林桂選

2007年3月28日上毛新聞掲載


節分で母さん豆の数教えない
前橋大胡小5年 大川 賢嗣
【評】律儀に年の数だけ豆を食べるお母さん。しかし、いくつ食べたかは、子どもにも教えないお母さん。人物像がよく描かれています。
朝の葉は氷の洋服着てるみたい
伊勢崎名和小6年 斉藤 晴香
【評】朝の冷え込みで凍りついた葉。冷たそうというのではなく、氷の洋服みたいだというのが新鮮。葉の体に合わせたオーダーメードです。
おには外家に福よび春が来る
高崎上郊小6年 宮沢 奏美
【評】節分の豆まきのようすです。家に福を呼び込むことが、そのまま春を迎える気持ちにつながっています。春は福にふさわしい季節。
妹のリュックサックに雪をつめた
中之条中2年 小渕 彩香
【評】お姉さんのいたずらなのか、雪を持って帰りたいと妹さんが言うのを手伝ったのかで、句の状況は変わります。後者の方が楽しい。
冬の夜けん玉をするお父さん
中之条中2年 唐沢 由弥
【評】「昔取った杵柄(きねづか)」という言葉がありますが、お父さんは、剣玉の得意な少年だったのでしょう。冬の夜に垣間見る父の少年時代。
太陽を片手に走る日曜日
渋川小野上中2年 中橋 重明
【評】「太陽を片手に走る」をどう解釈するかは、人によって違ってくるでしょう。また、明るい句か暗い句かも差がでてきそうです。
数式に春一番が吹き抜ける
渋川小野上中3年 飯塚 泰志
【評】「春一番」はひらめきのたとえでしょうか、混乱のたとえでしょうか。どちらとも読めます。後者の解釈の方がユーモラスでおもしろい。
早春の風を感じてペン握る
渋川小野上中3年 飯塚 泰志
【評】ペンを執って何を書くのかは書かれていませんが、「早春の風を感じて」で、自(おの)ずから推測がつきます。心弾む便りに違いありません。
軽やかに春へ進むや僕の影
渋川小野上中3年 飯塚 泰志
【評】春に向かう浮き浮きした気分を表現した句ですが、最後に「僕の影」に焦点をあてたところがいい。影が明るい表現に使われるのはまれ。
刻々と近づく卒業空青し
渋川小野上中3年 佐藤 大樹
【評】「空青し」に、中学三年間の充実した生活への思いが込められているようです。晴れやかな気持ちで、母校を巣立ちます。
制服のボタンとめたら春が来る
渋川小野上中3年 宮 ゆりか
【評】「制服のボタンとめたら」は、読者によって解釈が違いそう。新しい制服か、もう着ることのない制服かでも違ってきます。
ふでばこのすうすうとした入試かな
渋川小野上中3年 野村  楓
【評】「すうすうとした」が不思議な味わい。具体的には何を表現しているのか分からないのに、入試の持つ気味悪な感覚は伝わってきます。