林桂選

2007年4月25日上毛新聞掲載


やまやまがおきだしみどりぬってゆく
前橋山王幼年長 栗原 正明
【評】冬の山のようすを「山眠る」と言います。春の山を「おきだし」と表現した栗原くんは、冬の山のようすも観察できています。
きたかぜがふいてもへいきボールあそび
高崎城山小1年 山本かい人
【評】ボールあそびに熱中している体は温まっています。北風も、寒く感じません。「へいき」に元気な気持ちまで描かれています。
しんかんせんひざまづいてはしってる
前橋桃川小1年 いし田たかや
【評】新幹線に、ざぶとんの上でひざまづいている姿を見る友だちは少なくないようです。それなのに「はしってる」のです。おもしろい発見。
はるのつちみんながげんきにあそんでる
高崎国府小1年 あべなおき
【評】「はるのつち」に、元気なようすを見つけたのはすばらしい。動物や植物だけでなく、春は土から元気になるのですね。
白いいき学校いっしょにいきましょう
高崎国府小1年 しのはらあいりん
【評】寒さによる白い息もいっしょに登校する仲間にしてしまいます。元気な気持ちは、こうした場面の感覚の中にも現れてきます。
帰り道はっぱのうたでおどっちゃう
高崎国府小2年 すみやまほ
【評】「はっぱのうた」は、落ち葉をふんだときの音でしょう。その音の気持ちよさにひかれて、踊り出してしまいます。すみやさんも元気。
ろてんぶろけむりが風とあそんでる
高崎国府小2年 八木ゆうと
【評】露天風呂の気持ちよさは風を感じられるところ。そのときのいい気持ちが、風に吹かれる湯気に遊びの姿を発見したのでしょう。
なわとびをぴょんぴょんとんで大けやき
前橋大胡小2年 中町 琢朗
【評】大ケヤキは、校庭で生徒の姿を見守るおじいさんか神さまのような存在なのでしょう。なわとびの元気な姿を見守ってもらっています。
風がふくすきまをとおってあそんでく
前橋山王小2年 金井 みお
【評】どんな小さなすき間も見のがさずに入ってくる風。そのようすに遊んでる姿を見つけました。風にとっては楽しい遊びなのでしょう。
絵本作り自分の思い出よみがえる
前橋桃川小2年 青木菜々子
【評】自分の思い出をテーマとした絵本作りをしたのでしょう。心の中によみがえった自分の思い出が絵本の中に広がってゆきます。
ちきゅうぎはぐるぐるまわる春の風
中之条小2年 いいづかゆい
【評】正確には「地球儀をぐるぐる回す」でしょうが、一度回すと地球儀は自分の力で回っているよう。「春の風」の取り合わせが巧みです。
みんなでね元気にあそぶ春の空
中之条小2年 あべはるな
【評】「春の空」を感じながら遊ぶのですから、広い校庭や公園での姿でしょう。この句の空という広い空間は、春の喜びに通じています。
アスレチックみんなあそぶ春の風
中之条小2年 あらいかなこ
【評】いろいろなフィールドアスレチックの器具で遊ぶ友だちの元気な姿を、春風が応援するように吹き渡ります。春の喜びも感じられます。
すなぼこり東こうていでてくるよ
中之条小2年 すとうみなみ
【評】砂ぼこりの校庭。よく観察して「東こうてい」からはじまっていることを見つけたのです。つらい砂ぼこりも、大切な観察材料になります。
てつぼうで下みたらありがいた
中之条小2年 本嶋  涼
【評】どんなかっこうでぶら下がっているのでしょう。じっとしていて見つけたのです。アリもいつもと見え方が違っていることでしょう。
かがみもちみかんのぼうしでおしゃれする
高崎金古南小3年 すとうけいすけ
【評】鏡もちのミカンを「ぼうし」に見たてました。ぼうしなら確かにおしゃれなぼうしです。見方しだいで楽しいものが見えてきます。
つくしさん今日からいっしょにのびていこ
前橋新田小4年 斉藤 綾香
【評】伸び始めたツクシを見つけて応援の言葉をかけています。自分も頑張るという思いが重なっている「いっしょに」がいいですね。
玄関に小さな春が届いてる
前橋山王小4年 栗原 有加
【評】「小さな春」にたとえたものは何でしょう。読む人の想像がふくらんで楽しい句です。花のつぼみや新芽、春風などが思い浮かびますが。
こん虫がいろんなところでねむってる
前橋粕川小4年 小荷田拓巳
【評】冬の昆虫探しをしたのでしょう。成虫の姿で冬を越す昆虫は、かくれんぼするようにいろいろなところにひそんでいます。
北風は木立の中を走ってる
前橋粕川小4年 戸塚将太郎
【評】「走ってる」がおもしろい。いかにも「木枯らし」というようすです。木立の中を走り抜けてゆく北風のざわめきまで感じさせます。
かれえだのあじさいに緑のぼうしがのってるよ
前橋粕川小4年 戸塚将太郎
【評】新芽を伸ばし始めたアジサイのようすを、「緑のぼうし」にたとえました。アジサイの新芽の付き方をよく観察したからこそのたとえ。
しもばしら土の中でおんがくかい
前橋粕川小4年 みわこうき
【評】「おんがくかい」は、霜柱をふむ音から想像したものでしょう。突然土の中に誕生する音楽会は、霜柱をふむ楽しさを伝えています。
私の中に心が落ちつく春の風
前橋桃川小4年 竹井万友佳
【評】昔の人は、ときどき心は自分の外にさまよいでてしまうことを感じていたようです。自分の中に心が帰ってきてから感じる春風も格別。
菜の花に春のにおいがついている
前橋桃川小4年 須田 慶貴
【評】菜の花の匂いは、花の匂いだけではなく「春のにおい」もついていると感じたのです。季節の匂いまで感じ取ることができたのです。