林桂選

2009年2月18日上毛新聞掲載


雪山にぼうしかぶってる大巨人
高崎堤ケ岡小5年 須田満奈美
【評】「大巨人」は雪山をたとえたとも考えられますが、雪をかぶった樹木なのでしょう。雪で、あちらこちらに大巨人が出現しているのです。
水たまりのぞくと下に落ちちゃうぞ
高崎堤ケ岡小5年 渡辺 千夏
【評】「下に落ちちゃうぞ」がいい。小さな水たまりでも、とても深く感じられることがあります。違う世界に落ちてゆくような感じです。
お正月わたしが一番お金もち
前橋桃瀬小5年 村田 夏奈
【評】お年玉をたくさんもらいました。お父さんお母さんに聞いても、自分の方がお金持ちになっています。素直な感想がほほえましい句。
スキーぐつならんで歩くとことこと
前橋桃瀬小5年 黒沢 月乃
【評】靴底の硬いスキー靴で歩くと、ロボットのような変な歩き方になってしまいます。「とことこと」は、そんな歩き方を表現しています。
こうふく園大きな桜の絵があった
前橋大胡東小5年 吉田 巧一
【評】「こうふく園」は老人ホームの名前でしょう。掛けてある入園している人が描いた大きな桜の絵に、日ごろの生活ぶりを想像しています。
初夢はワニに食べられる夢を見た
高崎堤ケ岡小5年 荒巻 俊介
【評】初夢は、ワニに食べられる怖い夢。どうしてそんな夢になったのか分かりません。でも、他の誰も見られなかった珍しい夢ですね。
冬休み毎日かわいい子犬だよ
前橋山王小5年 八木 紗知
【評】「毎日かわいい」がいい。冬休みで、愛犬と一緒にいられる時間が長くなったのです。毎日毎日が子犬との楽しい時間なのです。
せん車してまどの水てきときょうそう
前橋山王小5年 手島 彩乃
【評】洗車で自動車の窓を伝って流れる水滴を、徒競走に見立てました。雨とは違って早い流れを表しています。見立てのおもしろい句。
冬休み楽しい予定の宝箱
前橋山王小6年 萩原真梨奈
【評】冬休みそのものを「宝箱」にたとえました。中に入っている宝は「楽しい予定」。冬休みになって開けるのが楽しみな宝箱なのです。
丸まった雀ダルマの鑑賞会
前橋新田小6年 森本 有香
【評】防寒のため羽を立ててダルマのような雀(すずめ)。電線に並んでいるのでしょう。それを鑑賞会に見立てました。「雀ダルマ」の造語もいい。
こっそりとすきまからみる福袋
前橋新田小6年 倉林 奈生
【評】福袋の中に何が入っているか、ついついすき間からのぞき見をしてしまいます。福袋の楽しみをおもしろく表現しています。
みんなとの思い出いっぱいちょ金したい
前橋桃川小6年 石田 真桜
【評】卒業も近づき、友だちとの今までの思い出を大切にしたいという気持ちが「ちょ金したい」というユニークな表現になったのです。
水たまり氷に変わって人気者
前橋桃川小6年 竹井万友佳
【評】水たまりが凍っている朝の道。氷を踏んで割りながらの登校。「人気者」は、そんなようすを言ったものです。視点がユニークで愉快。
北風がぼくの顔とけんかする
前橋桃川小6年 羽鳥  裕
【評】冷たい北風が顔を打ちます。「ぼくの顔とけんかする」は、北風とボクシングをしているような感覚でしょうね。
柿の実をとかしてしまうあかねぐも
藤岡神流小6年 加藤 大貴
【評】柿の実の赤に重なるように、夕焼けのあかね雲が広がります。「とかしてしまう」が巧みです。あかね雲の広がりが印象的に描かれています。
北風に乗って遊ぶすずめたち
榛東南小6年 松本 祐希
【評】北風に吹かれるスズメ。その姿がつらいようすではなくて、楽しく「乗って遊ぶ」ように見えます。作者に元気な視点があるからです。
はぐれても居場所がわかる父の咳
高崎中尾中2年 榊原 悠史
【評】初詣でなどの人込みの中に、お父さんと出かけたのでしょう。人波に押されてはぐれても、父と分かる咳(せき)で居場所が分かるので安心。
テスト明け星座を探して帰る道
渋川小野上中1年 野村 聡太
【評】「星座を探して帰る道」がいい。テストが終わった安堵(あんど)感と、ベストを尽くして取り組んだ快い達成感が表現されています。
シャーペンを回して想う桜の木
渋川小野上中3年 斎藤 天志
【評】ペン回しをしているときは、考え事をしているとき。春の桜のことを考えています。新しい生活が始まっているはずの春です。
ブルーベリー実り父母呼びにいく
太田旭中3年 高橋健太郎
【評】家の庭で育てているのでしょう。ある日実がついているのを発見。父母にも見せたくて呼びにゆきます。ほのぼのとした家庭の一こま。