鈴木伸一選

2008年7月2日上毛新聞掲載


夏の風ポスターパラパラ落ちてくる
前橋駒形小5年 高橋 瑞希
【評】強めの夏の風が、教室の壁に張られたポスターを吹き落としたのです。「夏嵐机上の白紙飛び尽す」(正岡子規)という句もあります。
雨つぶがビニールハウスをかけてゆく
片品武尊根小5年 星野 紗穂
【評】降り出した雨がビニールハウスを打って、大きな音を立てているのです。夕立などであったとすれば一層、実感が豊かになるでしょう。
リズムよく母と一緒に田植えする
安中九十九小5年 小板橋美里
【評】体験学習で、親子で田植えをしたとのこと。お母さんとの息も合って、作業がはかどったことが、とてもうれしそうに書かれています。
水着きて車洗って水遊び
高崎堤ケ岡小5年 田中 朝妃
【評】洗車を手伝えば、どうしてもぬれてしまうし、どうせそのまま水遊びをするのなら、はじめから水着を着ていた方が便利ですものね。
長ぐつで遊び心がさわいでる
高崎堤ケ岡小5年 中島 真琴
【評】私なんか、いまだに長ぐつをはくと水たまりに入ってみたくなりますよ。うっとうしい梅雨どきも、遊び心で楽しく過ごしましょう。
夏だから犬の散歩をながくする
高崎城山小5年 荻原小由希
【評】日が長くなって、散歩時間も長く取れるわけです。せっかくですから、まわりの風景などをゆっくりと観察しながら歩いてみましょう。
大けやき一年生が口あけて
前橋大胡小6年 高橋 直樹
【評】ケヤキの木の大きさにびっくりしたような表情を浮かべている一年生の姿が、目に見えるようです。いかにもかわいらしい姿ですね。
夏つばき散った花も絵になるよ
前橋山王小6年 江塚めぐみ
【評】ナツツバキ(シャラ)の白い花は、散った後も美しい。「うちしきてあしたの沙羅のよごれなし」(長谷川素逝)を思い出しました。
夏の空太陽光るあおさかな
伊勢崎あずま南小6年 仁井田 凌
【評】真っ青に晴れ渡った夏の大空が、ぱっと目に浮かびます。単に青いというのでなく、まぶしいくらいの光を帯びた青さであるのがいい。
円覚寺線香香る雨の後
前橋元総社南小6年 大石 美咲
【評】雨上がりの古寺の清らかな空気の中、お線香の香りが心をおだやかにしてくれます。修学旅行のうわついた感じが見られないのも立派。
新緑や源平池も緑色
前橋元総社南小6年 桜井  陸
【評】修学旅行俳句は、どうしても似たものになってしまいがちですが、この句は、「緑色」に桜井君の発見があります。これが大事ですよ。
かたつむりあじさい寺に行きたがる
前橋大利根小6年 屋代 周一
【評】鎌倉の明月院は、アジサイの寺としてよく知られています。この句は、屋代君がカタツムリの気持ちになって表現したのがよかった。
夏至の夜期末テストが間近だな
中之条中1年 新井 隆史
【評】「間近だな」という独り言に似た表現に、どこか落ち着かない胸の内が透けて見えるようです。「夏至」という季語のあっ旋も効果的。
くしゃくしゃな心をのばす夏の風
中之条中1年 萩原 悠太
【評】悩みや不安などで、心がしおれたようになってしまうことがあります。すがすがしい夏の風を全身に受け、リフレッシュしましょう。
山々が梅雨の訪れ告げている
中之条中1年 原沢 花音
【評】梅雨入りのころの湿り気を帯びた空気に、まわりの山々がぼんやりと霞んで見えるのでしょう。正攻法の自然詠で、好感が持てます。
うつむいて歩く私のかげうすく
中之条中1年 宮崎 菜奈
【評】気持ちが沈んでいるときは、自分の影さえ薄く見えるものなのかもしれません。俳句に書くことで、少しは気が晴れればいいのですが。
虹が出て机にノートを出したまま
高崎中尾中2年 青木 駿介
【評】自宅で勉強中だったという感じですが、ノートを出したまま急いで窓際に駆け寄ったのでしょう。勉強中でも、虹は見たいですものね。
外遊びトマトのような気持ちかな
高崎中尾中2年 吉沢 沙紀
【評】夏の日の照りつける中、屋外で遊んだのです。ほてった肌の赤さが、露地もののトマトのようだというのが、若々しく健康的な発想。
小学生サンダル鳴らしてプール行く
渋川小野上中2年 鈴木みちる
【評】サンダルはどうしても音がしますし、むしろ音がする方がサンダルらしいのかも。小学生たちのにぎやかな声まで聞こえてきそうです。
美術室ふちどる窓には夏の色
渋川小野上中3年 斉藤 結衣
【評】美術室の窓枠を額ぶちにたとえ、そこから見える景色が絵画のようだというのです。青や緑を主調とした、すがすがしい絵画でしょう。
弟のサンダル響く夏の空
渋川小野上中3年 樋田 真季
【評】この句もサンダルの音を描いていますが、下五によって、より空間的な広がりを獲得しています。何にせよ、いかにも夏らしい音です。