鈴木伸一選

2007年11月14日上毛新聞掲載


遊びの秋わたしが作った合言葉
高崎堤ヶ岡小5年 今成あゆみ
【評】「芸術」「スポーツ」「食欲」といった秋をあらわす言葉に、新しく「遊び」が仲間入りです。この言葉通り、思いきり遊びましょう。
飼育小屋どっかに虫がかくれてる
高崎堤ヶ岡小5年 福田 斐織
【評】ウサギなどの飼育小屋を、そうじしているのでしょうね。小屋のどこかから虫の声が聞こえてきて、秋だなあ、と感じた福田さんです。
宿題がまだ終わらない秋の夜
高崎堤ヶ岡小5年 淡嶋 義弘
【評】宿題が終わらない理由は分かりませんが、当の淡嶋君自身は、意外とあせっていない感じ。「秋の夜」の落ち着いた雰囲気のせいかな。
夕焼けが焼きいもみたいにほっかほか
高崎堤ヶ岡小5年 市毛  純
【評】夕焼けの色のあたたかな印象を、「焼きいも」で表現。「夕焼け」は夏の季語となっていますが、ここでは秋の終わりごろの感じです。
秋の池だんだんすけて見えてくる
高崎堤ヶ岡小5年 薩摩 顕蔵
【評】「水澄む」という季語があるように、秋の水の清らかな透明感は、特に印象的。「だんだん」に、観察する目が感じられるのもいい。
読書の秋また小せつにはまりだす
高崎城山小6年 丸山 龍平
【評】好きな小説を読み始めると、止まらなくなりますものね。本の世界にどっぷりとひたることのできる時間を、ぜひ大切にしてください。
夕暮れの案山子に上着着せておく
高崎中尾中1年 青木 駿介
【評】夕暮れの田畑に立ったカカシは、見るからに寒そうです。「上着着せておく」に、民話の「笠地蔵」のような思いやりの心を感じます。
秋晴れの空悠悠と遊んでる
高崎中尾中1年 岡野 千春
【評】すがすがしい秋晴れの空を眺めて、ゆったりと心を遊ばせる。平凡なようでいて、実はとても貴重で、豊かな時間であると思われます。
寒々とこたつの中でミカン食う
高崎中尾中1年 斉藤 志織
【評】こたつでミカンを食べる。まさしく至福の時間と思いきや、作者は「寒々と」だというのです。一人で食べるさびしさゆえでしょうか。
制服に草の実付いて登下校
渋川小野上中1年 鈴木みちる
【評】こういう登下校風景は、今や都市部では、ほとんどと言ってよいほど見られなくなってしまいました。作者がうらやましいくらいです。
写生後のパレット青い秋の空
渋川小野上中1年 佐藤 千栄
【評】絵を描いた後のパレットに残った、青い絵の具。それが空の青さと響き合って、とてもすがすがしい秋の季節感をかもし出しています。
日がおちる静かにだんだん寒くなる
渋川小野上中1年 齊藤 華蓮
【評】晩秋から初冬にかけての夕暮れどきは、確かにこのような印象。とりわけ「静かに」というところに、都会にはない美しさを感じます。
黒板に消し残る日の昼休み
渋川小野上中2年 佐藤智菜津
【評】黒板の字が消え残っているのでしょうが、中七を中心に、やや意味が取りづらいのが残念。とらえている世界は、とてもいいのですが。
解き方を考えこんで案山子かな
前橋木瀬中3年 内藤公史郎
【評】数学の解法などで頭をかかえている作者の、いささか自嘲(じちょう)を交えた自画像でしょう。受験生としての心情が、はからずも出た感じです。
秋の闇逃げようとするハムスター
前橋木瀬中3年 閑   誠
【評】必死に逃げようとするハムスターが、印象鮮烈。その先には秋の闇が大きく口を開け、小さな命を飲み込もうとしているかのようです。
紙ひこうきまよわずまっすぐ進んでゆく
前橋木瀬中3年 関口なつ美
【評】作者も、「まよわずまっすぐ」に自分の道を進んでゆきたいと念じているのでしょう。きっぱりとした表現に若さが感じられ、好印象。
朝顔のツルが希望へ手をのばす
富岡南中3年 萩原 雅人
【評】つるを伸ばしたアサガオに、作者の心が投影されています。強い意志をもって、しっかりと希望をつかみ取ってほしいと思いました。