
冬空に明日の期待が満ちている
中之条中2年 唐沢 惇実
【評】冷たいけれど、どこか清らかな透明感のある冬の空。そこに明日への期待を見て取ったところに、凛(りん)とした若々しさが感じられます。
冬の霜ギシギシ何処へ急ぐのか
高崎片岡中3年 天井 莉奈
【評】「霜」は冬の季語なので、一般的には「冬」は不要。ただ、作者が内面の不安定な気分を強調するために、あえて用いたとも思えます。
イコールの先に行く前咳一つ
高崎片岡中3年 美細津吉泰
【評】数学の問題を解いているのでしょう。咳払いを一つしてから、おもむろに答えを導き出すというのです。いかにも受験生らしい感じ。
白い息吐いて縮まる冬の朝
高崎片岡中3年 菅原 隼斗
【評】白息を吐くたびに、身体が縮まってゆくというのです。とても寒い冬の朝の、どこか萎縮したような気分が、うまく表現されています。
北風が吹いて気付くと一人かな
前橋元総社中3年 東山 真衣
【評】私達は、ふとした拍子に深い孤独感を味わうことがあります。でも、それに顔をそむけず耐えることが、私達を成長させるのでしょう。
一面に星が散ってる冬の空
前橋元総社中3年 森嶋 彩生
【評】冬は空気が澄んでいるので、星々が無数のビー玉を散らばしたように美しく見えますね。そんな情景を、素直に表現したのが好印象。
年の暮部屋にこもってペンを持つ
前橋元総社中3年 奈良 朋美
【評】受験生には、年の暮も正月もないということでしょうか。「ペンを持つ」には、文学作品などを書いているような感じもありますが。