鈴木伸一選

2008年10月22日上毛新聞掲載


あいぞめのあおいハンカチいつつかう
前橋大胡東小5年 小林 亜美
【評】体験学習で、藍染めをしたのでしょう。思いのほか出来栄えがよく、使うのが何となくもったいないと思えてきたのかもしれません。
運動会心にのこる四点差
前橋月田小6年 高橋 昂聖
【評】わずか四点差で、団別優勝をのがしたのでしょう。小学生として最後の運動会ということもあって、余計にくやしさが残ったのですね。

*前橋月田小の作品は、上原恭子先生に指導していただいたものです。
尾瀬学校草がサラサラなっている
前橋駒形小6年 小沢 聖奈
【評】心が洗われるようにすがすがしい尾瀬の空気が、「サラサラ」という草の音から、よく伝わってきます。いい思い出ができましたね。
おとなりの年長の子も夏休み
前橋大胡小6年 石井 晴菜
【評】幼稚園か保育園の年長組に通う、隣の家の子。昼間、姿を見かけたか声が聞こえたかして、夏休みをあらためて実感した石井さんです。
鼻の中ぎんなんのにおい秋のにおい
前橋桃川小6年 星  菜摘
【評】ギンナンの独特のにおいに深まる秋を感じるという俳句は、よく見かけますが、この句は、「鼻の中」に臨場感があるのがいいですね。
秋になりテニスコートに光さす
中之条中1年 一場 悠里
【評】秋の日ざしはどことなくさらさらとして、透き通った印象です。テニスコートも、いつにも増して清浄な感じで、一場さんを迎えてくれたことでしょう。
自転車で長い坂道おち葉と共に
中之条中1年 金井明日香
【評】降りしきる落ち葉を巻き上げながら、長い坂道を自転車で下ってゆくのでしょう。映画のワンシーンを見るような、印象的な作品です。
ひまわりが宇宙目がけて背のびする
中之条中1年 宮崎 拓生
【評】「空を目がけて」程度なら、だれしも思いつくでしょう。この句は、「宇宙」まで発想を広げたのがいいところで、いかにも若々しい。
ざわざわと台風近づく教室に
中之条中1年 山口 怜子
【評】台風が来ないに越したことはありませんが、一方、こんなときは妙に気分が高ぶったりもします。「ざわざわと」が、まさにその感じ。
コスモスが光をはなって咲いている
中之条中1年 吉沢 凌希
【評】コスモスの内側からにじみ出てくる、いのちの清浄な光という感じ。「かたまつて薄き光の菫かな」(渡辺水巴)という句もあります。
寒すぎて夢の中では雪がふる
六合中1年 山本  巧
【評】近ごろは、めっきり冷えてきました。それどころか、山本君には寒いと感じられるほどで、それが夢の中の雪につながったのでしょう。
秋の空すがすがしい今映し出す
六合中3年 篠原 友美
【評】秋という季節のすがすがしさもさることながら、作者の若さそのものがかもし出すすがすがしさを感じさせる点が、とてもいいですね。
障子貼る父に横から歩み寄る
高崎中尾中2年 飯田 卓也
【評】「横から」は事実でしょうが、同時に、父に対する息子としての複雑な感情もうかがえるようです。深読みに過ぎるかもしれませんが。
秋の薔薇空へ行こうと夢を見る
高崎中尾中2年 今井 寛弥
【評】バラが空を夢見ているのですが、そこには、言うまでもなく作者の心が投影されています。空への 憧憬(しょうけい)が、ちょっと切なくもあります。
梨もいで青空ふやす顔の上
渋川小野上中3年 小野沙季子
【評】ナシ狩りでしょうか。確かに、ナシをもげば、すき間が空くわけで、そこから見える青空が増えてくるというのも、よく分かりますね。
秋風に吹かれて思う受験生
安中松井田東中3年 武井 未来
【評】秋風が吹くころになると、受験本番もかなり近づいてきたということが、ひしひしと感じられるようになります。私も、そうでした。