鈴木伸一選

2008年11月19日上毛新聞掲載


すうっとねあきのにおいがしてきたよ
前橋桃川小5年 佐藤  結
【評】花や食べ物などをはじめ、季節を感じさせるにおいはたくさんありますが、「すうっと」という印象は、秋以外には考えられませんね。
下校時間夕日に重なるいちょうの木
前橋桃川小6年 久保 理沙
【評】校庭の西側に、イチョウの木があるのかな。下校時間には夕日とちょうど重なって、きれいなシルエットが浮かび上がるのでしょうね。
秋の川かれ葉をつれて流れてく
高崎堤ケ岡小6年 福田 斐織
【評】枯れ葉が流されてゆきます。枯れ葉だけでなく、川の水も季節も、止まることなく流れ去っているんだなあ、とあらためて思われます。
カラス鳴く秋の空がさわぎだす
前橋粕川小6年 及川 大貴
【評】何羽ものカラスがいっせいに鳴きだすと、何だか気分がざわざわとしてきます。秋の空も、どことなく落ち着かない表情に見えます。
きんもくせい秋をどんどんはこんでる
前橋粕川小6年 伴内愛実子
【評】キンモクセイ独特の甘いにおいは、遠くからでも、すぐ分かりますね。秋がどんどん深まっているんだなあ、と実感した伴内さんです。
水たまりコスモスの顔映してる
中之条中1年 斉藤 有希
【評】水たまりに映るコスモスを発見した点がいい。雨上がりの情景かと思いますが、潤いを帯びた空気に、一段とやさしげな花の風情です。
北風が落ち葉の山で遊んでる
中之条中1年 篠原 拓真
【評】うずたかく積もった落ち葉を吹き散らかす北風。いたずら小僧のしわざみたいな感じがして、一緒に遊んでみたくなったりもします。
写生後のパレット赤いもみじの葉
中之条中1年 冨沢 仁志
【評】授業で、秋の野山を写生したのでしょう。パレットに残った絵の具の赤と、紅葉の赤が二重写しになって、晩秋の季節感を伝えます。
足音がおどっているよ文化祭
中之条中1年 中沢 萌花
【評】弾むように軽やかな足音から、文化祭の楽しさが、とてもよく伝わってきます。私も、中之条中の文化祭に行ってみたくなりましたよ。
北風や山と空とをつきぬける
高崎中尾中2年 飯田 卓也
【評】冷たい北風ですが、この句のように、春風などに比べてはるかにダイナミックで、力感にあふれていると言うこともできるでしょう。
毛糸編む母を横目に舟を漕ぐ
高崎中尾中2年 渡辺 早紀
【評】お母さんのそばで、安心しきったかのようにうつらうつらしている作者。平穏な日常がどれほど大切なものであるか、よく分かります。
爽やかな青空つづく長い道
前橋桂萱中2年 梅沢麻実亜
【評】秋晴れの空の下に続く、長い道。実景だろうと思いますが、一方で、若さにあふれた作者の人生の比喩(ひゆ)として読んでもいいでしょう。
秋空のドームの下で野球する
六合中2年 黛  壱歩
【評】抜けるような秋の青空を、黛君は球場を覆(おお)うドームのようだと思ったのです。球音も選手の声も、たいへんさわやかに聞こえてきます。
勉強中そっと見守る秋の空
六合中3年 山本 紗代
【評】受験勉強でしょうか。テスト勉強でしょうか。どちらにしても、窓からふと見えた秋の空に、作者はほっとした気持ちになったのです。
秋の空筆で大きく青色を
渋川小野上中3年 佐藤智菜津
【評】真っ青な秋空は、一枚の大きな画布なのです。イヴ・クラインというモダンアートの画家に、青一色の大作があるのを思い出しました。
秋の陽に置かれてぽかぽかぬいぐるみ
下仁田中3年 加部 優紀
【評】日だまりに置かれたぬいぐるみでしょうが、同時に、日だまりでうとうとしている作者自身が、ぬいぐるみのようだとも読めて面白い。