林桂選

2007年10月24日上毛新聞掲載


梓川川底の石が笑ってる
前橋山王小6年 小林 真依
【評】梓川は長野県上高地を流れる清流。「川底の石が笑ってる」は、その美しい流れを底に見える石の印象をたとえて表現したものです。
六年の運動会はせつないな
前橋大室小6年 高坂 侑弥
【評】小学校最後の運動会だという思いが、切ない気持ちにさせています。もちろん、それが頑張ろうという気持ちにもさせてくれます。
マーチング放課後練習長靴で
前橋粕川小6年 高柳 航也
【評】「長靴で学校行けば午後晴れる」という句もありました。雨がちの日が続く中での練習の一こまをユーモラスに描いています。
青空が私の楽器に映ってる
前橋粕川小6年 松村ひとみ
【評】マーチングの一こまでしょう。「楽器」は金管楽器なのでしょうね。マーチングの晴れやかな気持ちが表現され、視点が優れています。
新学期自信の作品胸に抱き
渋川小野上中1年 佐藤 千栄
【評】夏休みの宿題の作品を持っての登校。「胸に抱き」という様子からも、精魂こめた自信作であることがうかがえます。モデルは小学生?
雨降ってグランドぬれてしまえばいい
渋川小野上中1年 鈴木みちる
【評】参加したくない運動会か持久走大会があるのでしょう。グランドが水びたしになって中止になってくればいいのに。大胆な表現が魅力。
長縄の飛ぶ音速し秋が去る
渋川小野上中3年 唐澤久美子
【評】「飛ぶ音速し」ですから、長縄を跳んでいる人の足音ではなく、縄そのものの音です。「秋が去る」へのイメージの飛躍は感覚的。
秋の風受験勉強しろと言う
渋川小野上中3年 新井 美晴
【評】風が秋風に変わって、いよいよ受験が近いという思いにさせられています。風の声として急せかされる思いを聞いています。
夕闇はぬれて輝くぶどう色
中之条中3年 山田 礼子
【評】夕焼けを通り越して、闇の中にわずかに残る残光。それを濡れたブドウ色と表現しています。たとえる力に優れた作品です。
秋近し俳句の季語も衣更え
中之条中3年 小林 篤志
【評】秋になると使う季語も夏から秋へと変わります。それを「衣更え」に見たてました。「秋近し」に、新しい季語を待つ思いを込めます。
満月の影を探して遊びけり
中之条中3年 高平 彰子
【評】「影」は、満月が作る物の影。太陽のように強くない月の光が作る影だからこそ、探すことが遊びとして成立します。秀作です。
終電の音が聞こえる夜長かな
中之条中3年 金井 実紀
【評】ローカル線の終電でしょう。澄んだ秋の空気を感じさせながら、耳に届きます。作者は、独り机に向かっているところでしょうか。
十一時鈴虫答えを教えない
中之条中3年 金井 実紀
【評】十一時まで頑張って解いているのに、解けない問題。起きているのは鈴虫だけ。でも、鈴虫は我関せずと鳴くだけです。発想のいい句。
風になびくカーテン子猫のおきにいり
中之条中3年 玉井  希
【評】風にゆれるカーテンの裾にじゃれて遊んでいる子猫。「おきにいり」と評したところが面白い。子猫への温かい視線が感じられます。
まっすぐな廊下のさきには窓がある
中之条中3年 加藤  淳
【評】殺伐とした日常の風景のようですが、平和な風景でもあります。「戦争が廊下の奥に立つてゐた」(渡邊白泉)という時代もあったのです。
秋の風私の心を切りかえる
安中松井田東中3年 津久田愛未
【評】秋風は心を切り替えるスイッチ。目に見えないからこそ風は心にきっかけを与えてくれます。身に染みるとは心に染みることでしょう。
さわやかな青空のぞくゴーヤかな
前橋木瀬中3年 大竹 由実
【評】「さわやか」は秋の季語。ゴーヤ棚の葉のすき間から見える青空は秋の高さ。勢いの衰えたゴーヤのようすも感じとれます。