林桂選

2008年10月1日上毛新聞掲載


雨やんで金色の日が流れこむ
榛東北小5年 内田 歩美
【評】雨上がりのぬれた世界に日の光が差し込んだときの輝きを巧みに表現しています。「金色の日が流れこむ」の「流れこむ」がいい。
ブランコでにゅう道雲にとびこみたいな
安中九十九小5年 神戸 詩音
【評】大きくブランコをこぐと遠くの山や空に届きそうという句は多いのですが、神戸さんの句は元気のいい夏の入道雲です。
夏祭りヨーヨー持って歩いたよ
前橋大胡小6年 掛川 美穂
【評】早々にヨーヨー釣りをしたのでしょう。祭りの店を回る間中、ヨーヨーを持って歩くことに。祭りの興奮した気持ちを面白く表現。
せんぷう機おまえはいいやつすごいやつ
前橋大胡小6年 亀井 愁真
【評】手を抜くことなく、涼しい風を送り続けてくれる扇風機をたとえて表現しています。たしかに、扇風機が人だったら、こうなるでしょう。
夏の中おてんとさまも水をのむ
前橋大胡小6年 山崎 貴之
【評】夏の日差しに蒸発する水。くみ置きの水があっという間になくなっていたりします。それを「おてんとさまも水をのむ」と表現。愉快。
真夏だよ自分の犬にそう言った
高崎城山小6年 松本 未来
【評】散歩での犬との会話のようです。この会話は、人間と犬の違いを超えて成立します。愛犬家の会話は、みなこのような構図でしょう。
ぬいた歯がひまわりのたねにみえてくる
前橋下川淵小6年 今井 順平
【評】歯とヒマワリの種の大きさ。言われてみれば、同じくらいです。形も似ている気がします。誰も気づいていなかった詩的発見です。
秋が来たしらせに来るのは梨屋さん
前橋下川淵小6年 羽鳥美奈子
【評】この梨(なし)屋さんは行商で来ているのかもしれません。ともあれ、梨屋さんとの出会いに秋を感じるのです。身近に見つけた秋です。
つくつくぼうし宿題急げとせきたてる
前橋粕川小6年 戸塚将太郎
【評】「宿題」は夏休みの課題でしょう。つくづくぼうしは夏の終わりを告げるセミとして描かれています。どこかわびしい声に聞こえます。
飛行機の雲を音が追いかける
中之条中1年 新井 遥菜
【評】光と音のスピードの違いから、進んでいる飛行機雲の場所より少し遅れた所から聞こえてくる音。「雲を音が追いかける」がうまい。
夏休み思い出たくさんおもちゃ箱
中之条中1年 狩野 未希
【評】夏休みをおもちゃ箱にたとえています。そのおもちゃには、遊んだ思い出もいっぱい詰まっています。夏休みの解放感もあります。
歓声で道をつくってスイカ割る
中之条中1年 阿久澤友也
【評】「歓声で道をつくって」がいい。両方から聞こえてくる歓声の真ん中が、スイカへ続く道です。それをたどってスイカへまっしぐら。
水たまり小さな夏の夜空かな
中之条中1年 舘  晴日
【評】水たまりに映った夜空。そこに「小さな夏」を重ねて見ています。どんな小さな場所、場面にも宿る夏の情感。見ているのは夏の真髄(しんずい)。
金木犀ふと将来を考える
前橋春日中2年 藤塚俊太郎
【評】キンモクセイの香りの中、ふと将来の事を考えている自分を発見します。キンモクセイの香りに誘われての自照です。香りが持つ力。
轡虫おもちゃの箱を探ってる
高崎中尾中2年 渡辺 早紀
【評】クツワムシの触角の動きの面白さを「おもちゃの箱を探ってる」と表現したのでしょう。実際におもちゃ箱を探っていても面白い。
秋の空君への想いを大声で
長野原東中3年 佐藤 瑤子
【評】「大声で」の後に省略されているのは「叫ぶ」か「叫びたい」のいずれか。状況は違ってきますが、「君への想い」に違いはありません。
どんぐりにお顔を書いてかざるかな
長野原東中3年 阿部いづみ
【評】ドングリは秋の最も身近な遊び相手。いろいろな遊び方があります。きっと顔の表情もさまざまで、見たてたモデルもいるのでしょう。
水音も風の音にも九月かな
渋川小野上中3年 小野沙季子
【評】音から来る秋。「秋来ぬと目にはさやかに見えねども風の音にぞおどろかれぬる」(藤原敏行)を思い出させます。
応援歌山に響くぞ体育祭
渋川小野上中3年 黒尾 慶太
【評】「山に響くぞ」がいい。大きな声の応援歌がやまびこのように響いて、一層大きく感じられるのです。体育祭の高揚感を巧みに表現。