林桂選

2008年11月12日上毛新聞掲載


やまのなかぽつんとせんろはしってる
前橋下川淵小1年 志塚 遼希
【評】確かに線路は、人家のないような山の中も通っています。列車が通っているときではなく、線路だけのようすを描く視点が優れています。
かぜきってかぞくでじてんしゃいねのみち
前橋山王小1年 なぐもゆうすけ
【評】家族で稲田の続く道のサイクリングを楽しんでいます。「かぜきって」に、楽しく爽快(そうかい)な気分が表されています。
あめのひはしずくがいっぱいかさにあたる
前橋山王小1年 ほしのりりか
【評】「しずく」は雨つぶ。大人は雨の日のかさに雨が当たるのは当然と思います。しかし、作者はおもしろいな、不思議だなと思うのです。
かおり玉こころの中があまくなる
前橋山王小2年 長川 みゆ
【評】「こころの中があまくなる」がうまい。舌で感じた甘さと、鼻でにおいとして感じた甘さの微妙な違いを表現しようとしています。
うさぎさん金色ひろばでおもちつき
前橋大室小2年 はぎ原ひまり
【評】「金色ひろば」は月のこと。確かに月のウサギのようすを見ていると、こんな感じに見えます。月を「金色ひろば」にたとえたのは立派。
せんせいはしっているかなあかとんぼ
前橋駒形小2年 ながいりょうた
【評】体育の授業でしょうか。校庭に飛んでいる赤トンボに気づきました。先生は気づいているかしら。教えてあげたい気持ちになります。
遠足で金色さなぎを見つけたよ
前橋駒形小3年 須田 采李
【評】ぐんま昆虫の森の生態温室のオオゴマダラのさなぎでしょうね。びっくりするほど本当に金色。私も見つけたときは感動しました。
二がっきのせのじゅんなんだか楽しみだ
前橋大胡小3年 飯野 亜美
【評】一学期と比べて大きくなったという誇らしい自覚があるのでしょう。友達と比べてどれだけ大きくなっているのでしょうか。
ろてんぶろもみじのはっぱとはいります
伊勢崎北二小3年 吉沢 天斗
【評】露天風呂に散り敷いてくる紅葉。その美しい晩秋の景色の中で入る温泉。これ以上ないぜいたくな気分に浸っています。
ふどうたき水のりゅうが川となる
前橋山王小3年 あさおかまい花
【評】滝を「水のりゅう」に見立てています。滝つぼで 龍(りゅう)は消えて、川になるのです。「滝を経て新しき川始まりぬ」(宮崎大地)があります。
バイクのりパパのせなかで風あびる
前橋山王小3年 小林 裕生
【評】パパとのツーリング。「パパのせなかで風あびる」がいい。パパの背中が風を切ります。その風の中にいます。たくましいパパの背中。
遠足は秋の風をあじわうよ
前橋山王小4年 石井 涼葉
【評】秋の遠足。美しい自然の景観を見ているのでしょうが、それが深い感動を誘うのは秋風の演出があってでしょう。着眼がいいですね。
サッカーの帰りに見たのははくちょうざ
前橋山王小4年 柳井 智博
【評】サッカーの練習帰りにはすっかり暗くなる日が短い季節。でも、空に白鳥座を見つけました。どこにも喜びを見つけられるのも才能。
こおろぎの声がひびいて本を読む
伊勢崎北二小4年 周東  成
【評】コオロギの声を聞きながらの読書。秋の夜長の静かで充実した時間です。読書のための「燈火(とうか)親しむ」は、秋の季語になっています。
夏休みたいようぴかぴかあつすぎる
渋川津久田小4年 須田 義佳
【評】ピカピカの太陽と言われることで、夏の太陽の輝きを再確認することができます。夏休み中、ずっと太陽はピカピカだったのです。
カマキリがもみじの上にのっていた
前橋駒形小4年 高橋 瑠晴
【評】晩秋のカマキリの姿。「もみじの上」という思わぬところで見つけた驚きが表現されています。紅葉の鮮やかさも哀れを誘います。
おいもをねたべると口があったかい
前橋駒形小4年 清水恵梨加
【評】焼きたてのおいも。「口があったかい」という即物的な言い方がおもしろい。体も温まりますが、まずは口が最初に温かさを感じます。