鈴木伸一選

2008年1月16日上毛新聞掲載


オリオン座寒い夜でもぱっと出る
高崎堤ヶ岡小5年 土屋 怜衣
【評】オリオン座は明るい星が多く、形も特徴的なので、冬の夜空によく目立ちます。「ぱっと出る」は、そんな印象を言ったものでしょう。
ストーブの前にはいつも猫がいる
前橋宮城小5年 小屋敷真桜
【評】猫は家の中で一番快適な場所をちゃんと知っていて、ちゃっかりと占領しているというわけ。そこが、猫らしくてほほえましいですね。
みんなとねいっしょに走る秋の風
前橋大室小6年 石野 美々
【評】持久走大会でしょうか。みんなと一緒に走っているのが石野さんであると共に、秋風でもあると読めるのが、俳句のおもしろいところ。
赤ちゃんのあそびあいてよ秋風さん
前橋大室小6年 品川菜都貴
【評】赤ちゃんが手をにぎったり開いたりしながら、私たちには見えない何かとしきりに遊んでいるように映ることって、確かにありますね。
雪が降り白い海原続いてる
前橋新田小6年 高橋 直大
【評】大きな風景を、しっかりと描いています。海に降る雪というのは、海のない群馬に住む私たちにとって、何とも言えぬ魅力があります。
冬休みどこもみかんのかわだらけ
前橋新田小6年 寺沢 里奈
【評】家中が皮だらけになると思えるほど、みんなでミカンをたくさん食べているのです。ユーモラスな中に、冬の季節感がよく出ています。
冬の空ダイヤモンドがきらきらと
前橋新田小6年 平井 咲子
【評】空中の水分が凍ってキラキラと輝くダイヤモンドダストという現象もありますが、もっと普通に、降る雪のことと読んでもいいですね。
鉛筆が筆箱の中で冬眠中
前橋粕川小6年 大木 璃恵
【評】「冬眠中」というたとえがおもしろい。勉強をちょっとさぼり気味だということを直接に言わず、このたとえで暗示しているわけです。
春風を大きく吸ってこんにちは
六合中1年 田村  遥
【評】息を大きく吸って、元気よくあいさつする。春風を吸ってという発想がすがすがしく、作者の明るいキャラクターまで感じられます。
寒空の遠くで猫が鳴いている
中之条中3年 狩野 美咲
【評】思わず身震いをしたくなるほど寒い空の下、どこかで猫が鳴いています。人間も猫も、冬の孤独感にさいなまれているかのようです。
凍りつく空気を照らす朝日かな
中之条中3年 唐沢 洋平
【評】ぐんと冷えこんだ冬の朝。空気は凍りつくようだけれど、半面、それがすがすがしくもあります。清浄感に満ちた自然詠で、好印象。
こたつから出なくちゃいけない受験生
中之条中3年 小池 若奈
【評】「こたつ」は実際のそれであると共に、居心地のいい環境の比喩(ひゆ)でもあるはず。受験生として、そこに安住すまいという決意でしょう。
日曜の朝に静かな雪が降る
中之条中3年 齋藤 秀和
【評】朝早くから出かける日曜もいいですが、私は、心休まる時間を静かに過ごしたいという思いの方が強い。だから、この句に共感します。
冬空に乾いた犬の声響く
中之条中3年 関  沙織
【評】冬空に響く犬の鳴き声に、どことなく乾いた感じを聞き取ったのが鋭い。作者自身も、心に少し乾きを覚えていたのかもしれません。
白い雪亡きポチからのプレゼント
中之条中3年 竹渕 貴博
【評】ある調査によれば、チョコ、マロン、モモが最近の犬の名前の上位三つで、ポチは二百二十三位。懐かしい温ぬくもりのある、いい名前なのに。
雪降れば弟の長ぐつおどりだす
中之条中3年 割田美早紀
【評】雪に大はしゃぎしている弟さんの様子を、「長ぐつ」であらわしたのがよかった。お姉さんの長ぐつは、もう踊らないのでしょうか。
登下校山の向こうは冬の色
安中松井田東中3年 大塚 麻耶
【評】冬の初めごろでしょう。「山の向こう」という表現によって、まだ完全には冬になりきっていない感じが、うまくとらえられています。