鈴木伸一選

2007年2月7日上毛新聞掲載


お正月もちを食べたり笑ったり
前橋山王小5年 沢田 章弘
【評】家族みんなでおもちを食べたり、テレビやおしゃべりで笑ったり。こういう小さな幸せが、本当は一番大切なものなのだと思います。
弟と田舎に泊まる冬休み
前橋元総社小5年 福島 佳歩
【評】はなれて暮らすおじいさんやおばあさんの家に、弟と二人でお泊まりに行ったのかな。きっと大切な思い出になったことでしょうね。
空見たら雪がいっぱい歌いだす
前橋大室小5年 白石 高浩
【評】空いっぱいに降る雪の様子が楽しげで、まるで歌っているような感じ。白石君もうれしくて、歌いたい気分だったにちがいありません。
授業中冬がまどべで私よぶ
前橋大室小5年 高尾 里奈
【評】冬の妖精が高尾さんを呼んでいるみたい。外はつめたいけれど、気持ちのいいつめたさ。休み時間になったら、思いきり遊びましょう。
おとし玉柱のかげでそっとみる
高崎城山小5年 吉川 和那
【評】袋の中は、やっぱり気になるものね。だから、この俳句には共感するけれど、あくまで「そっとみる」程度にしておく方がいいかも。
ほしたちがさわぎたくなる冬の空
榛東南小6年 金子 裕紀
【評】冬の夜空に、たくさんの星たちがかがやいています。澄んだ空気があんまり気持ちよくて、ついさわぎたくなるほどだというのです。
駅伝で赤黄に染まった落ち葉ふむ
榛東南小6年 戸部  要
【評】戸部君は学校代表として、駅伝に出場したのかな。赤や黄色に染まった落ち葉を蹴立(けた)てながら、さっそうと走る姿が見えるようです。
北風にマフラーすっと乗せてみる
富岡南中1年 田中 里沙
【評】北風にマフラーをなびかせているのを、「すっと乗せて」と表現したのでしょう。冬という季節と交信しているみたいで、いいですね。
帰り道空気がかるい冬の空
中之条中2年 湯浅 瞬樹
【評】晴れた冬の空は透明感があり、確かに空気も軽いような感じがします。もちろん、そこには学校帰りの気軽さも加わっているでしょう。
冬の日の放課後風が冷たいな
中之条中2年 中沢 萌香
【評】実際に風が冷たいのはもちろんですが、ここにはもう一つ、作者が心で感じている放課後のさびしさが重ねられているように思えます。
校庭に足あとくっきり凍ってる
六合中2年 中村 真唯
【評】この句のように、学校生活の中に季節感をとらえるというのは、とても大事なこと。だれの足跡なのか、いろいろ想像できるのもいい。
昼休み雪の鏡に影映す
六合中2年 山本香杏奈
【評】積もった雪が日の光を反射して、まるで鏡のようにきらめいているのでしょう。そこに映った作者の影も、たいへん清らかな感じです。
すきとおるつめたい空気ながれ星
館林一中2年 田口 恵利
【評】心の中までしみ込むように冷たく、それでいてすがすがしい空気を感じます。作者の精神がゆるんでいると、こういう句は書けません。
マフラーや赤信号の通学路
高崎片岡中3年 三森 亮太
【評】上五を「や」で切り、下五を名詞止めにするという正統的詠法ですが、読後の印象は、たいへん強い。生活実感が豊かだからでしょう。
弟の帰りが遅い日脚伸ぶ
高崎片岡中3年 名雲  麗
【評】「日脚(ひあし)伸ぶ」は、日が少しずつ伸びてきた感じを言う晩冬の季語。弟の帰りを心配しつつ、春の気配にどこか安堵(あんど)している感じの作者。
みかんむき口に入れると有頂天
高崎片岡中3年 佐々木賢人
【評】「有頂天(うちょうてん)」は本来、仏教の世界観をあらわす言葉ですが、現在は気分が舞い上がっているという意味が一般的。言葉って面白いですね。
寒月の下で数式口ずさみ
高崎片岡中3年 富田佐知子
【評】寒月の光を浴びて、数式を暗唱する作者。受験生には一番大変な時期ですが、そんな中にも俳句を忘れずにいてくれるのがうれしい。