林桂選

2008年5月14日上毛新聞掲載


くもりぞらそれでもあかるいさくらかな
群馬大附小1年 品川 瑞華
【評】花曇りの空。それでも桜は花自身の明るさで明るく見えます。花明かりと言います。桜を明るさとして表現する視点が優れています。
弟はおふろの中ではアイドルだ
前橋山王小2年 あら木まなみ
【評】弟さんは、お風呂の中で歌うのでしょう。一緒の家族からほめられ、かわいがられているようすを「アイドル」と言ったのでしょう。
スーパーでおかしは一つママがいう
前橋山王小2年 すながあみ
【評】スーパーに一緒にお買い物に行ったとき、おやつのお菓子を買っていい数は一つ。だから、真剣によく考えて買うことになります。
ブランコで遠くの山が近くなる
前橋山王小2年 ごとうももか
【評】思い切りこいだブランコ。大きく振れると、遠くの山に近づいたような気分です。表現の工夫が、ブランコの楽しさを伝えてくれます。
タンポポの黄色は春の黄色だよ
前橋山王小2年 栗原 正明
【評】タンポポの黄色は、単に黄色いというだけではなく、春の目印の意味があるというのです。タンポポの花明かりに足元を照らされる春。
雪やなぎ小さな花のサーカスだ
前橋山王小2年 栗原 正明
【評】細い枝をたわめて咲くユキヤナギの花は、空中ブランコのようで、確かにサーカスをしているようです。物を見る視点がいい句です。
春の川春の光をはこんでく
前橋山王小2年 栗原 正明
【評】春光に輝く川は、確かに「春の光をはこんでく」ように見えます。光も川と一緒に流れて行くように見えるのです。美しい句です。
夏休みバシャバシャかけこむ光る海
渋川古巻小3年 嶋田 里砂
【評】夏休みで海水浴に出掛けたのでしょう。「バシャバシャかけこむ」も「光る海」も、心から海を楽しんだことがわかる言葉です。
ふじ山にのぼっているのさかみちは
渋川古巻小3年 茅野夕以花
【評】富士山に続く坂道は、道が富士山を登っていることになります。普段と少し違った見方ができると、いい俳句がたくさんできます。
春休みぼくらはずっと遊んでる
渋川古巻小3年 飯塚 峻大
【評】宿題のない春休みの開放的な気分を、「ずっと遊んでる」で、楽しく表現しました。「ぼくら」ですから、同じ仲間もいるのです。
さくらの木はるがきてからいちねんせい
吉井小3年 金子まりな
【評】桜の木に春が来て花が咲き、それから一年生が入学してくるのです。春の来る順番を確かめているようで、楽しい気持ちになります。
もも色のさくらの下でしゅうごうだ
吉井小3年 はぎのかいあ
【評】「もも色の」「しゅうごうだ」に、喜びの気持ちが感じられます。クラス写真でしょうか。桜の下というだけでうれしくなる不思議。
はかまいりぼくのせんぞが笑ってる
前橋大胡小4年 齋藤 大智
【評】お墓参りでご先祖様を感じるのは大切なこと。しかもその「せんぞが笑ってる」ように感じたのですから、すばらしいことです。
4年生風がふいてもあそびます
前橋大室小4年 土合 雄大
【評】「4年生」という気持ちの表現ができています。少しくらいの風には負けないで遊び続けられるような上級生の仲間に入ったのです。
だいこんがおなべのふろでとうめいだ
前橋桃川小4年 都筑美歌子
【評】大根は煮ると透明になります。「おなべのふろでとうめいだ」は、よく大根を見ているからできたたとえです。
ポストの中新聞といっしょにさくらいる
前橋山王小4年 中島 真紀
【評】ここでの「ポスト」は新聞受けのことでしょう。開けると桜の花びらが紛れこんでいたのです。「さくらいる」の擬人法が効果的。
とうこうはん一年生はたんぽぽだ
前橋山王小4年 村山樹里奈
【評】黄色い帽子に黄色いランドセルカバーした一年生を、タンポポにたとえました。一年生を迎えた登校班の春らしいにぎわいを感じます。
春風が仲まをむかえにとんでゆく
前橋山王小4年 落合すずね
【評】暖かい春風のようすを「仲まをむかえにとんでゆく」で表現しています。吹いてはやむおだやかな風を感じさせてくれます。
弟は春風来るとわらいだす
前橋山王小4年 藤井 愛莉
【評】何となく楽しい春の気分。ちょっとしたきっかけでも笑い出してしまいそうです。弟さんは、快い春風で笑いだしてしまいました。
風の歌さくらの花びら歌ってる
前橋山王小4年 村山じゅりな
【評】風に吹かれて散る桜の花びら。その舞うようすをたとえて、花びらが風の歌を歌っていると言っているのです。美しいたとえです。
プリントはいつもわたしとにらめっこ
前橋駒形小4年 小野 夏実
【評】わたしがにらめっこするのではなく、プリントがにらめっこをするのです。プリントの方が主導権を持っている感じなのでしょう。