鈴木伸一選

2008年4月2日上毛新聞掲載


春の朝見た事が無い鳥がいる
高崎城山小5年 西岡 千波
【評】鳥の名が分からなくてちょっとくやしい気もするし、はじめて見たという不思議な感動もあるでしょう。いかにも春の朝らしいですね。
新学期初めの本は物語
前橋駒形小5年 原  紫音
【評】新学期になって最初に図書室で借りる本は、想像力をかき立てる物語にしようというのです。たくさん読んで、心を豊かにしましょう。
森の中走ってきたよ春の風
前橋大胡小5年 片岡 徳光
【評】ただでさえ気持ちのいい春風が、森を抜けてくることで、さらにみずみずしい感じになります。片岡君自身が走ったとも読めますが。
六年だちょっぴり不安な春休み
前橋大胡小5年 西田 実穂
【評】春休みが終わると、いよいよ最上級生。みんなで協力し合えば不安も小さくなるし、小学校最後の一年も充実したものになるでしょう。
春近し半そでの子が遊んでる
高崎堤ヶ岡小5年 今成あゆみ
【評】校庭で遊ぶ子の服が半そでなのを見て、もう春だなあ、と思った今成さん。学校生活を通して、季節感がしっかりと表現されています。
青空が春の光とまざりあう
前橋粕川小6年 猪熊 留美
【評】まぶしいくらいにきらきらとかがやく春の青空が、ぱっと目に浮かんできます。空だけでなく、世界中がかがやいているみたいです。
帰り道小鳥の歌が春を呼ぶ
前橋粕川小6年 高柳 航也
【評】一読、自然と心がはずんでくる俳句です。学校からの帰り道かと思いますが、高柳君も一緒に歌を口ずさんだのではないでしょうか。
春が来てパジャマも春にはやがわり
前橋粕川小6年 蜂須なづほ
【評】あたたかい春が来て、パジャマを薄手のものに替えると、心まで軽くなるようです。何だか、楽しい夢が見られそうな予感がしますね。
犬の水全部氷になっている
前橋粕川小6年 布施川将道
【評】事実をずばりと表現した分、読み手に強い印象を与える作品となっています。「全部」という言葉が、とりわけ効果的に働いています。
かぜひいてバタバタしてるランドセル
前橋粕川小6年 松村ひとみ
【評】卒業式間近になって、かぜをひいてしまったのかな。不安で落ち着かない胸の内が、「ランドセル」を通して表現されているようです。
白い息登校中にさわいでる
前橋粕川小6年 村川 奈央
【評】息が白くなるような冬の寒い朝も、元気いっぱいで登校する村川さんたち。はずむ会話に、白い息も楽しげに踊っているみたいです。
桜もち家の外まで桜色
前橋大利根小6年 黒沢 睦貴
【評】桜もちの上品な甘さが口に広がると、気持ちが自然にほんわかとしてきます。家の外にはサクラも咲いて、これぞ日本の春という感じ。
降りたあとふらここにのるちょうちょかな
高崎中尾中1年 齊藤 礼実
【評】「ふらここ」は、ブランコのこと。齊藤さんが降りたあと、飛んできたチョウがとまったのでしょうが、その情景がよく見えてきます。
通学路歩いて分かる春の花
渋川小野上中1年 唐沢 未来
【評】実際に歩いてみないと、見えてこないものもあります。俳句は頭の中で考えるだけでなく、外に出て、ものをよく見ることも大事です。
体育着のほころび広がり春近し
渋川小野上中2年 斉藤 結衣
【評】「体育着のほころび」という些細(ささい)なことから、季節感をしっかりととらえています。作者の日常に、俳句が定着している証拠でしょう。
真昼間のゆるい空気で深呼吸
中之条中3年 割田美早紀
【評】季節は書かれていませんが、「ゆるい空気」は春以外に考えられません。深呼吸をしたら、ますます眠くなってくるような感じですね。
啓蟄や淡くやさしい今日の空
六合中3年 中村 真唯
【評】「啓蟄(けいちつ)」は土の中の虫などが穴を出てくるという意味で、三月六日ごろ。穏やかな語り口から、春到来の喜びが静かに伝わってきます。