林桂選

2008年8月20日上毛新聞掲載


雨ふってせんたく物のおばけやしき
高崎城山小5年 田中ひであき
【評】雨が降って外に干すことができない洗濯物が、部屋いっぱいに干されている様子を、「おばけやしき」のようだとたとえました。おもしろい。
会うたびにいつも手をふる一年生
高崎城山小6年 青木恵美子
【評】人なつこい一年生です。学校が楽しいのでしょう。六年生のお姉さんに寄せる信頼感から、見覚えのある人に手を振るのでしょうね。
帰り道汗で顔がぬれている
前橋大胡小6年 井戸口菜美
【評】「汗で顔がぬれている」と感情を交えずに客観的表現をしたので、逆に大変でつらい帰り道のようすが感じられる句になりました。
太陽をはじめてふんだ水たまり
前橋大胡小6年 清水咲也加
【評】もちろん水たまりに映った太陽。映った太陽であっても、踏んだという経験と感覚は残ります。世界が少しずつ豊かになっていきます。
妹がキャンプファイヤーの歌歌ってる
前橋桃川小6年 鈴木 伶菜
【評】きっと近々キャンプにゆくことになっているのでしょう。その待ち遠しい気持ちが「キャンプファイヤーの歌」を歌わせるのです。
いしたたき川にあるいわたたきます
伊勢崎あずま南小6年 木野内竜馬
【評】「いしたたき」はセキレイのことです。長い尾を振って河原などの石をたたいているように見えるので、このように呼ばれます。
なみがきた青い海につかまるな
前橋桃瀬小6年 細野  響
【評】「青い海につかまるな」と海を擬人化して表現しています。波は海の手のように見立てられているのでしょう。海との鬼ごっこのよう。
若葉かな迷子になった博物館
安中松井田東中2年 小板橋幸恵
【評】上野公園の見学旅行の一場面でしょうか。迷子になる広さです。「若葉かな」がいい。不安な心が見つけた木々の若葉のひろがりです。
新緑の東京旅行十三歳
安中松井田東中2年 生駒  茜
【評】「十三歳」が効果的。「新緑の東京旅行」も叙情的な表現になっていますが、それを受けたて「十三歳」で自画像を描いています。
新緑に日光当たる参拝道
下仁田中3年 柳  宗輝
【評】新緑に覆われた参拝道の寺社仏閣。長い参道に木漏れ日が落ちてまばゆい感じです。信仰の入り口の場のしつらえなのでしょう。
突然の夕立階段駆け上がる
六合中3年 萩原あずさ
【評】「階段駆け上がる」のは、夕立の雨脚と考えるべきなのでしょう。突然の雨脚が遠くから階段を駆け上るように降ってきたのです。
青空に水をかける昼間かな
渋川小野上中3年 青木 里穂
【評】水まきを大きな景色の中で描いて涼感を誘います。中七の字足らずが惜しい。「かけてる」か「かけいる」でリズムを整えたいところ。