林桂選

2008年9月17日上毛新聞掲載


はなびがねめをつむってもひかってる
前橋山王小1年 きうちみずき
【評】つぶったまぶたをとおして感じる光。花火の強い光を表現するのに成功しています。その強さの変化をまぶたをとおして感じています。
げんごろうはっぱのまわりまわってる
藤岡美土里小1年 おおくまりこ
【評】「はっぱ」は水草の葉っぱ。その周りをぐるぐると泳ぐゲンゴロウ。何をしようとしているのでしょう。じっと見入ってしまいます。
はいこぞういつかはセミになるんだよ
藤岡美土里小2年 高はしじん
【評】「はいこぞう」は藤岡でのセミの幼虫の呼び名。セミの幼虫には、トンボのヤゴのような決まった呼び名がなくていろいろあります。
かえるの子しっぽがすこしのこってる
藤岡美土里小2年 設楽 恭介
【評】もうカエルの姿で、わずかにシッポが残っているだけ。だから、「オタマジャクシ」ではなく、「かえるの子」なのですね。
アブラゼミすばやくにげてまたとまる
藤岡美土里小2年 村越  葵
【評】遠くではなく、見えている場所から見えている場所に移るのです。こういう逃げ方をされた経験は誰も持っているだろうと思います。
朝いちは風がつめたいねむりたい
片品武尊根小3年 千明 慎也
【評】地元の朝市でしょうか。それとも旅行先での朝市でしょうか。普段は寝ている時間の経験が「風がつめたい」に表現されています。
おまつりは金ぎょすくいのためにある
前橋桃川小2年 さいとうゆい
【評】金魚すくいが大好き。金魚すくいとお祭りの主客転倒表現で強調します。「街灯は夜霧にぬれるためにある」(渡辺白泉)があります。
うちのいぬあつくてまいにちあなをほる
前橋大室小2年 かんざわしゅう
【評】「まいにちあなをほる」がいい。犬は体を冷やすために土の冷たさを利用します。毎日冷たい土を求めて穴を掘っているのです。
せみのこえいえにひびいてうるさいよ
前橋大室小2年 まつ村なおや
【評】「いえにひびいて」がいい。家全体がセミの声に共鳴しているような感じなのでしょう。近くで鳴いているセミの声です。
おほしさませいざになってでてきたよ
前橋大室小2年 山こしみり
【評】「せいざになって」がいい。覚えた星座のとおり輝き出した星たち。組み体操のようにみんなで相談して星座を作ったのでしょうか。
山ゆりの花びらりっぱな黒い点
前橋山王小2年 栗原 正明
【評】「りっぱな黒い点」がいい。内側に斑点がたくさんある山ユリの花びらをよく観察しています。「りっぱな」に発見の驚きがあります。
夏休みふじ山行って雲食べた
前橋山王小3年 石崎 莉奈
【評】「雲食べた」がいい。富士山で霧に出会ったのでしょう。それは富士山の雲として見ていたものに違いありません。貴重な体験です。
足だけと入った海で服ぬらす
前橋山王小3年 荒木 愛実
【評】最初は少しだけのつもりが、ついつい深入りしてすそをぬらしてしまうことはよくあること。抑制を効かなくさせる海の力が働きます。
学校でもらったすず虫ないている
前橋山王小3年 石川 葉奈
【評】学校でスズムシを育てて生徒に配布しているのでしょうか。いいですね。「ないている」にもらってきた喜びがこめられています。
きれいだな海の向こうの太陽は
片品小4年 星野 裕哉
【評】海の向こうに沈む太陽。山に沈む太陽を見慣れている目には新鮮な風景です。「きれいだな」という感想もこの句ではいいでしょう。
ぼんおどりまるぬまおんどでおどったよ
片品小4年 入澤紗也華
【評】盆踊りは、それぞれの地に音頭が作られています。入澤さんの盆踊りの曲は丸沼音頭。世代を超えて一緒に踊れるという意味でも大切。