鈴木伸一選

2009年4月8日上毛新聞掲載


一年生入らないかな私の班
高崎堤ケ岡小5年 野口 瑛海
【評】一年生といっしょに登校するのが、野口さんは楽しみなのです。そう思うことができるのは、野口さんがしっかりしたお姉さんだから。
日だまりにひっくり返ってねてる猫
前橋新田小5年 坂田 風樹
【評】ユーモラスな書き方が、何とも気持ちよさそうな猫の様子を、とてもよく伝えています。ちょっとうらやましいくらいの寝姿ですね。
テスト中メダカの子どもが一回転
安中九十九小5年 武井  愛
【評】クラスでメダカを育てているのでしょうね。テスト中にちらりと水槽を見たら、メダカの子が一回転したというユーモラスな俳句です。
正面に雪をかぶった浅間山
赤城養護小児医療センター分校小6年 星野 智樹
【評】病室の窓から、雪をかぶって白く輝く浅間山が見えるのでしょう。「正面に」という強い言葉に、星野君の感動の大きさが出ています。
ねるときに電気じゃなくて月が光る
橋粕川小6年 小荷田拓巳
【評】人工的な光に慣らされてしまうと、月光のような自然の光の美しさを、つい忘れがちになります。この句を読んで、私も反省しました。
並木道風が走れば冬の声
前橋粕川小6年 戸塚将太郎
【評】強い北風が、並んだ木々を大きく揺らして、一気に走り抜けてゆきます。思わず身震いするような寒々とした音が、耳に響いてきます。
秋雨があがった空は透きとおる
前橋粕川小6年 長瀬  巧
【評】古来、秋は色でたとえれば白、あるいは無色透明とされてきました。だから、秋雨が上がった空の透明感も、素直に納得できるのです。
水たまり小春日和を映してる
中之条中1年 上原 真衣
【評】冬のはじめの、あたたかな日。風もないので、水たまりの表面に、まわりの景色がきれいに映っています。一読、心が安らぐ俳句です。
春風が祖母の病室あたためる
中之条中1年 斉藤 杏佳
【評】孫としての愛情が素直に出ています。春風のあたたかさもさることながら、この愛情こそが、おばあさんには何よりの癒やしでしょう。
部活中土のにおいに春思う
中之条中1年 篠原 綾那
【評】学校生活の中から季節感をとらえたのがいい。あたたかみのある土の色とにおいに心がなごむと共に、生きる力もわいてくるようです。
制服も春のにおいにつつまれて
中之条中1年 宮崎 菜奈
【評】明るく、生き生きとした春の気分が、よく伝わってきます。こういう句に出合うと、若さってすばらしいなあ、とつくづく思われます。
大空に広がる雲は春の使者
中之条中1年 割田  理
【評】青空に浮かんだ、白い雲。その軽やかな印象は、なるほど春の使者にぴったりでしょう。伸び伸びとした書き方に、好感が持てます。
水仙が月に照らされガラスのよう
前橋木瀬中1年 須藤ひとみ
【評】ガラスのように光るという感じは、やはり凛(りん)とした白いスイセンがふさわしいですね。作者の繊細な感覚が発揮された句だと思います。
冬の朝ホームベースがひかってる
渋川小野上中2年 新井 哲弥
【評】空気がぴんと張りつめたような、冬の朝。グラウンドのホームベースの白さが、ことさら鮮やか。何だか、神聖な感じさえあるようです。
顔上げて太陽みてよチューリップ
渋川小野上中2年 唐沢 未来
【評】元気がなく、うなだれ加減のチューリップに呼びかけていますが、同時に、作者が自分への励ましとして発した言葉とも受け取れます。
卒業後一輪の花教室に
渋川小野上中2年 斉藤 華蓮
【評】三年生が卒業した後のがらんとした教室に、後輩たちからのはなむけの花が残されているのでしょう。どことなくさびしい光景です。
青空が広いと知った卒業式
渋川小野上中3年 斉藤 結衣
【評】当事者として迎えた卒業式は、これまでとは違った特別な感情を覚えたことでしょう。だからこそ、青空の広さが心にしみたのですね。
ポケットに思い出つめる春の空
六合中3年 山本  大
【評】中学の思い出は、額(がく)に飾るようなものではなく、もっと身近なもの。すぐ取り出せるよう、ポケットに入れておくくらいがいいですね。

※ 学校、学年は投稿時のものです。