林桂選

2008年10月15日上毛新聞掲載


夏休み川の小石はねむってる
前橋桃瀬小5年 黒沢 月乃
【評】「川の小石はねむってる」がおもしろい。夏休みでの川遊びの実感でしょうか。動きのない河原の石の広がりを表現しています。
カマキリがあみ戸についてる秋の夜
前橋駒形小5年 町田 夏樹
【評】秋のカマキリは思いのほか家の近くにいるものです。網戸にいるカマキリを発見するのもそのため。どこかさみしい「秋の夜」が効果的です。
太陽がこてきの曲をきいている
前橋大胡小6年 有馬 花織
【評】鼓笛パレードの演奏が広がってゆきます。「太陽が」「きいている」の誇張で、その大きな広がりが表現されています。
赤ちゃんの泣き声空までとんでゆく
前橋桃瀬小6年 矢嶋 紗恵
【評】「泣き声空までとんでゆく」も誇張表現。赤ちゃんが、一気に泣きだしてどうしようもないような状態を表現しています。
夏休みいっぱいあそんで新学期
前橋天神小6年 藤井 優香
【評】夏休みに思い残すことなく遊んだという気持ちが「新学期」へ向かう気持ちも充実感のあるものにしているのでしょう。
開会式えの木のかげに無理矢理入る
前橋下川淵小6年 中村 さき
【評】運動会の開会式でしょうか。少し間を詰めてエノキの陰に入って暑さをしのごうというのです。校庭に広がる大きな木陰なのです。
敬老の日電話で声をプレゼント
前橋山王小6年 江塚めぐみ
【評】「声をプレゼント」がいい。おじいさん、おばあさんにとって、自分の「声」がプレゼントになるということを知っているのです。
帰り道森を通ってすずむ夏
中之条中1年 萩原 悠太
【評】森を通る帰り道があるというだけで、ぜいたくな感じがします。夏の暑いときは特に。秋も美しい紅葉のトンネルになるのでしょう。
イチイの木空のしずくが落ちてくる
中之条中1年 冨澤 仁志
【評】「空のしずく」は雨なのでしょうが、この句では日照雨の趣があります。イチイの葉先に、キラキラ輝いているのが見えてきそうです。
試合前何度もかくにんくつのひも
中之条中1年 寺島 由菜
【評】試合中に靴ひもがほどけないように細心の注意をはらっているのですが、それは試合の不安を打ち消すためのものでもあります。
秋にしかできないことを考えよう
渋川小野上中1年 小野 琢郎
【評】発想がいい。季節季節にしかできないことがあるはず。それをすることが季節を楽しむことになるのです。さて秋は何だったのでしょう。
夏休み体内時計がこわれてる
前橋木瀬中2年 国友 夏美
【評】夏休みの不規則になりがちな生活のようすを、「体内時計がこわれてる」で表現。そのおかげで、夜更かし、朝寝坊も思いのままです。
夕焼けにそまらぬ人になりたくて
前橋木瀬中2年 御供 駿介
【評】自己存在の確認。精神的な自立期にいる若者の葛藤(かっとう)を、叙情的に描いて秀抜。身近に自分探しの空間はいくらでもあるものです。
部活動輝く青春心に刻む
前橋木瀬中2年 飯野  翼
【評】部活動の充実感を、「輝く青春心に刻む」と表現。また、大切に生きることの自覚を自身に促すことばでもあるのでしょう。
ガタンゴトン電車が秋風運んでる
前橋木瀬中2年 下山 桃子
【評】電車が通り過ぎるときに起こす風を「電車が秋風運んでる」と表現したのでしょう。「ガタンゴトン」にのどかな田園風景が浮かびます。
あぶらぜみ私の恋もかれてゆく
前橋春日中2年 関口 美香
【評】「私の恋もかれてゆく」は、夏の季節が過ぎて、日に日に鳴き声がかれてゆくアブラゼミに重ねられた傷心の思いなのでしょう。
この年も指をかかげて蜻蛉まつ
長野原東中3年 芝田 萌子
【評】幼い時には、誰も一度は指を立てて蜻蛉(とんぼ)が止まるのを待ったことがあるでしょう。今も幼い日を思い出して、そっと指を立ててみます。
秋が来たパンジー植える5時間目
渋川小野上中3年 朝比奈英世
【評】学校の花壇も、秋冬用に模様替えです。総合の時間でしょうか。みんなでパンジーの苗を植え付けます。身近な季節の変化の発見です。
深夜二時月の光に起こされる
渋川小野上中3年 斉藤 結衣
【評】「月の光に起こされる」がいい。深夜の冴(さ)え渡る月の光に目を奪われて、眠ることを忘れてしまいそうになっているのです。
登校で枯れ葉ひきづる小学生
渋川小野上中3年 飯塚 一樹
【評】枯れ葉を足で踏んで遊びながら登校する小学生の姿。季節の中でさまざまな遊びを見つける子どもの姿を発見し描いています。