鈴木伸一選

2009年4月22日上毛新聞掲載


きょうのはるおへやもそともあったかい
前橋山王小1年 小林 らい
【評】「おへやもそとも」がいい。どこもかしこもすっかり春になったんだなあ、といううれしい気もちが、よくつたわってきますものね。
とうさんとはるあらしの中でやきゅうする
前橋山王小1年 す田あいと
【評】「春嵐(あらし)」というちょっとむずかしい言葉を、よく知っていましたね。そんなつよい風も、お父さんといっしょならへっちゃらなのです。
おかあさんかえってきたらはんそでだ
前橋山王小1年 たかはしきょうすけ
【評】かえってきたお母さんが、はんそでだったのかな。それとも、はんそでになって、これから家のしごとをするぞ、という感じなのかな。
しゃぼん玉かぜがふいたらおどってた
前橋山王小2年 くりばらなな
【評】風におどるシャボン玉はとてもうつくしいけれど、すぐにきえてしまうさびしさもあります。はかないうつくしさということですね。
春さがし水とうもって出かけたよ
前橋山王小2年 城田 美穂
【評】だいぶあたたかくなってきたので、水とうを持って出かけたのです。そんなちょっとしたことにも、春の季節感がよく出ていますね。
まんかいのさくらのしたでチョコバナナ
前橋山王小3年 小畑 和誠
【評】花見に行くと、たくさんの屋台が並んでいます。中でも、チョコバナナは子どもたちに人気があるようです。うちの子も大すきだもの。
さくらの木さくらを見てるとふんわりしてくる
前橋山王小3年 こうけつあやか
【評】まんかいの桜には、人をゆめの世界にさそうような、ふしぎな力があるようです。「ふんわりしてくる」も、そんな感じでしょうね。
春風がはなしごえをはこんでる
前橋山王小3年 代田 将弘
【評】そよそよとふく春風でないと、話し声をはこぶという感じはしないと思います。どことなくゆめみごこちといった春のふんい気がいい。
サクラさきとくとうせきを見つけたよ
前橋山王小3年 やのあつ大
【評】人出の多い公園などではなく、人知れずひっそりとさいた桜でしょうね。自分だけの特等席で、静かに花の美しさを味わってください。
弟がお花を本にはさんでる
前橋山王小4年 中嶋 大騎
【評】弟さんは、お花が気に入ったのでしょうね。何ともほほえましいそのすがたを、お兄さんらしいやさしい目で見守っている大騎君です。
ゆめの中さくらと一緒におにごっこ
前橋山王小4年 中島 真紀
【評】桜の花びらが風に舞い散る様子は、おにごっこをしているようにも見えます。その印象が残っていて、ゆめに出てきたのでしょうね。
友達とさよならすると風がふく
前橋山王小4年 村山樹里奈
【評】友だちとさよならをすると、何だか急にさびしくなります。そんな樹里奈さんの心の中に、どこからかつめたい風がふいてきたのです。
晴れた空卒業生が消えていく
前橋山王小4年 柳井  諒
【評】先生や在校生が見送る中、卒業生たちが退場してゆきます。春の空は晴れていますが、それすらかえって悲しく感じられるようです。
はるがきたちょうちょがまどをのぞいてる
中之条小2年 青木しずく
【評】教室のまどごしに、ひらひらとまうチョウが見えるのでしょう。もしかしたら、チョウはしずくさんたちと友だちになりたいのかもね。
花たちに元気をもらう春休み
中之条小2年 杉崎 千優
【評】春休みのころは、一年のうちでもとくにたくさんの花が見られますから、毎日が楽しいですね。ほんとに元気をもらう感じがしますよ。
グランドのゆきがなくなりさあやきゅう
中之条小2年 高橋 勇大
【評】「さあやきゅう」という言い方に、勇大君の心のはずみが、とてもよく出ています。春が来たよろこびを、すなおに表現したのがいい。
はるのかぜピアノのおとがきこえたよ
中之条小2年 田辺理愛奈
【評】じっさいにピアノの音が聞こえたのかもしれないし、そんな気がしたということかもしれません。ゆめ見るような春の昼ですものね。
おにわでねいっぱいあそべる春の風
中之条小2年 といだみずき
【評】どこかへ出かけなくても、家のにわで楽しくあそべるというのは、ほんとにいいなあ、と思います。春の風が、何とも気持ちよさそう。
春が来たゆっくり歩くつり人だ
中之条小2年 湯本 祐大
【評】魚をおどろかさないようにゆっくり歩くのは、つりのマナーなのでしょうが、同時に、春ののんびりした気分のせいだとも思われます。
かぜのひにあかいセーターピッカピカ
中之条小2年 よしざわたか
【評】冬は黒や白といった、じみな色のイメージがつよいので、セーターの赤はよく目立つし、何だか元気がわいてくるような気もするよね。
春の風かんのんさまもくしゃみする
高崎城山小2年 高林みゆう
【評】みゆうさんは花粉症なので、白衣(びゃくい)かんのんもくしゃみをするなんて思ったのかな。もし本当にくしゃみをしたら、すごい音でしょうね。
春が来たひとあしはやくうたの花
前橋桃瀬小2年 小川としき
【評】ほんかくてきな春になるより早く、授業で春の歌をならったのでしょう。みんなの歌声が、花のように愛らしく聞こえてくるようです。
風ゆらりたんぽぽふわふわはちぶんぶん
前橋桃瀬小2年 林  咲枝
【評】おもしろい作り方のはいく。「ゆらり」「ふわふわ」「ぶんぶん」という音から、春ならではの楽しい気分が、しぜんにわいてきます。
春の雪ねてるあいだにとけちゃった
前橋桃瀬小3年 野口 瑛海
【評】ユーモラスな表現がいい。春の雪ってほんとにこの句の通りだけど、せっかくふったのに遊べなかったのは、やっぱりざんねんだよね。
さくらがねはるがきたよといばってる
前橋駒形小3年 宮川みるい
【評】みんなが口々にうつくしいと言うので、桜もじまんしたくなったのかも。桜をちょっとちがう角度からながめた、おもしろい俳句です。
しゃぼん玉みんな行く先ちがう場所
藤岡美土里小4年 高橋 菜々
【評】たくさんのシャボン玉が風にふかれ、それぞれがちがう向きにとんでゆきます。一つ一つが意思を持っているかのように思われますね。
雪ふって私は宿題ねてしまう
東吾妻東小4年 酒井菜々花
【評】寒いので、こたつにあたって宿題をしていたのかな。ぽかぽかと気持ちがよくて、つい眠ってしまったという経験は、私もありますよ。
はるのゆめそれはさくらがいのってる
前橋広瀬小4年 中野 椋太
【評】平和なゆめ。心がほっとするゆめ。楽しいゆめ。みんなの見るゆめがそうありますように、美しくさいた桜と共においのりしましょう。

※学校、学年は投稿時のものです。