鈴木伸一選

2009年2月25日上毛新聞掲載


お年玉ほしがっているお父さん
前橋大室小6年 島  亮平
【評】私も含め、世のお父さんの多くが、同じような思いでしょう。お年玉の替わりに、島君の感謝の言葉をお父さんにあげてくださいね。
お正月太陽が大きく光ってる
前橋大室小6年 星野菜々子
【評】すがすがしく、また伸び伸びとしたお正月らしい気分でいると、いつもより太陽も大きく、一段と輝いているような感じがするのです。
通学路白い息が十人分
前橋大室小6年 森田 真奈
【評】十人での集団登校でしょう。小さな子も大きな子も同じように白い息を吐きながら、仲よく歩いてゆく。そんな様子が目に浮かびます。
スキーでねすべっていると風が痛い
前橋大胡小6年 大崎 芽衣
【評】雪山の風はとても冷たく、顔に当たると痛いほど。スキーで滑っているときなら、なおさらでしょう。実感豊かなところがいいですね。
あたたかくなり始めてる通学路
前橋大胡小6年 渡辺 彩未
【評】少し前までは寒くて仕方なかった通学路にも、いつしか春の気配(けはい)が漂い始めました。季節の移り変わりが、さりげなく書かれています。
光さす窓の向こうに春が来る
中之条中1年 斉藤 翔太
【評】とてもおだやかな表情の作品で、読者の心にも明るい光が差してくるような気がします。「窓の向こう」というとらえ方が効果的です。
山の影冬が残した忘れもの
中之条中1年 高橋あかり
【評】山の影が差すところに、雪が残っています。汚れて、人々から忘れられたかのような雪に目をとめたことで、印象的な句となりました。
スキーして一直線に風うける
中之条中1年 高橋 知久
【評】スキーの醍醐味(だいごみ)であるダイナミックな疾走感を、「一直線」という言葉で、すぱっと表現しました。若々しさも、よく出ています。
水の音しずかにひびき春がくる
中之条中1年 高平 翔大
【評】句の呼吸が深いと言うのでしょうか、一読、しみじみと胸に染み透ってくるものがあります。私も心静かに春を待ちたいと思いました。
雪が舞い本気で仔犬がかけまわる
渋川小野上中1年 青木 涼太
【評】「本気」という言葉が、たいへん効いています。仔犬(こいぬ)が純真無垢(むく)だからこその本気なのでしょうし、それは人間の子どもも同じこと。
シクラメン真っすぐ伸びて春を待つ
渋川小野上中2年 野村 美咲
【評】真っすぐ伸びたシクラメンに、野村さんの姿が重なって見えてきます。若々しい感情が素直に発揮された句で、好印象を受けました。
星空やなんて広大なんて矮小(わいしょう)
渋川小野上中3年 斉藤 結衣
【評】星空でさえ、私たちの心のありよう次第で広大無辺にも、またひどくちっぽけにも感じられます。自分という存在も同様だと思います。
薄氷に石当ててゆく帰り道
高崎中尾中2年 深見 りさ
【評】「薄氷」は「うすらい」と読み、春さきに張る氷を言います。石を当てては薄氷を割ってゆく作者の姿は、どこかさびしげに見えます。
年賀状淡き出来事思い出す
吉岡中2年 神保 美樹
【評】強烈な印象ではないのに、なぜかふと思い出される出来事ってあります。胸がちくっとするような、ちょっと切ない記憶でしょうね。
※吉岡中の作品は、岩田幸恵先生に指導していただいたものです。
眠れない受験の重さと冬の風
高崎群馬中央中3年 設楽 大志
【評】冬の風が怖いくらい吹き荒れる夜。眠れないでいる作者に、さらに受験の重圧がのしかかります。私も受験生のときは同じようでした。