鈴木伸一選

2007年5月16日上毛新聞掲載


春の風空に向かって泳いでる
高崎堤ヶ岡小5年 山田 夏加
【評】あたたかな春風にふかれていたら、気持ちが伸び伸びとしてきて、何だか空に向かって泳いでいるような感じになったのでしょうね。
つばめのすぼくの家にはもうあるよ
高崎堤ヶ岡小5年 寺沢  啓
【評】ちょっと自慢そうな「もうあるよ」という言い方が、とても楽しいですね。寺沢君の家では、今年もいいことがいっぱいあるでしょう。
しば桜しばふにぺったりあまえんぼう
高崎堤ヶ岡小5年 市毛  純
【評】地面に張りつくように広がってさくシバザクラを、うまく描きました。「あまえんぼう」と言われると、たしかにそんな気もしますね。
桜散りさみしくなった通学路
前橋大胡小5年 石井 晴菜
【評】サクラが散るのはたしかにさびしいけど、その後の若葉だって美しいものですよ。そう考えれば、毎日の通学がもっと楽しくなります。
春の風友達つれてやってくる
前橋新田小6年 片貝 託実
【評】春風が友達をつれてやって来たとも、友達が春風をつれてやって来たとも読めます。どちらも、春らしいあたたかな気分が伝わります。
誕生日今年も桜が咲き始め
前橋新田小6年 竹田 茉帆
【評】竹田さんの誕生日は、ちょうどサクラが咲き始めるころなのでしょう。サクラも誕生日を祝ってくれるようで、うらやましいくらい。
春雨はわたしといっしょに歌ってる
前橋粕川小6年 亀井 咲奈
【評】雨の日はうっとうしくていやだなあ、なんて思っていないのがすばらしい。亀井さんは雨の日の楽しさを、ちゃんと知っているのです。
のぼりぼうのぼって桜のかおりかぐ
下仁田小坂小6年 神戸  司
【評】学校生活を通して、春の季節感をとらえているのがいい。のぼりぼうを登った先に、すばらしい世界が広がっているような感じですね。
友達が一枚ぬいだら春が来た
下仁田小坂小6年 永井 友梨
【評】いっしょに遊んでいた友達が、着ていた服を一枚ぬぎました。何気ないそのしぐさに、永井さんは春の到来をぱっと感じ取ったのです。
春の空風やわらかく花がちる
高崎中尾中1年 渡邉 早紀
【評】俳句で「花」はサクラを指すのが通例ですが、それはさておき、この句の眼目は「風やわらかく」。作者の繊細な感性がうかがえます。
シャボン玉子供がきらきら笑ってる
高崎中尾中1年 木村 音哉
【評】笑う子供もシャボン玉も、春の日を浴びてきらきら輝いています。こういう幸せな光に満ちた世界を、大切に守ってゆきたいものです。
春の道雲がゆったり動きだす
高崎中尾中1年 樋口 拓哉
【評】作者が歩き出すことで、雲も動き出すように感じられるのです。「ゆったり」に、春らしい大らかな気分が、よくとらえられています。
青い空やわらかにとぶ白い蝶
高崎中尾中1年 高橋 凪央
【評】通常、「とぶ」を「やわらかに」と形容することはありませんが、この句を読むと、チョウにはぴったりと思えてくるから不思議です。
春の風大きく吸いこみ部活する
六合中2年 湯本 尚子
【評】学年が上がって後輩もでき、部活にもますます力が入る新二年生。そんなはつらつとした気分が、とてもよく伝わってくる作品です。
新入生あんな所に顔みしり
富岡南中2年 矢島 誠也
【評】新入生のことがあれこれ気になるというのは、私にも経験があるので、よく分かります。顔見知りの後輩となれば、なおさらでしょう。
いつからか春の話になっていた
富岡南中2年 石川 恵理
【評】友達や家族との会話が、いつしか春の話題へと変わっていました。それに気づいたとき、作者は春の到来をあらためて実感したのです。
若草のような気持ちで新学期
富岡南中2年 吉井 達哉
【評】伸びやかでういういしい印象の若草は、新学期を迎える気持ちを表すのに、ぴったりの言葉でしょう。この気持ちを、どうか大切に。
春の風陽気なリズムに乗る蝶よ
富岡南中2年 五十嵐祥子
【評】春らしいうきうきした気分が、風をことさらリズミカルに感じさせるのです。舞い飛ぶチョウも、そんな作者の気分を物語っています。
かけ足で通り過ぎてくランドセル
富岡南中3年 岡野 世奈
【評】具体的には書かれていませんが、このランドセルは、黄色いカバーをつけた一年生のものでしょう。その方が、印象に残りますものね。
春雷や天の鼓(つづみ)に応うべき
新島学園中3年 上原  茜
【評】能を習い、鼓もたしなむ上原さん。この俳句の、古格を踏まえた大人顔負けの端然たる立ち姿も、そうした素養によるものでしょう。
青空と平行になるこいのぼり
中之条中3年 小渕 結香
【評】颯々(さっさつ)と吹き渡る初夏の風を受け、大ぶりなこいのぼりが真っ直ぐに泳いでいます。その様子を、「平行になる」で端的に表現しました。
教科書もまだまだかたい春の朝
中之条中3年 新井実穂子
【評】折り目もあまりついておらず、表紙も硬い新しい教科書を通して、春の季節感をうまく描写。新学期の緊張感もうかがえるようですね。
君の影踏み踏み歩く春の暮れ
中之条中3年 山田 礼子
【評】わざと影を踏むのは、「君」とどこかでつながっていたいという思いゆえでしょう。そこには、淡い恋のにおいも感じられるようです。
春の空明日に向かって風が吹く
中之条中3年 塚田  妙
【評】似た作品はあるものの、明日への前向きな意志と健康的な青春性には、素直に共感できます。明日もきっといい日になることでしょう。