鈴木伸一選

2008年7月30日上毛新聞掲載


風鈴がなると近づく夏休み
若葉の部安中九十九小5年 小板橋美里
【評】おりからの風に風鈴が涼しげな音で鳴った瞬間、「もうすぐ夏休みだなあ」と思った小板橋さん。すてきな夏休みを過ごしてください。
暑いなあ太陽がこっちみてるから
前橋山王小6年 梨木 晴香
【評】暑くてたまらないときって、確かに太陽が自分ばかりに照りつけているような気さえしますね。この夏も、どうやら暑くなりそうです。
夏休みみんなにあいにプール行く
前橋山王小6年 野口  桂
【評】もちろん、プールで泳ぐこと自体も楽しみなのですが、同時に、友だちと顔を会わせ、おしゃべりすることも楽しみだというわけです。
校庭に汗びっしょりの1年生
前橋桃川小6年 奥山弥奈美
【評】汗びっしょりになっても、元気いっぱいで遊んでいる一年生。その様子を見守っている奥山さんの、やさしいまなざしがいいですね。
楽しくてすこし大変夏休み
伊勢崎あずま南小6年 大野 開生
【評】夏休みは楽しいけど、宿題や自由研究などもあるので、少し大変というわけ。でも、それが一番夏休みらしいと言えるんじゃないかな。
つるがのびうすむらさきの夏の朝
伊勢崎あずま南小6年 須永あすか
【評】アサガオのツルかな。そこに薄紫の色を見て取ったのでしょうが、同時に、朝日が昇ってくるころの空の色も目に浮かぶところがいい。
麦たちが風のタクトで合唱だ
高崎城東小6年 伊藤侑里香
【評】金色に熟した麦畑が、風にさわさわと鳴っています。それが、指揮者のタクトに合わせているようだという発想が、とてもすてきです。
稲妻が根っこのように空走る
中之条中1年 飯塚 麻衣
【評】空を縦横に走る稲妻は、なるほど長く伸びた木の根のようにも見えます。こんなふうに連想してゆくことが、俳句にはとても大切です。
風涼し私の心青くなり
中之条中1年 上原 真衣
【評】俳句で「涼し」というと、季節は夏。つまり、暑さの中に感じる涼しさなんですね。若々しい「青くなり」も、夏だからこそ生きます。
一直線夏の日ざしが進む道
中之条中1年 唐沢 萌子
【評】「一直線」という言葉が効いています。夏の太陽の動きをあらわすだけでなく、作者自身の人柄や生き方までもうかがえるようです。
梅雨の時期雨ニモマケズ登下校
中之条中1年 関  峻史
【評】宮沢賢治の「雨ニモマケズ」を巧みに引用して、中学校生活を描写。こんなふうに詩心を持っていると、毎日が豊かなものになります。
グランドを走ると見える青い空
中之条中1年 武冨 友香
【評】もちろん、いつでも青空は見えるわけですが、部活動などで懸命に走ったときには、その青さが一段と目にしみるようなのでしょう。
ギザギザの十円もらった夏の昼
中之条中1年 田村夢有人
【評】ふちにギザギザのある十円玉って、数が少ないのでしょうか。この句の、「ちょっとラッキー」といった雰囲気から、そう思いました。
終戦日闇にゆられしともしびよ
高崎中尾中1年 八木 悠介
【評】戦争の記憶は、決して風化させてはならないものでしょう。闇に揺れる鎮魂のともし火に、八木君はどんなことを考えたのでしょうか。
夕焼が空にいる祖父包んでる
高崎中尾中2年 末岡 弓佳
【評】今は亡きおじいさんを偲(しの)ぶ作者の思いが、痛いほど伝わってきます。夕焼けはとても美しいけれど、それがかえって切なくもあります。
鈍行で御盆に行くのは祖父の家
高崎中尾中2年 田村  豪
【評】田村君のおじいさんは、まだ健在のようです。鈍行で時間をかけて訪ねることで、祖父への思いが徐々にふくらんでゆくのでしょう。
悪戯に道狭くする夏の草
高崎中尾中2年 徳江 里紗
【評】繁殖力旺盛な夏草が、道を狭くするほどに茂っているのです。でも、作者はそれを嫌がらず、軽いユーモアで受けとめているのがいい。
扇風機宿題答えに首を振る
渋川小野上中2年 佐藤 千栄
【評】宿題に取り組んでいても、暑くていま一つ集中できないのでしょう。扇風機が答えに首を振っているというのは、面白い発想ですが。
夏空を崩して映す水面かな
前橋木瀬中2年 布川 佳樹
【評】湖沼に映った空が、水面(みなも)の揺れに連れて崩れるように見えます。キラキラと輝く光の破片が目に浮かび、夏の季節感が伝わってきます。