林桂選

2007年1月24日上毛新聞掲載


水族館にやりと笑ったエイのかお
前橋大胡小6年 長谷川明穂
【評】エイはその姿に似合わず、確かに笑っている顔を持っているように見えます。だから、「にやりと」には、恐怖感が表現されています。
秋の雨葉っぱにあたってうたってる
伊勢崎名和小6年 西村 南美
【評】歌ってるのは、葉っぱではなく「秋の雨」。どちらかと言えば、音を出すのは葉っぱと考えるように思いますが、この句では雨です。
北風に応援たのむ持久走
前橋桃川小6年 武井 美久
【評】「応援たのむ」というのは、具体的には後ろから押して走るのを助けてほしいということでしょう。走る前の一番緊張する時間帯です。
秋空にぽつんと太ようさいている
前橋桃川小6年 神村 成美
【評】太陽を「さいている」と表現したのがおもしろい。夏の暑さを失った、どこか孤独な感じのする太陽です。「ぽつん」も効果的。
ネコの手のにくきゅうさわるとつめたいよ
前橋桃川小6年 小林万由子
【評】冬を猫の肉球で知るという視点がおもしろい。大人にはできない発想です。猫好きで、いつも猫と遊んでもいるからできた句でしょう。
秋の空ボールをもって走り出す
高崎金古南小6年 宮地 研斗
【評】晴れた空のもと、元気にボール遊びに走り出すのです。「秋の空」と大きく場面を設定したことで、気持ちのよい句になりました。
クリスマス十一月から待っている
富岡南中1年 桐生 実咲
【評】街のクリスマスの飾り付けは早くなっています。街には十一月からクリスマスの雰囲気が漂っています。待つ思いが長くなるのも当然。
秋日和朝のめざまし目にしみる
富岡南中1年 桐生 実咲
【評】「目にしみる」がいい。目覚まし時計に起こされて、時計を見るときのまぶしさ。まだ朝の光になれていない目を表現しています。
ひえる朝家族がこたつにつかまった
富岡南中1年 磯貝 美優
【評】「つかまった」がおもしろい。コタツに入ってなかなか動き出せない、冬の朝の家族のようすをたとえていっています。
ストーブの前にいすわる兄どかす
富岡南中1年 北村絵梨香
【評】「兄どかす」に妹の強さが出ていて愉快。先にストーブの前をとったお兄さんも、妹の強さの前に権利を放棄せざるを得ないのです。
坂道の上の学校秋模様
中之条中2年 高橋 朋恵
【評】坂道を登るときの視線は、いろいろなものが見えてきそうです。「秋模様」は、そうした視線が見つけたものでしょう。
秋空にフワリとゆれる友の声
中之条中2年 関 万葉子
【評】「フワリとゆれる」声を、どのように具体的なイメージにしたらよいのか難しい句です。回想に浮かぶ友の声ではありそうです。
席かえて窓から見える青い空
中之条中2年 瀬川 隼矢
【評】席替えで窓ぎわの席になったのです。「青い空」には、新しい席での気分転換があります。もちろん、青空ばかり見てはいられません。
太陽がまだ空にいたいと泣いている
中之条中2年 竹渕 貴博
【評】夕焼けを、擬人化して詠んだものです。真っ赤になった空は、まだ沈みたくないと泣いている太陽の感情表現だというのです。
さざんかがぬれて光るや朝の風
渋川小野上中3年 丸山  唯
【評】ぬれて光っているのは、夜に時雨(しぐ)れたからでしょう。時雨を朝の光に代えて、風に輝くサザンカの花。清新な朝を感じさせます。