鈴木伸一選

2007年9月19日上毛新聞掲載


絵をかけばふでもおどるよ夏休み
前橋山王小5年 小泉 京香
【評】「ふでもおどる」という表現から、夏休みならではの開放感が、よく伝わってきます。きっと楽しい絵が描き上がったことでしょう。
流れ星まじょがほうきでとおったよ
前橋大胡小6年 齋藤ひかり
【評】流れ星には夢やロマンなどと共に、宇宙の神秘も感じます。そんな不思議な気分が、ほうきに乗った魔女を連想させたのでしょうね。
初めてのまうえであがる花火だな
前橋大胡小6年 久保田祐樹
【評】花火大会の会場まで出かけ、自分の真上にあがる花火をはじめて見たのでしょう。そのときのおどろきと感動が、よく伝わってきます。
ホースからこぼれ出てきた午後の虹
下仁田小坂小6年 松本 美咲
【評】ホースで水をまいたときにできた、小さな虹。その愛らしい印象に、「こぼれ出てきた」という詩的な表現がぴったり合っています。
田植して終わったときは目がだらん
前橋大室小6年 白石 高浩
【評】実際に体験すると分かりますが、田植えというのは、想像よりもずっと大変な作業です。終わると、疲れて目がだらんとしちゃうほど。
空は青地はしゃく熱の夏の色
前橋大室小6年 越川  華
【評】空は青く晴れ渡り、気温はぐんぐん上がってゆく。この夏は、本当にこの句の通りでした。夏らしいと言えば、そうかもしれませんが。
夏休み宿題おわるとさみしいな
太田城西小6年 西倉 沙織
【評】最初はめんどうに思える宿題も、やり終えてしまうと、かえって気が抜けたようでさびしくなってしまう・・・。確かに、その通りですね。
虫の声すなおな気持ちで鳴いている
前橋桂萱中1年 石坂 千尋
【評】虫の声を素直と感じたのは、何よりも石坂さん自身が素直な心の持ち主だから。俳句には、作者の内面がおのずとあらわれるものです。
カッターはよっぱらってる大ムカデ
前橋桂萱中1年 指田  泉
【評】赤城の林間学校。方向が定まらないカッターを、ユーモラスに描きました。赤城山の神が大ムカデという伝説もあり、一層おもしろい。
爽やかな風が知らせる新学期
高崎中尾中1年 平沢 賢弥
【評】中学校生活への前向きで健康的な意志を感じます。そんな平沢君に、二学期は、一学期よりもさらに充実したものになることでしょう。
星月夜世界をおおうカーテンよ
高崎中尾中1年 吉田 真子
【評】満天の星の光が月のように明るく、夜空が薄いカーテンに見えます。世界をやさしく包み、人々を安らかな眠りに誘(いざな)うカーテンです。
玄関に梅雨明け教えるスニーカー
渋川小野上中2年 樋田 真季
【評】まぶしいくらいに真っ白なスニーカーが、ぱっと目に浮かびます。本格的な夏の到来に弾む作者の気持ちも、端的に伝わってきます。
ボールペン夏の思い出たどってる
渋川小野上中2年 沢下 未来
【評】ボールペンを手に、夏の思い出を書きつづっているのでしょうか。書ききれないほどの思い出を、これからもたくさん作ってください。
山の上入道雲が座ってた
渋川小野上中2年 唐沢 達也
【評】山の上にかかった、山よりも大きな入道雲。どっしりとしたその雄姿は、夏の風物詩の代表です。もっとも、激しい雷は困りますが。
虫がくる友達と花火してるのに
富岡南中2年 城  美穂
【評】友達と花火で盛り上がっているところへ水をさすように、夏の虫が寄ってくるのです。虫が苦手な自分を、ユーモラスに描いています。
木の根道雨の日歩けば牛若丸
川場中3年 唐品 美沙
【評】京都の鞍馬寺。奥の院へと続く山道は、うっそうと茂る樹木の根が地上を這い、自分が牛若丸になったような気がするほどの奇観です。
京都きてさがしたものは日陰かな
川場中3年 福田 恭也
【評】盆地に位置する京都の夏は、本当に暑いですからね。寺社巡りの道すがら、まず日陰を探したというのも、実感としてよく分かります。
梅雨晴間妹と見た雲一つ
中之条中3年 小林 真衣
【評】日常の中に発見した季節感と共に、妹への情愛が確かに伝わってきます。それを声高に言おうとしていないところが、むしろ好ましい。
暑中見舞親指だけでごあいさつ
中之条中3年 伊能 賢人
【評】携帯電話のメールは、ほとんど親指だけで打ちます。暑中見舞も簡単にできてしまいますが、たまには手書きもいいのではないかな。
暑いけどそれでも前へ走り出す
六合中3年 山口  悟
【評】部活の一こまとも読めますが、それ以上に、作者の前向きな意志や、困難に立ち向かう気構えなどを表現したものと理解したいですね。
秋空やたなびく雲も紅に
前橋木瀬中3年 設楽 竜一
【評】正攻法の自然詠で、夕暮れどきの光景が鮮やかに見えてきます。雲と共に、作者自身もくれないに美しく染まっていたことでしょう。
くもりの日網戸に大きなクモのぼる
前橋木瀬中3年 眞鍋 達郎
【評】網戸を這い上がってゆく大きなクモに、思わずぎょっとした作者。その瞬間がぱっと切り取られ、インパクトの強い句になりました。