林桂選

2009年2月18日上毛新聞掲載


ほんをよむゆきがふってもほんをよむ
前橋山王小1年 むらたりょうすけ
【評】雪が降ってきたので見たいのですが、読んでいる本のおもしろさから出てゆくこともできないです。二度の「ほんをよむ」が効果的。
つめたいとほしがぴかぴかひかってる
前橋山王小1年 まついななみ
【評】冷たく冷え込んだ夜の空気は、星を一層輝かせているように感じます。「つめたいと」だけのコメントが効果的。
きくの花はじめてたべたおとなだね
前橋山王小1年 くりばらなな
【評】食用の菊の花を初めて食べたのです。感想は、大人になった気分。強い味もなく、おいしいとも感じなかったのでしょう。それが大人味。
なわとびはへびをまわしているみたい
伊勢崎あずま北小2年 さとうみく
【評】なわとびのなわのくねくねしたようすを、ヘビにたとえました。ヘビは別名「くちなわ」ともいうのですよ。口の付いたなわです。
冬休みすべってころんでまた明日
中之条小2年 上原りゅうのすけ
【評】リズムのいい句です。「すべってころんでまた明日」がいい。友だちとお別れするときのあいさつの冬バージョンのようです。
初川にうつった太陽背のびする
前橋山王小2年 栗原 正明
【評】初川は固有名詞ではなく「初日」と同じように新年の季語として使っているのでしょう。「背のびする」がいい。川面に伸びた日の光。
雪げしき畑一面雪のにおい
前橋山王小2年 栗原 正明
【評】畑一面を覆った雪。「畑一面雪のにおい」がいい。視覚的な広がりを嗅覚(きゅうかく)に転じて表現して巧みです。真っ白な降ったばかりの雪です。
大そうじと中で雪がふってきた
前橋大胡小2年 上原あや花
【評】大掃除の途中で降り出す雪。掃除を止めて見に行きたくてしかたがないのでしょう。心で葛藤(かっとう)しながら、大掃除をしているのです。
おもちつきもちもちもちもちきなこもち
前橋駒形小2年 干川 なな
【評】歌うようなリズムが楽しい句です。もちがつき上がるのを、歌いながら待っているような趣です。作るのはもちろんきな粉もちです。
かまくらにイチゴシロップかけたいな
前橋月田小2年 石原たつや
【評】かまくらの形は、確かにかき氷のようです。イチゴシロップをかけたら、大きなかき氷ができそう。寒さも関係ない元気な発想です。
ちちしぼりしぼっている時温かい
前橋月田小3年 鎌塚 龍生
【評】牛の乳しぼり体験をしたのでしょう。「しぼっている時温かい」がいい。乳房の温かさであり、生きた牛の温かさです。
せきがえでみんなのえがおかわってる
吉井小3年 鈴木 稜也
【評】席替えをして新しい友だちと隣になって、新しい友だち関係が生まれます。「みんなのえがおかわってる」が、ようすを巧みに表現。
木の中のはとのなきごえきこえるよ
前橋山王小3年 南雲 琢充
【評】姿は見えないけれど、聞こえる鳴き声で木の中にいることが分かるハト。まるで木がハトになって鳴いているようにも感じられます。
雪だるま鼻のにんじんふるえてる
前橋桃瀬小3年 黒沢 音々
【評】雪だるまの鼻にニンジンを使いました。赤い鼻は、寒さに震えているように見えるというのです。赤い色を寒さのようすと見立てました。
秋晴れ木々はみぃーんなまぶしいな
前橋桃川小4年 久田 真由
【評】秋晴れの光を返して光る樹木。「みぃーんなまぶしいな」に、秋の光に触れて伸びやかになっている作者の気持ちも現れています。
ミカンはね中も明るい色してる
藤岡美土里小2年 深津 拓也
【評】ミカンの皮と同じ色が中にもあるミカン。当たり前と思っていましたが、新鮮な視線に教えられる真実です。「明るい色」もいい表現。