鈴木伸一選

2008年4月16日上毛新聞掲載


梅の花神社の前では満開だ
高崎堤ヶ岡小5年 桜井 翔太
【評】神社には、梅の花がよく似合いますね。ところで、他に先がけて満開になっているのは、神様の力なのでしょうか。何だか不思議です。
春の風バドミントンの羽根飛ばす
高崎堤ヶ岡小5年 原田千有希
【評】おだやかにふくだけが、春風ではありません。この句のように、バドミントンの羽根を飛ばしてしまうほど強くふくこともあります。
マラソンの練習いつも風いっしょ
前橋山王小5年 萩原真梨奈
【評】持久走大会が行われるのは、主に初冬のころでしょう。冷たく強い風もふきはじめるので、「いっしょ」という言葉に実感があります。
春の風いつもとちがう体育館
下仁田小坂小6年 安藤  真
【評】卒業式当日の体育館でしょう。しんと静まり返って、さびしさと喜びが混ざり合ったような不思議な雰囲気をただよわせているのです。
手のひらを太陽に向けて中学へ
下仁田小坂小6年 永井 友梨
【評】四月から始まる新しい生活への期待感が、よく出ています。この句のように伸び伸びとした心で、明るい中学校生活を送ってください。
春の雲一つ一つに夢がある
下仁田小坂小6年 林 亜紀乃
【評】この句にも、中学校生活に対する前向きな気持ちが、とてもよく感じられます。たくさんの夢が実現されるよう、私も応援しています。
夢の中真赤な椿が咲きほこる
高崎中尾中1年 内田 有香
【評】今は盛りと咲きほこるツバキには、どことなく妖気のようなものも感じられますね。まして真っ赤な花となれば、なおさらでしょう。
宅配便椿一緒にやってくる
高崎中尾中1年 吉田 優里
【評】上五が特定の事業者名だったので、一般的な言い方に直しました。それはともかく、荷物と一緒に春という季節も届いたようで面白い。
まんさくのにおいただよう青い空
渋川小野上中2年 小野 真毅
【評】黄色いマンサクの花は、春のおとずれを告げるようで、とても印象的なものです。正攻法の自然詠で、その素直さに好感が持てます。
春近し空気の色も変わってく
渋川小野上中2年 唐沢 達也
【評】もちろん現実的には空気に色はないのですが、その一方、不可視を可視に変えるというのも、文学的行為として大事なことと言えます。
電線の鳥の数だけ春が来る
渋川小野上中2年 齊藤 天志
【評】電線にとまる鳥の数が増えれば増えるほど、春が近づいてくるように感じた作者。こう言われてみると、確かにそんな気がしてきます。
体育館雨漏りの水光りけり
渋川小野上中2年 樋田 真季
【評】普通は詩的とは言い難い「雨漏り」だって、ちゃんと俳句になります。それどころか、とても美しく見えてきさえするから不思議です。
春うらら校舎にもたれ眠くなる
安中松井田東中2年 武井  礁
【評】作者にとって、学校が居心地のいい場所であることが自ずと分かります。居心地が悪かったら、安心して眠くなることなどできません。
だんだんと明るくなって春を待つ
六合中2年 武森 清香
【評】日が伸びて実際に明るくなったと共に、気持ちの上でもどことなく明るくなってきたのでしょう。待春の思いが素直に伝わってきます。