鈴木伸一選

2008年9月24日上毛新聞掲載


校庭に大声走る始業式
前橋粕川小6年 戸塚将太郎
【評】夏休みが終わり、いよいよ二学期の始まりです。真っ黒に日焼けした顔が集まり、その元気さが大きな声となって校庭にはじけます。
コスモスにやさしい青空よく似合う
前橋粕川小6年 渡辺 彩花
【評】コスモスは、確かにやさしい青空が似合う花です。渡辺さん自身がやさしい心の持ち主だから、この句を書くことができたのでしょう。伊勢崎宮郷小6年 荒牧沙里那
花火見て目に色写る夏の夜
伊勢崎宮郷小6年 荒牧沙里那
【評】伊勢崎の花火大会でしょうか。まるでカメラのように、いくつもの美しい花火の色が目に写ったというところに、臨場感がありますね。
おばあちゃんけいろうの日におどってる
吉井馬庭小6年 滋野 光祐
【評】元気で明るいおばあちゃんの姿が、目に浮かぶようです。「おどってる」はユーモラスであると同時に、深い親愛の情も感じられます。
夏の空ぼくにむかって光さす
前橋下川淵小6年 高久 流星
【評】真っ青な夏空の下に立てば、輝く日の光が、自分だけに向かって差してくるように思えるのです。高久君の元気さが、よく出ています。
首をふる私にあたらぬせんぷうき
中之条中1年 中沢 萌花
【評】実際は、扇風機の風はちゃんと届いているのかもしれません。でも、暑くてたまらないときは、風が来ないと感じてしまうのでしょう。
大勢で食べるスイカの甘さかな
中之条中1年 綿貫  朱
【評】大勢でにぎやかに食べるからこそ、スイカもいっそう甘く感じられるのでしょう。その場の楽しそうな雰囲気が、よく伝わってきます。
さらさらと流れゆく川秋思う
高崎中尾中1年 岡野 冬香
【評】詩人中原中也の「一つのメルヘン」に、川の水がさらさらと流れている、というフレーズがあります。秋の川ならではの透明感ですね。
渡り鳥明日にむかって空をとぶ
高崎中尾中1年 神部 貴洋
【評】「明日にむかって」という表現に、神部君の真っすぐな心を感じます。渡り鳥にも神部君にも、明るい明日が待っていることでしょう。
色変わる林檎畑の空の色
高崎中尾中2年 中沢 遥菜
【評】リンゴが赤く色づいてゆくと共に、空の色も変わってきて、秋の深まりを実感させるというのでしょう。季節の変化に敏感な作者です。
夢を見た空一面の鰯雲
前橋春日中2年 須藤 育未
【評】 鰯雲(いわしぐも)が空一面に広がる夢を見たのでしょうか。それとも、実際に空一面の鰯雲を眺め、夢のような気分になったということでしょうか。
きらきらと一生懸命汗をかく
前橋木瀬中2年 富盛 央愛
【評】物事に一生懸命に取り組んでいる人が流す汗は、本当に美しく輝いて見えるものです。若々しい清潔感が伝わってくる点もいいですね。
電灯のひもがゆらゆら夏の午後
渋川小野上中2年 佐藤 千栄
【評】ひもを揺らすのは、窓から入る風でしょうか。扇風機やクーラーなどの風でしょうか。どちらにしても、ちょっと気だるい夏の午後です。
窓開けて秋に近づく青い空
渋川小野上中3年 青木 里穂
【評】開けた窓から、透明感を増した青い空が見えます。それだけで、自分が秋という季節に向かって一歩、近づいたような気がしたのです。
前髪を切りすぎ感じる秋の風
渋川小野上中3年 野村 千夏
【評】ひたいの辺りが、何となくスースーするのでしょうね。風の肌ざわりから知った秋のおとずれを、軽いユーモアを交えて描きました。