林桂選

2008年3月12日上毛新聞掲載


おかあさんをひとりじめだってたんじょう日だもん
前橋桃川小1年 さいとうゆい
【評】誕生日のうれしさの一番は、お母さんの視線が自分に向いて、独り占めできること。こういう誕生日の喜びもあるのですね。
わたしはね水のかん字がうまいんだ
前橋桃川小1年 小すぎかな子
【評】書道を習っているのでしょう。「水」は書道の基本が全部入っているといいます。「水」が上手いということは大変なことなのです。
手ぶくろのそとはさむさがついている
前橋山王小1年 栗原 正明
【評】暖かい手袋。寒さから手を守ってくれるぶん、手袋の外側は冷たくなっています。「さむさがそとについている」がうまい表現です。
なんでだろないたらなぜかわらえたよ
前橋山王小2年 長谷川はるか
【評】思い切り泣いたことで、整理された気持ち。再び笑う力が戻ってきていました。泣くことは不思議な力を生むものなのですね。
草や花雪のふとんでねむってる
前橋山王小2年 石崎 りな
【評】降り積もった雪。その下に春の草や花が隠れています。雪をふとんに見立てれば、その下の草花は、眠っていることになります。
夕やけのふじ山見えるばあちゃんち
前橋山王小2年 むとう早な
【評】お祖母さんの家はどこにあるのでしょう。分からなくても、夕焼けの美しい富士山が見えるというだけでステキな所とわかります。
生まれたよもちの赤ちゃんわらってる
前橋東小2年 黒崎まど香
【評】「もちの赤ちゃん」がいい。モチのような肌をした赤ちゃんという意味でしょう。かわいらしさが分かる表現になっています。
コートきてトコトコトコといきました
前橋駒形小2年 田胡 咲良
【評】音の響きに敏感なのでしょう。「コート」と「トコトコトコ」は音の遊びのようですが、気持ちのよい音に敏感でないと書けません。
強風に全身使って歩き出す
高崎国府小3年 八木 佑斗
【評】「全身使って」がいい。強い風に向かって歩くようすが分かります。欲を言えば「強風」は「北風」の方がよかったかもしれません。
いもうとはチョコのことをコチョという
前橋山王小3年 大関 圭音
【評】小さい子どもは、時に覚え間違い、言い間違いをすることがあります。でも、その間違いが子どもらしくてかわいいのです。
風がふく風の子雲の子ついてくる
高崎城山小4年 鈴木  結
【評】リズムのいい句です。風を先頭に、その後に風の子や雲の子がついて続いているという想像が楽しい。風の道をみんなで通ります。
こっそりとおかしをたべるとねこが来る
前橋大胡小4年 小林 俊介
【評】家の人に内緒で食べたお菓子でも、鼻のきくネコはごまかせません。状況的にはネコにも分け前をあげるしかないでしょう。愉快な句。
うちの犬コーラのグミを食べるんだ
前橋大胡小4年 岡田 和樹
【評】かみ応えがするグミは、骨までかむ犬にはたまらない食感かもしれません。新しい発見です。コーラ味を好むというのも楽しい。
耳なりがさばくの風のようだった
前橋大胡小4年 市川 巧実
【評】耳鳴りを初めて経験したのでしょう。砂嵐のような音と言いますが、体験することで分かることもあります。それがつらい体験でも。