鈴木伸一選

2007年8月8日上毛新聞掲載


夜の雨音も上からふってくる
前橋山王小5年 小泉 京香
【評】ねどこに横になっていると、屋根をたたく雨音が上の方から聞こえてきます。音がふってくるという表現に、とても実感があります。
さわさわとゆっくりゆれる夏の音
前橋新田小5年 稲垣 幸多
【評】さわさわと音を立てて草木がゆれる、すがすがしい高原の風景などが目にうかびます。思わず深呼吸をしたくなるような俳句ですね。
すいか割りすいかは必死でにげるんだ
高崎堤ヶ岡小5年 今成あゆみ
【評】発想がおもしろい。動くはずのないスイカが、まるで必死に逃げ回っているように思えるほど、何度やっても棒が当たらないのですね。
ひまわりがなんだか元気なさそうだ
高崎堤ヶ岡小5年 淡嶋 義弘
【評】ヒマワリは実際に元気がないのでしょうが、同時に、淡嶋君が少し落ち込んでいたので、そう見えたということもあるかもしれません。
水たまり一年生がわざとふむ
安中細野小6年 田中 望妃
【評】六年生には、水たまりをわざと踏むのは子どもっぽく思えるかも。でも、やっぱり踏んでみたいという気持ちも捨てられないでしょう。
太陽と毎日合える夏がきた
高崎国府小6年 内山 明音
【評】梅雨が明け、太陽が毎日顔をのぞかせるようになると、いよいよ夏本番です。小学校最後の夏を、楽しく有意義に過ごしてください。
プールには地上とちがう水の世界
安中原市小6年 蓑和 伸一
【評】水の中に入ったときの、不思議な感覚。とくに、からだの重さをあまり感じなくなるというのは、宇宙遊泳をしているみたいですよね。
口の中ホクホクじゃがいもおどりだす
前橋笂井小6年 須藤ひとみ
【評】五年生のときから育ててきたジャガイモを収穫し、クラスみんなで調理して食べたようです。きっと、特別おいしかったことでしょう。
みそ汁のにおいが目覚まし外泊の朝は
赤城養護小児医療センター分校中2年 鈴木 真衣
【評】入院生活を送る作者ですが、ときには自宅に戻る日もあるのです。みそ汁のにおいは、大切な家族のにおいそのものなのだと思います。
虫を捕る青く輝くこどもかな
渋川小野上中3年 石田 裕貴
【評】早朝の森の中などでは、木もれ日が青白く光って見えたりすることもあるでしょう。幻想的な感じと透明感が同居した、不思議な作品。
海の青遠近法が夏つげる
渋川小野上中3年 佐藤 史佳
【評】海と空の境界が分からないくらい青一色の世界。通常の遠近感では測れないほどの広大な風景が、さわやかな筆致で表現されています。
霧の中チャイムが響く校舎かな
中之条中3年 鈴木  杏
【評】霧の中から聞こえてくるチャイムの音。学校全体が、普段とは違う幻想的でおごそかな雰囲気に包まれているようで、印象に残ります。
夏休み真っすぐな廊下走り出す
中之条中3年 平形友里未
【評】夏休みならではの開放的で伸びやかな気分が、文字通り真っすぐに伝わってくるのが気持ちいい。あふれ出る若さが、まぶしいほど。
太陽が庭にも咲いた夏の朝
中之条中3年 桑原 成美
【評】ヒマワリを太陽にたとえた作品は多いものの、この句の、庭に太陽が咲いたという表現は、なかなかいい。「夏の朝」も効いています。
ある朝に私は遅刻夏も遅刻
中之条中3年 唐沢 惇実
【評】今年は梅雨明けが遅く、確かに夏が遅刻してやって来た感じ。まあ、季節の遅刻はともかく、学校にはなるべく遅刻しないようにね。
学校のプールはいつも光ってる
前橋木瀬中3年 布施川敦子
【評】もちろん、プールは常に光っているわけではないですが、それをいつも光っていると感じるのが、詩への第一歩。若々しい感性もいい。
天の川静かに泳ぐ金魚かな
伊勢崎四中3年 五十嵐 萌
【評】頭上の広大無辺な天の川と、眼前の小さな金魚。大と小の取り合わせによって豊かなイメージを喚起するのは、俳句の骨法の一つです。
向日葵の笑顔がまぶしい一本道
伊勢崎四中3年 関口 杏奈
【評】映画の一場面を見るような「一本道」が、たいへん効果的。情景がはっきりと目に浮かび、夏の季節感が端的に伝わってくるのです。
空に浮く恋人見ている向日葵
伊勢崎四中3年 島田 香澄
【評】ヒマワリにたとえた花火が空に浮いているということでしょうが、シャガールの絵のように、恋人が空に浮いていると読むのも魅力的。
きんぎょばちりんと涼しく窓ぎわに
伊勢崎四中3年 高橋 晴香
【評】打ち水や風鈴、金魚鉢。夏を涼しく過ごすため、日本人は古くからいろいろ工夫をしてきました。省エネのためにも大事なことですね。