林桂選

2008年12月24日上毛新聞掲載


ピアニカのはじっこなのでドッキドキ
前橋大胡東小5年 土肥明日香
【評】鼓笛隊でピアニカを演奏するのですが、みんなが見ている側の列になったのです。みんなの視線を感じて「ドッキドキ」なのです。
妹にケーキのローソク消されちゃった
前橋山王小6年 後藤 瑞生
【評】誕生日のケーキのローソク。本当は自分が吹き消すはずのものを、先に妹が消してしまったのです。妹さんの気持ちも分かる気がします。
北風が私のかみをいじりまわす
前橋山王小6年 栗原 有加
【評】「いじる」ではなく、「いじりまわす」の強い表現がおもしろい。髪の毛のひどい乱れ方が想像できます。いたずら好きな北風です。
おし花のしおりで今年を振り返る
前橋山王小6年 萩原真梨奈
【評】折々に押し花をしていたのでしょう。その押し花が、今年の折々を振り返る手助けとなるのです。日記のような押し花で楽しいですね。
友だちは冬のきせつが好きらしい
前橋大胡小6年 萩原 愉菜
【評】直接「好き」と聞いたのではなく、ようすから判断しているのでしょう。雪が好きとか、スキーが好きとか言った話からでしょうか。
かきの木に太陽みたいな笑顔あり
前橋大胡小6年 阿久沢唯真
【評】柿の木になった実を、木の笑顔に見立てたのです。もちろん「太陽みたいな」笑顔になります。柿の実の明るい朱色が感じられます。
江ノ電の中から見てる秋の海
榛東南小6年 高橋  遥
【評】「江ノ電」も「秋の海」も、物珍しい旅行の景色。見る場所も見る風景も、心に感動深く刻んでいるのが分かる旅の句です。
大仏に秋の日あたって立派だな
榛東南小6年 三浦紅瑠美
【評】大仏はもともと大きくて立派。でも、秋の日を受けている姿は一層立派に見えます。秋の日差しとの関係で大仏の姿を見たところがいい。
大仏は全体的に前かがみ
榛東南小6年 植田 凌平
【評】よく観察しましたね。確かに前かがみに見えます。「全体的に」がユーモラスで効果的。発見した自分の言葉が生きています。
大仏のまわりに人がいっぱい秋の暮
榛東南小6年 南 明日香
【評】大仏以上に、大仏に人がいっぱい集まることがすごいと思ったのです。「秋の暮」は何時までも人が絶えないことの表現でもあります。
手ぶくろが冬をすくって遊んでる
片品武尊根小6年 千明 礼乃
【評】元気な手袋は「作者」の心の分身でもあります。「冬」には、雪や北風、氷などいろいろなものが含まれているのでしょう。
弟は天気予報で雪を待つ
中之条中1年 新井 遥菜
【評】弟さんはいつも天気予報を見ているわけではないのでしょう。でも、雪を待つ季節になると、天気予報が気になり出すのです。
干柿で一つの風景完成す
渋川小野上中3年 斉藤 結衣
【評】「画竜点睛」(がりょうてんせい)という言葉がありますが、干し柿の朱色は、秋の風景の竜の眼にあたるという発想です。視点がおもしろい句です。