鈴木伸一選

2007年12月26日上毛新聞掲載


まっ白な雪のゲレンデぼくは風
高崎城山小5年 近藤 充人
【評】自分が風になったように感じられるのは、きっと近藤君が上手に滑れるからでしょう。私はスキーができないので、うらやましいです。
北風が私のほおをつついてる
高崎堤ヶ岡小5年 山田 夏加
【評】「つついてる」という表現から、ちょっといたずらっぽい感じを受け取り、冷たい北風が、何だか仲よしの友達みたいに思えてきます。
しもばしらふみふみ走るおにごっこ
高崎堤ヶ岡小6年 本多 美穂
【評】学校生活の中から、冬の季節感が、しっかりととらえられています。寒さに負けず元気に遊ぶ本多さんたちの姿が、目に浮かぶようです。
まがたまを作って聞こえる弥生の声
前橋笂井小6年 須藤 慎浩
【評】授業で、まが玉づくりにチャレンジしたのでしょう。その体験を通して感じた弥生時代の声だから、そこには説得力があるわけです。
冬日和外を見ている犬の鼻
高崎中尾中1年 竹原 采那
【評】おだやかに晴れた冬のある日。室内犬も、何だか外で遊びたそうな様子です。「鼻」に焦点を絞ったことで、印象的な句になりました。
帰ったらおでんを作る母がいる
高崎中尾中1年 堀田 凌司
【評】学校から帰ったら、夕飯の仕し度たくをするお母さんがいる。当たり前のように見える日常ですが、本当は、これが一番幸せなことなのです。    
寒雀遠いどこかに消えてゆく
高崎中尾中1年 深見 りさ
【評】吹きすさぶ寒風の中、スズメたちがどこかへ飛んでゆきます。それを「消えてゆく」と表現し、荒涼とした冬の気分をよく伝えています。
ふゆの陽と柚のきいろが空に映え
渋川小野上中1年 佐藤 千栄
【評】ユズの実は、晩秋から初冬にかけて熟します。何となくひんやりとした感じのする青空に、太陽とユズの黄金色が、よく合っています。
初霜で少し小さいみんなの背中
下仁田中1年 石井 弥沙
【評】初霜が降りた寒い朝。だれもが、無意識のうちに背中を丸くして歩いています。その様子を、「少し小さい」でうまく表現しました。
行く年の色はだいたいなまけ色
下仁田中1年 岡野 峻士
【評】「なまけ色」が、おもしろいとらえ方。私も、大みそかは大体のんべんだらりと過ごしていますので、共感するところが多々あります。
歩きだすすると北風ふいてくる
下仁田中2年 八重樫拓也
【評】歩き出すことによって、体に当たる北風の強さや冷たさを、あらためて実感する。確かにそうだなあ、と思わせる説得力を持った俳句。
雪一つきっとみんなもみてるよね
中之条中3年 石田 和子
【評】「みてるよね」という呼びかけから、作者がクラスメートとの心のつながりを、何よりも大切に思っていることがうかがえるようです。
マフラーにあれた唇かかる日々
中之条中3年 小嶋 達也
【評】防寒のため、マフラーを口のまわりにまで巻くと、唇の荒れた部分が引っかかって、ちょっと不快な感じ。私も、身に覚えがあります。
銀色の猫の背中に雪が舞う
中之条中3年 小林 真衣
【評】「銀色」は、猫の毛だけでなく、雪の色でもあるでしょう。全体に幻想性が漂い、現実と非現実が不分明であるのも、かえって魅力的。
街はずれ行き場失うからっ風
中之条中3年 関  拓哉
【評】「海に出て木枯帰るところなし」(山口誓子)の木枯しと同様に、空っ風も途方に暮れた感じで、荒涼たる冬の気分を漂わせています。
冬なのにおっちょこちょいな雨がふる
中之条中3年 関 美穂子
【評】冬だというのに、雪ではなく雨が降っています。天上の神様がうっかりしたせいかもしれないと考えるのも、なかなか面白いですね。
光る星結んで歩く塾帰り
中之条中3年 柳田 聖子
【評】受験生としての毎日は、大変なことも多いでしょうが、それを表立って言わず、むしろ詩情豊かに表現。そこが、この句のいいところ。
豆炭のやけどが痛む冬来たり
中之条中3年 綿貫 仁志
【評】豆炭を入れた行火(あんか)は、かつては広く使われていた防寒具でした。これで火傷(やけど)するとかなり痛いのですが、それも今となっては懐かしい。
家帰りこたつあたため家族待つ
みなかみ月夜野中3年 番場 千尋
【評】一番早く帰宅した作者は、仕事に出ている家族のために、こたつを温かくして待っているのです。その思いやりに、心を打たれます。
面接とろうかの寒さが身にしみる
前橋木瀬中3年 新井 瑞希
【評】高校の面接試験でしょうか。作者は緊張と不安で、寒さが一層、身にしみるというのです。私も同じようだったことを思い出しました。
闘志いだき空見上げてる土筆かな
太田旭中3年 櫛田 祐那
【評】「春風や闘志いだきて丘に立つ」(高浜虚子)が、念頭にあったでしょうか。ともあれ、若々しい意志が率直に出ていて、好印象です。