鈴木伸一選

2008年2月6日上毛新聞掲載


初雪が豆つぶみたいにふってきた
高崎堤ヶ岡小5年 市毛  純
【評】先日、群馬の平野部でも、ほんの少し初雪がふりました。ちょっと物足りない感じがして、「豆つぶ」という表現につながったのかな。
しも柱ぼくの重さにうなってる
高崎堤ヶ岡小5年 北村 拓也
【評】ふむとザクザクと音がする霜柱が、「重たいよう」ってうなっていると感じた北村君。ユーモラスな中に、冬の季節感がたっぷりです。
かるたでねいつも取れない札がある
高崎堤ヶ岡小5年 中西 梨歩
【評】たしかに、こういうことってありますね。相性が悪いというか、意識して力が入り過ぎちゃうというか。なかなかむずかしいものです。
楽しみが雪といっしょにふってくる
前橋大室小5年 清水あすか
【評】ふり出した雪を見ながら、つもった後のいろんな遊びを思い、気持ちはもうワクワクなのです。まさに、「楽しみがふってくる」感じ。
雪景色なにからなにまでひかってる
前橋新田小5年 北爪 優衣
【評】前橋はあまり雪がふりませんから、たまに雪景色になると、何だかすごく感動しちゃいますよね。そんな気分が、よく伝わってきます。
まぶしいなたことたいようお話してる
前橋山王小5年 梨木 晴香
【評】晴れ渡った冬の空高く、たこが気持ちよさそうにあがっています。太陽もたこも梨木さんの心も、みんなピカピカとかがやいています。
冬の庭氷の芽たちが列になる
赤城養護小児医療センター分校小5年 高山 美絵
【評】列になった草木の芽の露がこおり、キラキラと光っているのでしょうか。それでも負けずに育ってゆく草木の力って、すごいですね。
冬の夜銀河の星がまいおりた
赤城養護小児医療センター分校小5年 竹森  遥
【評】無限の宇宙に思いをはせるには、空気の澄んだ冬の夜がぴったり。想像のつばさを大きく広げて、銀河の果てまで旅してみましょう。
こうようのひらひら落ちる森の音
伊勢崎広瀬小5年 林  絵理
【評】森の中で静かにじっと耳を澄ますと、いろいろな音が聞こえてきます。自然がかなでる音の美しさに、林さんは気づいたのでしょう。
しもばしらぽつりと一人で泣いている
前橋大利根小6年 井上 佳菜
【評】霜のおりた寒い所でだれかが泣いているのは、現実の光景とも井上さんの心の中の光景とも読めます。それが、俳句の不思議な魅力。
せみがなく空に太陽ここに僕
高崎下里見小6年 久保庭大樹
【評】力の限りに鳴くセミ。かがやく夏の太陽も久保庭君も、そんなセミたちを懸命に応援しているかのようです。私も、応援しましょう。
北風がなわとび練習じゃまをする
榛東南小6年 小林 志代
【評】強い北風にじゃまをされて、なわとびの練習がうまくできないのです。大変だとは思いますが、それも冬らしいと考えておきましょう。
宿題を終わらせてから賀状書く
高崎中尾中1年 榊原 悠史
【評】表現は大人顔負けのうまさですが、内容は中学生としての日常を素直に描いたもの。計画性のない私などは、作者を見習いたいくらい。
冬の雨ゆみやみたいに飛んでくる
太田木崎中1年 小関 祐世
【評】冬の雨に打たれると、その冷たさが、まるで弓矢のように肌を刺すのです。実感の豊かなたとえなので、読者もすぐに納得できます。
冬の日の布とんの中は桜咲く
下仁田中1年 五十嵐桂子
【評】寒い冬の日も、ふとんの中は春の暖かさ。作者はその心地よさに、何だかサクラまでもが咲いているかのような気分になったのです。
校庭に自分の足跡冬休み
六合中2年 萩原あずさ
【評】雪の積もった校庭でしょうか。冬休みで人影もまばらなので、自分の足跡がやけに目立つのかもしれません。季節感の豊かな点がいい。
教室のストーブたまにため息吐く
渋川小野上中2年 斉藤 結衣
【評】何かの加減で、ストーブの燃える音が変わることってあります。それを「ため息」と表現し、同時に作者の姿も重ねているのがうまい。
雪よりも冷たく光るシャープペン
渋川小野上中3年 唐沢久美子
【評】プラスチックでなく、金属製のシャープペン。その方が、雪よりも冷たい光が鮮明に見えます。身近な文具を、うまく俳句にしました。
窓くもり朝やけにじむ冬の朝
渋川小野上中3年 佐藤 良樹
【評】「朝やけ」とあるので、「冬の朝」の「朝」は不要。こうした細かい点に注意を払えば、描かれた情景の美しさが一層際立ってきます。
席替えをしたら見えない冬の空
中之条中3年 金井 実紀
【評】教室の窓から空を見上げ、いろいろ想像するのを好む人にとって、空が見えない席というのは、どうも居心地がよくないのでしょうね。
雪の玉不安も一緒につめこんだ
中之条中3年 関 万葉子
【評】受験生としての不安な胸の内が、痛切に伝わってきます。思い切り雪玉を投げることで、それが少しでも解消されればいいと思います。
冬の夜自分が一人とすぐ気づく
中之条中3年 高平 彰子
【評】しんしんと寒さがしみる冬の夜。作者は机に向かい、受験勉強でしょう。確かに孤独ですが、若さにはそれを乗り越える力もあります。
コーヒーの苦さ深まる師走かな
中之条中3年 濱野 大輔
【評】師走というのは、わけもなく落ち着かない気分になったりする季節。コーヒーをことさら苦く感じるのも、そんな気分ゆえでしょう。