林桂選

2009年4月15日上毛新聞掲載


クロッカスとても静かにさいている
前橋月田小5年 長谷川友己
【評】考えれば花はみな静かです。おしゃべりをする花はありません。その中でもクロッカスは静かさを感じさせる花なのです。
雪がふりくつの中がしめってる
前橋大胡小5年 田中 里奈
【評】雪が降っているときの湿度の高さを微妙に感じさせるクツの湿り具合。布性のズックだからかもしれません。感覚のいい句です。
最後の日最後のチャイムが鳴りひびく
前橋駒形小6年 早川 秀平
【評】「最後の日」は小学校最後の卒業式の日。六年間聞き慣れたチャイムも、これで聞くのが最後と思うと名残惜しい気持ちになります。
ふきのとう食べるわけではないが取る
中之条中1年 小渕 玲奈
【評】食べるのが好きなわけでないけれど、目にしたものを摘みたくなるのです。春がやって来た証拠を集めるような思いでしょう。
降りやんだ雨がまだ降る森の中
中之条中1年 萩原 悠太
【評】森の木々が葉にためている雨粒が、風などでもう一度降り注ぐのです。鬱蒼(うっそう)とした森のようすを「降りやんだ雨がまだ降る」で表現。
三学期声変わりした友がいた
中之条中1年 川田 大葵
【評】久しぶりに冬休み明けで会った友だちは、声変わりをして違う声になっていたのです。変声期を迎える成長期の姿をとらえています。
バレンタインあまり期待はしていない
吉岡中1年 武藤 翔太
【評】「あまり期待はしていない」という期待。微妙な心理を描いて巧み。ただ、この笑いは俳句的というよりは川柳的なもののようです。
雪合戦大人も子供も対等だ
安中松井田東中3年 平石 智裕
【評】雪合戦に夢中になって、手加減を忘れている大人の姿を「大人も子供も対等だ」で表現。雪合戦の興奮を愉快な視点で描いています。
旅立つ日春風僕を押してくれ
太田旭中3年 増田 由樹
【評】卒業を迎えての自祝と決意の句。「僕を押してくれ」は単に他力本願の言葉ではなく、自分も頑張るからの思いがあってのものです。
文房具すべて買い換え高校生
渋川小野上中3年 飯塚 一樹
【評】もちろん、すべて買い替える必要はありません。すべて買い替えるのは、新たな気持ちで勉強に取り組もうという作者の決意の現れです。
青空に吹き飛ぶ桜夢を乗せ
六合中3年 篠原 友美
【評】青空に散る桜は旅立ちの希望を乗せています。「ちる桜海あをければ海へちる」(高屋窓秋)の海に散る桜は何を乗せていたのでしょう。

※ 学校、学年は投稿時のものです。