鈴木伸一選

2007年9月5日上毛新聞掲載


秋の川風のように流れてく
高崎堤ヶ岡小5年 山田 夏加
【評】秋になると水が澄んできて、川の流れも夏に比べて何だか速くなったように感じられます。「風のように」というたとえがすがすがしくて、とてもいいですね。
夏の波夕日に向かって歌ってる
高崎堤ヶ岡小5年 藤井 由依
【評】きれいな夕日に向かって歌っているのは波のようでもあり、藤井さんのようでもあります。きっと、両方なのでしょう。私も、何だか歌いたくなりました。
サッカーの大会行くと日焼けする
高崎堤ヶ岡小5年 千野  隼
【評】もちろん、夏はどこに行っても日焼けはするんだけど、そう書いても俳句にはなりません。サッカーの大会でこそ日焼けをする、と断定しちゃうのが大事。
にいがたの子にもくるよね夏休み
前橋新田小6年 金子 美悠
【評】七月、臨海学校でなじみの深い新潟県柏崎などが、大きな地震に見舞われました。被災地の子どもたちを思う金子さんのやさしさが、よく伝わってきます。
遊ぼうと梅雨の雨がよんでいる
下仁田小坂小6年 茂木 幹太
【評】私などは、雨はいやだなあ、とつい思っちゃうけど、茂木君には、雨もすてきな遊び相手。これなら、梅雨どきも楽しく過ごせますね。
水風船はじけて割れた夏の夜
渋川小野上中1年 佐藤 千栄
【評】水風船が割れたことで、佐藤さんの胸の中に、夏の終わりごろの何となくさびしい気分が、ふっとわき上がってきたのかもしれません。
計画表インクこぼして夏過ぎる
渋川小野上中1年 鈴木みちる
【評】「インクこぼして」というフレーズに、夏休みを計画表通りに過ごせなかったことへの後悔がにじみ出ているようです。私も、身に覚えがありますよ。
もくもくとにゅうどう雲の力こぶ
渋川小野上中1年 佐藤立偉迅
【評】激しい雷はときに恐ろしいものである半面、もくもくと盛り上がる入道雲を見ていると、とても雄々しい気持ちになってくるのも事実。
少年のサンダル映える青い夏
渋川小野上中1年 小野恵里佳
【評】映画の一場面のように印象的な句。強烈な夏の日差しも感じられますが、「青い夏」という表現により、どこかさわやかでもあります。
食卓の上には今日も夏景色
渋川小野上中2年 青木 里穂
【評】見るからに涼味を覚える料理が、食卓に並んでいるのです。緑を吹き渡るすがすがしい風までも感じられるようで、とてもいいですね。
浴衣青空まで青い真夏かな
渋川小野上中2年 樋田 真季
【評】浴衣は最近、若い人たちにも人気がありますね。まだ日が高い夏の夕刻、涼しそうな青い浴衣で、作者はどこへ出かけるのでしょうか。
ミンミンとみんなの心夏来たる
渋川小野上中2年 沢下 未来
【評】「ミンミン」というセミの声と、「みんな」の「みん」が響き合い、だれの心の中にも、夏の暑さが広がってくるように感じられます。
学校の静けさ感じ俳句書く
渋川小野上中3年 一場  輝
【評】学校も時間帯によっては、しんと静まり返ることがあります。その静けさに身を置き、じっと俳句を考える作者の姿が、とても印象的。
原爆忌警報のごとく蝉鳴けり
新島学園中3年 上原  茜
【評】八月六日と九日を、俳句では「原爆忌」と言うこともあります。激しいセミの鳴き声が空襲警報のようでもあり、平和ボケした現代への警鐘のようでもあります。
冷蔵庫眠ったトマトが羨ましい
中之条中3年 篠原  舞
【評】冷蔵庫の中のトマトは、確かに涼しいでしょうね。うだるような暑さに閉口している作者には、その気持ちよさそうな様子が、何ともうらやましいのです。
露草の青さに染まる水たまり
中之条中3年 冨沢 美咲
【評】ツユクサのみずみずしい青色に、水たまりが染まっているかのように見えるのです。何の変哲もない水たまりが、何と美しく感じられることでしょう。
新学期ポスターカラーの白を買う
中之条中3年 高平 彰子
【評】休みモードだった気持ちを切り替え、まっさらな心で新学期を迎える。「白を買う」は、そんな作者の内面をあらわしている感じです。
大きいな夏の時間と空だけは
中之条中3年 吉田 大介
【評】広々とした夏の大空を、ゆったりと流れてゆく時間。それに比べて自分という存在は小さいと感じたのかもしれませんが、決してそんなことはありません。
青空にすいこまれそうな夏休み
中之条中3年 小池 恭平
【評】類想句はあるでしょうが、この心地よい開放感は、やはり魅力的。自分のからだが、宙にすっと浮き上がるような感覚にとらわれます。
ホース持ち空へとつながるにじ作る
中之条中3年 柳田 聖子
【評】暑い盛りに水をまくのは、とても気持ちいいものです。そんな気分が、「空へとつながる」という伸びやかな発想を生んだのでしょう。