鈴木伸一選

2009年2月11日上毛新聞掲載


冬休みおばあちゃんちに雪ふった
前橋山王小5年 新井慎之介
【評】おばあちゃんは、山間部に住んでいるのでしょう。冬休みに訪ねたのだと思いますが、雪の歓迎を受けて、いい思い出ができましたね。
雪積もりチャイムと共に消えていく
高崎岩鼻小5年 五十嵐雄斗
【評】休み時間終了のチャイムに、子どもたちが教室に入ってゆきます。校庭の雪も、子どもたちの熱気でだいぶ消えてしまったようです。
朝の会雪がふりだしさわがしい
前橋大胡小5年 佐藤 真由
【評】朝の会の途中に、外では雪がふり出しました。友だちの間から歓声がわき、さわがしくなったというのですが、それも仕方ないかもね。
山の雪町の子供にふっている
前橋大胡小6年 新井 悠利
【評】町場に住んでいると、雪はまれにしか見ることができませんから、たまに雪山などに行ったりすると、本当にわくわくしちゃいますね。
きらきらと光ってわらうおせちたち
前橋月田小6年 須藤 拓也
【評】おせち料理にはいろんな種類があるので、色彩も豊かですね。ふたを開けたときの心のはずみがよく分か?り、読者も笑顔になります。
ねつだした妹にココアいれました
前橋下川淵小6年 今井 順平
【評】熱を出して寝ている妹さんに、あたたかいココアをいれてあげた今井君。お兄さんとしてのやさしさが素直に伝わり、胸を打たれます。
朝練は楽器もつめたい手もつめたい
中之条中1年 小渕奈津美
【評】小渕さんは、吹奏楽部員なのでしょう。楽器の冷たさというのは、実際にさわってみてはじめて可能な、実感豊かな表現だと思います。
くもってる部活の後の窓ガラス
中之条中1年 斉藤 有希
【評】斉藤さんたちの若々しい熱気に、体育館の窓ガラスも曇ったというのでしょう。季節は書かれていませんが、冬の他は考えられません。
雪積もる静かな夜を映す窓
中之条中1年 舘  晴日
【評】積もった雪に、ぼんやりと明るんだ窓。夜は、しんしんと更けてゆきます。「夜を映す」という表現に、詩的な感覚がうかがえます。
雪がふり隣で犬がほえている
中之条中1年 蜂須賀椋太
【評】事実そのままを書いただけのような、いわば報告的な句なのですが、むしろそれが冬らしい強い印象をもたらすことにもなっています。
足跡を拾って歩く雪の道
中之条中1年 吉沢 凌希
【評】「たどって歩く」では常識的。「拾って」には発見があります。「たどる」より「拾う」の方が、作者の強い思い入れが出ますものね。
初空にボールを高く蹴り上げる
高崎中尾中2年 榊原 悠史
【評】「初空(はつそら)」は元日の空のこと。特に、すがすがしい朝の感じが強いですね。そこにボールを高く蹴(け)り上げるというのが、何とも若々しい。
自転車が駐輪場で凍えだす
高崎中尾中2年 徳江 里紗
【評】冬の夕方でしょう。持ち主の帰りを待つ自転車に寒気が容赦なく襲いかかり、ハンドルもサドルもどんどん冷たくなってゆくのです。
大寒の大きな空に声ひびく
高崎中尾中2年 割田 有美
【評】「タイカン」という音には、どこか乾いた感じがあります。声がことさら響くというのも、そんな印象が働いているのかもしれません。
ピアノ弾く音が冷たい冬の空
渋川小野上中3年 青木 里穂
【評】冬の冷たさに透明度を増したピアノの音色が、部屋の壁を抜け、青空へと吸い込まれてゆくような感じ。清冽(せいれつ)な美しさがいいですね。