鈴木伸一選

2008年10月8日上毛新聞掲載


秋になりはいくを書くのがすきになる
前橋山王小5年 戸井田のりか
【評】私も秋は好きで、他の季節よりも俳句が作りやすいです。戸井田さんも私と同じみたいだから、これからいい句がたくさん書けますよ。
運動会ダンスを見てねお母さん
前橋山王小5年 福田 悠夏
【評】学年全員で行うダンスって楽しいと同時に、演技者の表現力も大切なわけで、そこをお母さんにしっかり見てほしいというのでしょう。
母の手は料理した後あったかい
前橋山王小5年 柳  侑歩
【評】料理で火を使ったから、お母さんの手が温かいのではないでしょう。お母さんの愛情がにじみ出ているから、温かいのだと思います。
草むしり虫やとかげがじゃまをする
高崎城山小5年 目崎 真平
【評】虫やトカゲが、草むしりに驚いて飛び出してきます。目崎君は、ついそちらに気を取られてしまい、作業が進まないというわけですね。
こてきでね重なりあった風と音
前橋大胡小6年 井崎 翔太
【評】さわやかな秋風の中での鼓笛演奏。みんなが奏でるメロディーと、心地よい風の音が重なって、さらに演奏がすばらしくなりそうです。
運動会おうえん席は夏になる
前橋駒形小6年 小沢 聖奈
【評】競技をする子どもたちよりも、応援の大人たちの方が熱くなっているというのです。我が身をかえりみて、私も苦笑してしまいました。
ねこのクロとかげつかまえ困ってる
中之条中1年 新井 遥菜
【評】トカゲを捕まえるまでは、本能が働いていたのかもしれませんが、いざ捕まえると、持て余してしまう。いかにも飼い猫、という感じ。
はばたいていく風にゆれて秋の空
前橋春日中2年 渡辺  郁
【評】「はばたいていく」のは、作者自身だと思いたい。さわやかな秋空を揺らして飛びゆく先には、明るい未来が待っていることでしょう。
*前橋春日中の作品は、向井滋先生に指導していただいたものです。

虫の声星の数だけ聞こえけり
渋川小野上中3年 青木 里穂
【評】空気の澄んだ秋の夜空に、数えきれないほどの星が輝いています。たくさんの虫たちの声も、まるで星空から降ってくるかのようです。
星達が朝日に溶けて夏終わる
渋川小野上中3年 斉藤 結衣
【評】「夏終わる」という季語には、一抹のさびしさや感傷が漂いますが、掲句では、それがむしろ効果的で、豊かな青春性を感じさせます。
昼休みチョークが一つ遊んでる
渋川小野上中3年 佐藤智菜津
【評】緊張が途切れ、ふっと力が抜けてしまったような雰囲気の昼休み。作者は教室にいて、ちょっと退屈そうな目でチョークを見ています。