林桂選

2008年8月20日上毛新聞掲載


おつきさまくものふとんでねているよ
前橋大胡小1年 しらいわてんじゅ
【評】雲をふとんに見立てて、雲に隠れたお月さまは寝ているのだろうと考えました。月の光が見えないのは、そのためなのです。
あさがおのあみだくじびきおおあたり
群馬大附小1年 品川 瑞華
【評】つるがたくさんからんでいる朝顔なのでしょう。つるをたどっていって咲いている花に当たるかどうかのくじ遊びをしているようです。
ひょうがきただんすをしてるぼくのにわ
前橋山王小1年 ささもとこうせい
【評】雹ひょうが降りました。大きな氷の玉は、庭に弾むように落ちてきます。それを「だんすをしてる」と表現しました。おもしろい。
かきごおりしろっぷかけすぎとけちゃった
前橋山王小1年 いしざきゆうと
【評】好きなだけシロップをかけていいという屋台のかき氷屋さんでしょうか。つい好きなシロップをかけすぎて氷が目減りしてしまいます。
りんごのきりんごがなるのしっている
前橋山王小1年 あたらしたくま
【評】今は何もなっていない木だけれども、やがてリンゴをならせる木だと分かるというのでしょう。リンゴの「木」を覚えたのです。
あめがふりいっぱいふってあかぎやま
前橋山王小2年 千原 大輝
【評】とにかく大量の雨が降ったのです。繰り返しで伝えようとするのはそのようすです。そして赤城山は見えなくなっているのでしょうね。
ごぼうのはかさになるほど大きいよ
高崎城山小2年 早さかじょう
【評】傘になるほど大きな葉になるフキの種類はよく知られていますが、実はゴボウの葉も相当大きい。実際に見たからできる発見の句です。
プール大好き夏大好き
前橋桃川小2年 石田みやび
【評】短律の自由律句。夏とプールへの気持ちを単刀直入に書いています。短律句はこのような書き方をするとき大きな効果を生みます。
かたつむりうしろのからがにじ色だ
富岡高瀬小2年 萩原  唯
【評】「うしろのから」は、からの内側のことです。からの内側はつるつるしていてきれいです。そして、虹色に光って見えるときもあります。
エンジンを止めて気づくよ雨の音
前橋大胡小3年 大原 京子
【評】雨の中を自動車で帰ってきました。雨が降っているのは知っていましたが、エンジンを止め音を聞いてあらためて雨の激しさを知るのです。
くさむしりありがぬくなとじゃまをする
前橋大胡小3年 おか田ゆい
【評】草むしりに、たくさんのアリがでてきました。きっとアリの巣を壊してしまったのでしょうが、草を守るために出てきたように見えます。
スイカたち太ってポンとなるだろう
片品武尊根小3年 千明諒之介
【評】「太ってポンとなるだろう」には思わず笑ってしまいます。小さなスイカを目の前にしての推量。スイカのお悩み相談の回答のようです。
ナタデココお口の中でトランポリン
前橋山王小3年 かばさわみく
【評】ナタデココの弾力のある歯ごたえを「トランポリン」にたとえました。トランポリンはよくたとえに使われますが、ナタデココは初めて。
学どうに走って帰るさか道を
前橋山王小3年 小川 奈菜
【評】学校から学童保育所までに坂道があるのです。そこを元気に走ってゆくのです。「帰る」はお家に帰るのと同じ気持ちの表れた言葉です。
体いく館まどがあいてたもう夏だ
下仁田小坂小3年 土谷 美咲
【評】夏をどこで感じるかは人さまざま。でも体育館の高窓の開放に夏を感じる視線は個性的で、俳句的でもあります。視点のいい句です。
弟が毎日見てるつばめの巣
前橋大胡小4年 木村 杏莉
【評】ツバメの子どもが気になって、毎日熱心に見ている弟さん。作者は世界が輝いてみえる幼い世界の住人だった記憶をよみがえらせています。
大けやきわたしの上で歌ってる
前橋大胡小4年 生方 美月
【評】「わたしの上で」で、大ケヤキの大きさが表現されています。「歌ってる」は、風にそよぐ葉ずれの音のたとえです。
ブランコでいしかわたくやじゃんぷした
前橋大胡小4年 三田しんや
【評】「いしかわたくや」君は友達の名前でしょうね。ブランコを大きく振ってジャンプして遠くまで飛んでいるのです。元気な友達なのです。
大けやき夜になるとくらくなる
前橋大胡小4年 大矢 瑞穂
【評】夜の闇の中で樹木は最も暗く感じるものの一つです。「大けやき」なら、一層暗くなるはずです。これもケヤキの表情のひとつなのです。
大ケヤキ風のせいが一休み
前橋大胡小4年 高橋 茉優
【評】風に大きくそよぐ大ケヤキ。きっと風の精が一休みしているからだと考えたのです。風の精は見えなくても、そよぐ葉が証拠なのです。
大けやき葉のおしゃべりが風にのる
前橋大胡小4年 おぎ原ななみ
【評】「葉のおしゃべり」は葉ずれの音。それが風に乗って聞こえてきます。まるで童話の一場面のような描き方です。物語ができそうです。
夕立ちが雨の音楽ながしてる
前橋山王小4年 関根百萌花
【評】夕立の雨によって生まれるいろいろな音を「音楽」にたとえました。夕立は音楽の演奏にやってきていたのでした。おもしろい視点です。
かみなりがわたしのいえをいじめるよ
前橋山王小4年 荒金 柚衣
【評】雷光、雷鳴、雷雨に襲われました。「わたしのいえをいじめるよ」がいい。雷と戦ってくれているのは家。思わす応援したくなります。
日焼けする父の笑顔は海のよう
前橋駒形小4年 荻原 香夏
【評】日焼けしてたくましいお父さん。その笑顔に感じる「海のよう」は、尊敬と信頼の気持ちをたとえたものです。感謝の気持ちなのです。