鈴木伸一選

2008年4月30日上毛新聞掲載


ちょうちょたち私のぼうしにのった春
前橋駒形小5年 岡田 莉緒
【評】「ちょうちょたち」だから、一匹や二匹ではないでしょう。場所は「ぐんま昆虫の森」あたりかな。楽しい春の思い出ができましたね。
プールうらたんぽぽ畑ができている
前橋新田小5年 西沢 秀平
【評】思いがけない場所にタンポポがいっぱい咲いていて、びっくりしちゃうことってありますね。学校のプールの裏も、そうした場所です。
春雨のきらきら光る水たまり
高崎堤ヶ岡小5年 小川 純平
【評】草木を育てる「春雨」は、いかにもみずみずしい感じがします。きらきら光る水たまりも、そうした印象とつながっているでしょう。
春になり犬も春風楽しむよ
前橋山王小5年 矢部 鈴夏
【評】愛犬といっしょの散歩でしょうか。ここちよい春風がふいて、矢部さんの心も自然とはずんできます。犬も同じように楽しそうです。
いい天気始業式が始まった
前橋山王小5年 和田ひなの
【評】気持ちよくむかえた新学期。それは天気のせいだけではありません。和田さんの、上級生としての心構えがしっかりしているからです。
弟の新しいくつから春の音
前橋山王小6年 栗原 有加
【評】新しいくつをはくと、心もからだも自然にうきうきしてきます。そんな弟さんの様子を、お姉さんらしいやさしいまなざしで描いた句。
春風にふかれて渡る桃ノ木川
前橋桃川小5年 山口ちひろ
【評】山口さんは毎日、桃ノ木川の橋を渡って登下校しているのでしょう。日常生活の中から、しっかりと季節感をとらえたのがいいですね。
校庭が春のにおいでいっぱいだ
前橋桃川小6年 栗原ひかり
【評】咲き誇る草花からも、元気に遊ぶ子どもたちからも、春らしいうきうきした雰囲気があふれ出して、校庭いっぱいに広がっています。
入学式人形みたいな一年生
高崎国府小6年 新谷 朱音
【評】小さな一年生たちが、人形みたいにかわいらしく見えるということかな。緊張して、人形みたいにかしこまっているということかな。
桜咲きまぶしく光る友の顔
前橋大胡小6年 渡辺 彩未
【評】日を浴びて友だちの顔が光っているということと共に、友だちが持つ人間的な魅力そのものが光っているということでもあるでしょう。
空見上げ桜が一つふってきた
高崎城山小6年 木口  潤
【評】美しく咲き誇っていた桜も、そろそろ散り始めるころ。はらりと落ちた一枚の花びらから、そこはかとないさびしさが伝わってきます。
こらメジロすももの花をちらかすな
邑楽長柄小6年 根岸 春奈
【評】「ちらかすな」という怒ったような口ぶりとは裏腹に、根岸さんは、内心ではメジロってかわいいなあ、と思っているんじゃないかな。
となりあうすいせんたちが笑ってる
中之条中1年 狩野 夏美
【評】「すいせん」は、もちろん実際の植物ですが、同時に、狩野さんたちの姿も重なって見えるようです。「となりあう」の働きでしょう。
桜の花雨の中でも強く咲く
中之条中1年 桜井満依子
【評】雨が降ると桜が散ってさびしい、という作品が多い中、この句は、はかなさとは正反対の力強さをとらえました。視点の独自性がいい。
友達と歩いた道に花の風
中之条中1年 田村未菜美
【評】中学生になって一カ月あまり。きっと、新しい友だちもできたことでしょう。これから、さらに友情を深めていってほしいと思います。
星たちの声にさそわれ桜咲く
前橋木瀬中2年 大島 衿佳
【評】とてもロマンチックな発想の作品。一読、光り輝く満天の星と、幻想的で美しい夜の桜が、目の前にぱっと広がってくる感じがします。
黒板にひびきわたるよ春の声
渋川小野上中1年 今井 健斗
【評】張りのある先生の声。明るく元気な生徒の声。その他、教室内のいろんな音が黒板に響き渡ります。いかにも春だなあ、と感じますね。
制服のボタン手間どる春の朝
渋川小野上中1年 野村 聡太
【評】学生服のボタンをとめるのに、まだ不慣れな野村君。じれったい感じもするでしょうが、それをユーモラスに表現できた点がよかった。
春描く二十四色使ったよ
渋川小野上中2年 野村 美咲
【評】色鉛筆かな。絵の具かな。春の風景を描くのに、持てる色をすべて使ったというのです。それほど、春は色彩豊かな季節だということ。
桜ちりノートひろげた青い空
渋川小野上中3年 小野  恵
【評】桜が散った後の青空には、だんだんと初夏の気配(けはい)が漂い始め、気分も何となくすがすがしくなってきます。勉強もはかどりそうですね。
おはようと声をかけたら桜咲く
渋川小野上中3年 斉藤 結衣
【評】実際の桜であると同時に、心の中に開いた桜でもあるでしょう。あいさつを交わすと、それだけであたたかな気持ちになりますものね。
川向こうとなりの町にもこいのぼり
渋川小野上中3年 平方 早紀
【評】小野上中から吾妻川越しに見えるのは、東吾妻町の旧東村地区。対岸で風にはためく大きなこいのぼりは、確かに印象的なものですね。