林桂選

2007年5月23日上毛新聞掲載


一年生黄色いぼうしが目をかくす
前橋桃川小5年 石田 真子
【評】大きめの黄色い帽子を目深にかぶり、緊張している一年生。帽子と目の関係に注目して、一年生の姿を描くことに成功しています。
桃木川空を見上げて春がある
前橋桃川小5年 奈良 布実
【評】明るい空に春を感じ取りました。空が大きく見える川岸にいるからこそでしょう。見上げるのも春の気分がさせたのかもしれません。
新しい友達生まれるクラスがえ
前橋桃川小5年 広沢 真人
【評】クラス替えでは、友人との別れを残念がったり一緒を喜んだりするのが多いのですが、広沢くんのような見方があってもよいはずです。
こいのぼりひらひらゆれるくすぐったい
前橋桃川小5年 長井萌々花
【評】こいのぼりを見ているうちに、こいのぼりの気持ちになっています。ゆれておよぐようすに「くすぐったい」思いを感じたのです。
春の風自転車のぼくなでてゆく
前橋桃川小5年 砂川  司
【評】春風の中を自転車を漕こいで行くのです。すると春風に触られたような感じがします。「なでてゆく」に春風らしさがあります。
東京はビルばかり空がせまくてきゅうくつだ
前橋粕川小5年 戸塚将太郎
【評】空に伸びたビルディング。下から見上げると、空が狭く見えます。「きゅうくつだ」に、東京に対する作者の違和感が描かれています。
たんぽぽが大きな空とにらめっこ
高崎堤ヶ岡小5年 山田 夏加
【評】花を真上に向けて咲くタンポポは、確かに空とにらめっこ。「大きな空」には、小さなタンポポをいつくしむ思いも隠れています。
弟のランドセルにはゆめいっぱい
前橋山王小5年 栗原 有加
【評】新入学を迎える弟さん。小学校での新しい生活に胸をふくらませています。「ランドセルには夢いっぱい」で、うまく表現しました。
弟が花びら集める桜の木
前橋山王小6年 南雲 彩歌
【評】散り敷いた花びらを、その木の下で集めている弟さん。まだ幼いのでしょう。姿が一枚の絵のように浮かび、惜春の情を誘います。
先生といっしょに歩く桜道
下仁田小坂小6年 永井 友梨
【評】先生とお花見でしょうか。忘れてしまいそうな小さな出来事が、ずっと記憶に残ることがあります。これもきっとそうなるでしょう。
ピアノ弾くわたしの両手まほうの手
前橋大胡小6年 齋藤ひかり
【評】練習して身に付いた力は、自分で考えなくても勝手に手が動いてしまうように感じるほどです。自分の手に「まほう」を感じます。
桜まい中学カバンを持つ私
前橋南橘中1年 武井 美久
【評】進学した姿を冷静に描いた自画像となっています。「桜まい」に自祝の思いもあります。新たな学校生活をまた書き続けてください。
どこからか桜の香りが湧いてくる
高崎中尾中1年 串田 聡太
【評】視界に桜は見えていないのでしょう。でも、桜の香りは感じられるのです。満開の桜の花がイメージの世界に広がってきます。
新年度学級委員がもう決まる
高崎中尾中1年 田村  豪
【評】始まったばかりと思っていた新学期も、次々と動き出します。学級委員も決まると、いよいよ新しい学年の思いも動き出します。
つくしの子おどろくところはえてくる
富岡南中1年 今井 彩乃
【評】予想もしないような思わぬところに生えてくるツクシ。それがまたいかにもツクシの生え方でもあります。よく感じ取りました。
スニーカー誘われはいた春風に
館林一中2年 武  美月
【評】明るい春の気分をスニーカーを履くというところに見つけました。スニーカーのみならず、外出も春風に誘われてのものでしょう。
春風に案内されて進む道
館林一中2年 川島 彩子
【評】春風に吹かれながらの登下校か散策のようすでしょう。「案内されて」に春を受け入れて楽しんでいる心が描かれています。
恩師去り母校は遠く万愚祭
新島学園中3年 上原  茜
【評】四月一日は、先生の異動が発表される日でもあります。恩師が母校を去った記事に、心の拠り所を失った寂しい思いに襲われます。
三階に活気があふれ桜咲く
中之条中3年 綿貫  颯
【評】三階は三年生の階なのでしょうか。新学期の活気にあふれる三年生。これから始まる一年を、桜は祝福しているかのようです。
雨の日は桜が散って暗くなる
中之条中3年 剱持 侑那
【評】雨雲で暗いだけではなく、花明かりを消し続けて雨が降っているのです。「暗くなる」は心の状態まで含んでいるのでしょう。
竹林の中はミントの風が吹く
中之条中3年 荒木 愛海
【評】竹林の中を吹く爽やかな風を「ミントの風」と表現しました。竹林が持つ清浄感を表現する言葉を見つけることに成功しています。
春隣ロッキングチェアに揺られてる
中之条中3年 吉田 知世
【評】揺り椅子(いす)に身を任せ、春が訪れるさまを堪能する風情です。「春隣」に取り合わせる世界として、大人顔負けの表現力があります。
始業式桜もまだまだ不安そう
みなかみ月夜野中3年 高橋あずさ
【評】桜に不安なようすを見つけることは、自分の気持ちに不安を見つけていることでもあります。最上級生としての生活がはじまります。
新入生春風に乗りやって来た
みなかみ月夜野中3年 西山 航生
【評】新入生の明るく軽やかな印象を、「春風に乗り」で表しています。自然が明るくなるばかりでなく、人も明るくなるのが春です。
いつもより多いスズメの始業式
渋川小野上中3年 小野 敦也
【評】最高学年の始まる始業式。その先には、受験も、卒業式も控えています。少し複雑な思いが、いつもより多いスズメを見つけています。
中三のしだれ桜もちりゆくなり
富岡南中3年 高橋 卓也
【評】中学三年で見る桜は一度きり。そう考えれば、いつも一度きりの桜を見ていることになります。中三への強い思いがあればなおさら。