鈴木伸一選

2009年1月21日上毛新聞掲載


北風にボール蹴る足力こめ
前橋桃瀬小5年 黒沢 亮太
【評】黒沢君は、サッカーをしているのでしょう。強い北風に負けまいと力いっぱいボールを蹴(け)ったというところに、すごく実感があります。
除夜の鐘夜空で星も聞いている
前橋桃瀬小5年 本多 理紀
【評】星だけでなく、ありとあらゆるものが、除夜の鐘をじっと聞いているという感じがします。静かで、しみじみとした大みそかの夜です。
クリスマスヒットソングが流れてる
高崎堤ケ岡小5年 中島 真琴
【評】きれいなイルミネーションがかがやき、軽やかなヒットソングが流れる。いかにも今どきのクリスマス風景が、楽しく描かれています。
帰り道田んぼもぼくも寒くなる
前橋大室小5年 土合 雄大
【評】稲刈り後の田は、さっぱりとした感じの半面、どこか寒々とした印象もあります。「ぼくも」が、そうした心の中の寒さを物語ります。
授業中やきいも屋さんが呼んでいる
前橋大室小6年 斎藤  葵
【評】やきいも屋さんの呼び声って、遠くからでもよく聞こえますね。授業中に思わずそっちに気を取られちゃったとしても、仕方ないかな。
冬の雨セキレイ大きくジャンプする
邑楽長柄小6年 根岸 春奈
【評】セグロセキレイでしょうが、この鳥は、地に降りてもぴょんぴょんと跳ねるように動きます。対象をしっかりと観察している点がいい。
秋の日にころんでしまった化粧坂けわいざか
藤岡神流小6年 黒沢 俊紀
【評】「化粧坂(けわいざか)」は、鎌倉にある古い坂。傾斜が急ですから、足を取られて転んでしまったのかもしれません。まあ、それも修学旅行のいい思い出。

※藤岡神流小の作品は、中沢喜和子先生に指導していただいたものです。

大そうじねこより役立つ私の手
前橋山王小6年 江塚めぐみ
【評】忙しいときは「猫の手も借りたい」と言ったりしますが、もちろん、そういうわけにはいきません。ユーモラスな書き方がいいですね。
たこあげでふわりとうかぶ青い空
前橋新田小6年 坂本 優衣
【評】風をとらえ、青空にふわりと浮かんだ凧(たこ)。その様子を見ていたら、何だか自分も空に浮かんでいるような感じがしてきたのでしょうね。
道祖神火のこパチパチ歌いだす
榛東南小6年 池田 彩香
【評】一月十五日の小正月に行われるどんど焼きは、道祖神のお祭りにもなっているんですね。焼いたおもちやお団子を、私も食べたいなあ。
雪かきの仕上げにつくる雪だるま
榛東南小6年 三浦紅瑠美
【評】雪かきはなかなか大変な作業ですが、雪だるまを作るという楽しみがあれば、最後までがんばれますね。何事も楽しくやりましょう。
秋風と走る足音去ってゆく
中之条中1年 剱持  優
【評】走り去るのはだれかの足音であると同時に、秋風でもあるでしょう。秋の終わりごろの、どこか人恋しい気分がよく伝わってきます。
竹しなり重さ感じるかばんかな
渋川小野上中1年 朝比奈美穂
【評】雪をかぶって大きくしなった竹は、いかにも重たそう。それを見た瞬間、自分が持ったかばんも、ことさら重く感じられてきたのです。
新春に箱根に負けじと走る僕
渋川小野上中1年 野村 聡太
【評】新春の箱根駅伝は、見る者の胸を熱くしますが、選手たちに負けないくらいの気構えで、野村君も走ったのです。その若々しさがいい。
新米の湯気に手をあて温まる
渋川小野上中3年 樋田 真季
【評】新米と聞いただけで、白く輝くご飯が目に浮かびます。湯気までもが美しく、みずみずしい印象で、心の奥底から温まってくる感じ。
オリオンが山越え天まで駆け上がる
下仁田中3年 永井 拓海
【評】よく知られたオリオン座は、神話の巨人オリオンの姿をあらわしたもの。「天まで駆け上がる」が、いかにも荒々しい狩人にふさわしい表現です。