鈴木伸一選

2008年9月10日上毛新聞掲載


コスモスが夕日にあたってかがやくよ
前橋駒形小5年 石井 優衣
【評】絵を見るような美しい俳句。これまでにもたくさん詠まれてきた情景ではありますが、逆に言えば、それだけ多くの人を惹ひきつける魅力があるということ。
お母さんかい物かごにねぎでてる
前橋駒形小5年 関口 幸夏
【評】お母さんといっしょの買い物。かごからはみ出したネギという、ごく日常的なものを描いて、母と子のあたたかな心の通い合いを感じさせるのがいい。
夏休み一人でいると雷だ
前橋大室小5年 高山 佳子
【評】一人でるす番かな。自分の部屋に一人でいたのかな。どちらにしても、突然の雷に心細さを感じた高山さん。そのときの表情まで目に浮かぶような俳句です。
花火してけむりがこっちに寄ってくる
前橋大室小6年 齋藤  葵
【評】庭などで花火をするときに風下に立つと、流れてきた煙にむせてしまうことってありますね。もっとも、それもまた楽しい思い出になるのでしょうが。
下校中心はずむむぎかり機
前橋大室小6年 星野菜々子
【評】金色に麦が実った畑では、今まさに刈り入れの真っ最中。麦刈り機のエンジン音も軽快で、それを聞いていると、何だか心がはずんでくるようなのです。
夏休み旅の続きは夢の中
前橋下川淵小6年 穂積 若奈
【評】夏休みの旅行がすてきなものだったということが、よく分かります。穂積さんは、これからもいろんな所に旅をし、いろんな経験ができるはず。楽しみですね。
ねったいやゆめを見る間もありません
前橋下川淵小6年 柳田 駿太
【評】暑くて寝苦しい熱帯夜は私も大の苦手で、この句の通り、夢を見る間もなく夜が明けるなんて経験も、しょっちゅうです。地球温暖化問題を真剣に考えなくちゃ。
夏の空少しちがう日もう終わり
前橋大胡東小6年 坂部  杏
【評】夏の終わりごろは、空の色もどことなく透明感を増し、見ていると、ふと切ない気分になったりします。「少年時代」(井上陽水)という曲を思い出しました。
新学期秋のにおいと学校へ
橋桃川小6年 砂川  司
【評】二学期の始まる八月下旬は、まだきびしい残暑の日もありますが、それでも日の光や風の肌ざわりには、何となく秋らしい雰囲気が感じられるのです。
夏休み祖父が俳句を待っている
渋川小野上中2年 鈴木みちる
【評】ジュニア俳壇に孫の作品が載るのを、楽しみにしているおじいさんやおばあさんがおおぜいいるという話を、よく耳にします。選者として、本当にうれしいこと。
そうめんが流れて過ぎる夏の午後
渋川小野上中2年 村上 千織
【評】涼味豊かなそうめん流しではありますが、この句の「流れて過ぎる」という表現からは、食べるのにちょっと飽いてしまった感じが伝わってくるようです。
立秋の夜気好もしく出かけけり
渋川小野上中3年 小野沙季子
【評】立秋と言っても、実際は暑さの盛りです。でも、さすがに夜ともなれば風も涼しさを増し、どこかへ出かけるにも、ちょうどいい感じになってきます。
増えていく思い出背負う夏休み
渋川小野上中3年 沢下 未来
【評】今日という日は二度とないのですから、その意味では、一日一日がすべて大切な思い出になるとも言えます。その思い出を背負って、私たちは生きてゆくのです。
いつもよりひまわり伸びる誕生日
渋川小野上中3年 樋田 真季
【評】ヒマワリは旺盛な生命力を感じさせる植物ですが、誕生日の高揚した気分で眺めると、ますます活力豊かに思えてくるのでしょう。感性の若々しさがいい。