林桂選

2009年2月4日上毛新聞掲載


雪だるま中にみかんを入れておく
みなかみ古馬牧小5年 阿部 弘奈
【評】なぜ雪だるまにミカンを埋め込んでおくのか分かりません。凍らせて食べる? 雪だるまへのプレゼント? 皆さんはどう考えますか?
どろのなかぺたぺた足あと消えてゆく
前橋桃瀬小5年 諸泉 杏実
【評】田植えの体験をもとにしているのでしょう。田んぼの底に残した足跡が、収穫のころには消えてなくなってしまっている不思議さ。
すきやきは野菜とお肉のぶとう会
高崎城山小5年 鈴木  葵
【評】すき焼き鍋の煮えるようすを、食材の舞踏会に見立てました。彦摩呂のような発想です。肉も野菜もぐつぐつ煮えて踊っています。
駅伝だ前半全力後死ぬ気
前橋大胡小5年 横山 貴澄
【評】駅伝の選手になりました。その気構えは最初から全力。疲れてもうダメだと思ったあとは死ぬ気で。全力以上の力で走るつもりです。
うちの犬くっつき虫をつけている
前橋大胡小5年 勅使川原優
【評】「くっつき虫」は草虱(くさじらみ)のこと。草を分けて歩いてきた証拠です。好奇心旺盛で寄り道の好きな愛犬なのでしょう。
妹と星を見つけるきょう争する
前橋大胡小6年 大矢 姫乃
【評】「一番星見つけた」が、二番星、三番星を見つける競争の合図になったりします。対戦相手は妹さん。日暮れの早い冬らしい遊びです。
かみのけをきってその日ははずかしい
前橋大胡小6年 中村 彩華
【評】急に髪形が変わっただけで、人の見る眼が違う気がします。「きったその日ははずかしい」がいい。誰も感じたことがあるでしょう。
秋風と落ち葉と楽しむ持久走
前橋大室小6年 森田 真奈
【評】持久走の句は、苦しい、大変、何番というのが多いのに、この句は「楽しむ持久走」。落葉の舞う秋風の中を気持ちよく走ります。
落ち葉だけ信号むしを許される
前橋山王小6年 武井夕希子
【評】街路樹の落葉は、信号が赤でも降りやみません。道路にもたくさん降り込んでゆきます。「信号むしを許される」がおもしろい。
雪だるまとけ落ちるまでわらってる
前橋月田小6年 星野 達郎
【評】笑った表情に作られた雪だるま。解けて悲しいはずなのに、顔は笑ったままです。それが一層作者の悲しい思いを誘うのです。
澄んだ空冬とは思えずただ見てる
伊勢崎四中1年 古沢侑里子
【評】雪の空、雲のたれ込めた空。冬の空は表情豊かです。そしてまっ青に澄んだ顔も持っています。「ただ見てる」で空の美しさを表現。
弟は冬だけ階段かけ上がる
中之条中1年 田村未菜美
【評】「冬だけ」という視点がおもしろい。誇張表現に違いないのですが、元気な弟さんの姿が浮かびます。冬が好きなのでしょうね。
夢の中年末ジャンボが当たってる
高崎塚沢中2年 山田 竣也
【評】買わなければ宝くじは当たらないと教えてくれた人がいましたが、夢の中では買わない宝くじも当たります。喜びだけでもいい気分。
降る雪や受験は近くなりにけり
太田木崎中3年 望田 祥悟
【評】中村草田男の「降る雪や明治は遠くなりにけり」の本歌取り。草田男の時代の感慨から、自身の身の上の思いに換骨奪胎しています。
君想ひひとぼっちの朧月
太田旭中3年 伊勢崎晋平
【評】恋の句。君を想(おも)うことで、それまで感じることのなかった「ひとりぼっち」という思いがわいてきます。春の朧月(おぼろづき)を眺めながら。
いつしかに静かになりて冬の雪
六合中3年 篠原 友梨
【評】「冬の雪」の「冬」は不要。「雪の空」など表現の工夫が必要です。「いつしかに静かになりて」のような雪の降り方は確かにあります。