林桂選

2009年5月13日上毛新聞掲載


北風もいっしょにサッカーやっている
前橋粕川小6年 小荷田拓巳
【評】北風の中のサッカー。風の影響でボールもいろいろな飛び方をします。北風も一緒にサッカーをしているようです。
大けやきもう卒業だと教えてる
前橋大胡小6年 茂木 綾野
【評】校庭の大ケヤキに、心の中で卒業の報告をしているのです。六年間見まもってくれた感謝の気持ちをこめてです。
一年の思い出春の風に乗る
中之条中1年 上原 真衣
【評】再びの春風に、入学以来の中学の一年間がよみがえってきているのです。「思い出春の風に乗る」が巧みです。
春スキー恋の歌にのって雪が降る
前橋七中1年 栗原 有加
【評】ゲレンデに流されている音楽は、軽やかな恋の歌なのです。その音楽に合わせるように降る春の雪。
春の池波がボートを運んでく
前橋七中1年 栗原 有加
【評】ボートは波を切って進んでいるのですが、波がボートを乗せて運んでいるようにも見えるのです。視点がいい。
亡き友と一緒に飛び立つ卒業式
邑楽南中1年 根岸 春奈
【評】一緒に入学しながら、卒業を待たずに亡くなってしまった友達。姿を心に収めての卒業は、一緒の卒業なのです。
蝉たちよ時間はそんなに恋しきものか
前橋木瀬中1年 梅沢 美紀
【評】一心に鳴く蝉(せみ)。その声は時間を恋しく思う気持ちからのように聞こえます。蝉ほど時間を大切にしているか自問します。
からっかぜ山をのぼっておりてくる
高崎堤ケ岡小5年 山名 泰生
どしゃぶりだくつの中まで雨が来た
前橋大胡小5年 渋谷 華奈
山の中白い光でそまってる
前橋大胡小6年 飯野 彩芽
太陽が少しまぶしくなった春
前橋大胡小6年 中村 茉由
風がふく桜に向かい走り出す
前橋大胡小6年 飯野 日菜
お母さん温泉入ってりんご顔
前橋粕川小6年 戸塚将太郎
夜の川きれいな光動いてる
吉岡明治小6年 清水 由葵
一年生ランドセルがよろこんでる
前橋山王小6年 寺島 彩乃
夢の中さくらのふとんに身を包む
中之条中1年 寺島 由菜
春の声庭に群がる小鳥かな
中之条中1年 山崎 奈央
畦道で亡き祖父思う蕗(ふき)のとう
中之条中1年 小池 悠介
蒼天に春の息吹を感じとる
中之条中1年 新井 隆史
春休みもうすぐもうすぐもうすぐだ
中之条中1年 斎藤 翔太
月の下風が首もとすりぬける
中之条中1年 唐沢 瑛斗
春夕焼け皆に優しさ分けあたえる
前橋七中1年 栗原 有加
春夕焼け空全部が虹になる
前橋七中1年 栗原 有加
中学の二度目の春がやって来る
六合中1年 干川 裕貴
【総評】今回「校庭のサッカーボールと桜ちる」(小6)という句を入選にしようか、迷いながら選びませんでした。問題は助詞「と」の使い方です。並列の意味の「と」で「サッカーボール」と「桜」を並べるには「ちる桜」で受けなければなりません。この句は「と」ではなく助詞「へ」がベストの選択だったと思います。「校庭のサッカーボールへ桜ちる」です。「てにをは」をいろいろ試してよい言葉を選んでください。

※ 学校、学年は投句時のものです。