林桂選

2008年2月13日上毛新聞掲載


すごく寒い今雨ふったら雪になるかな
高崎上郊小5年 立見 朋也
【評】「今雨がふったら雪になるかな」は、雪を待ち望む気持ちを表現しています。「すごく寒い」のも、雪が降ればがまんできるでしょう。
暗い夜燃え上がる火と笑い声
伊勢崎広瀬小5年 菊池 美佳
【評】キャンプファイアーを描いています。「燃え上がる火」「笑い声」と客観的な事実を並べながら、そのようすを想像させる書き方です。
軍手つけみんなで登る秋の山
伊勢崎広瀬小5年 茂木 七海
【評】「軍手つけ」ですから、相当険しい岩登りのあるような登山なのでしょう。「軍手つけ」だけでそれを表現する方法は巧みです。
つくしんぼせいがのびたら六年生
片品武尊根小5年 千明 礼乃
【評】もちろんツクシが六年生になるのではありません。ツクシが伸びるころには、千明さんが六年生になっているというのです。
正月は一人で宮崎行ったんだ
高崎堤ヶ岡小5年 原田千有希
【評】宮崎には親せきの人が住んでいるのでしょう。初めての一人旅でしょうね。「行ったんだ」に、誇らしい気持ちが感じられます。
冬休みもぐらの雲が動いてる
前橋山王小5年 梨木 晴香
【評】「もぐらの雲」はモグラのような雲か、モグラが掘り起こした土のようすなのか二つの可能性があります。「動いてる」だから雲かな。
いなくてもいつもの席はおじいちゃん
前橋大室小5年 高橋  駿
【評】おじいさんは亡くなったのでしょうか。おじいさんの席があることで、おじいさんの存在を感じることができる家族愛が描かれています。
中学の期待と不安ほりごたつ
前橋大室小6年 小保方 秀
【評】この句の「ほりごたつ」のような展開の仕方を「取り合わせ」といいますが、大人顔負けの巧みさです。「ほりごたつ」も渋い。
葉桜や空を見上げて鳥と会う
安中九十九小6年 高柳 美那
【評】葉桜を振り仰ぐことで思わず出会ってしまう鳥。見ようと意識しないものが見えてしまう無意識の世界を描いています。
葉ざくらや空をかくしておにごっこ
安中九十九小6年 稲塚 崇人
【評】空をおおって茂る葉桜。「おにごっこ」はその葉から洩(も)れる木漏れ日の動きの表現でしょうか。着眼も表現もおもしろい作品です。
くつろいで猫は眠りしこたつかな
前橋大利根小6年 山内 創聖
【評】こたつで眠る猫。多くの人が既に書いているものですが、俳句の響きがゆったりしていていかにもくつろいだ感じがしていいですね。
雪晴れてきれいに雪がつもってる
榛東南小6年 箱田 優也
【評】「雪」が二度繰り返されていますが、二つの雪は違った印象のものです。暗く降り続いていた「雪」と晴天のもとに輝く「雪」です。
水仙の咲く道一人落ち込んで
高崎中尾中1年 芝田 芽以
【評】「一人落ち込んで」の理由は示されていませんが、つらいことのあった帰り道なのです。慰めてくれる水仙は自己愛の花でもあります。
正月にたくさん人きて泣く子かな
太田木崎中1年 橋本 拓人
【評】幼い赤子でしょう。いつもと違う人の出入りにむずがって泣くのです。もう少し大きくなると反応はまったく逆になるのでしょう。
雪が降る冬の絵の具の一色目
渋川小野上中1年 野村 美咲
【評】初雪を「冬の絵の具の一色目」とたとえて表現しています。これから塗り重ねられてゆく冬のさまざまな色も思わせてくれる比喩(ひゆ)です。
年末に百人一首の雪がふる
渋川小野上中2年 斉藤 結衣
【評】百人一首を学習して迎える年末。降る雪に百人一首の雪の歌を連想するほどになっています。「百人一首の雪がふる」とは言い得て妙。
ストーブの点くのを待ってる朝の猫
渋川小野上中2年 唐澤 達也
【評】ストーブがつく前にストーブの前で待っている猫。すっかり朝の家族の行動パターンを学習しています。おみごとというほかありません。
ストーブの火を見てしんから温まる
渋川小野上中2年 佐藤  徹
【評】火の熱によって温まるのですが、視覚的にも火をとらえていると温かさが違うように感じられます。火の持っている不思議な力です。
登校中雪で遊んだ跡残る
渋川小野上中2年 飯塚 一樹
【評】道をそれた足跡や手の跡。遊びながらの登校の証拠です。小学生の登校の跡なのでしょう。雪合戦をしながら登校したのでしょうね。
カーテンに光集まる昼休み
渋川小野上中3年 唐澤久美子
【評】「光集まる」がうまい。外から射す光で明るくなっているカーテンを詩的に表現しています。昼休みのくつろいだ視線も感じます。
帰り道石ころければ道続く
渋川小野上中3年 佐藤 史佳
【評】「道続く」がうまい。石を蹴(け)るために落とした視線の中に、道は次々と現れるのです。「帰り道」に工夫があればもっとよくなります。