林桂選

2009年7月8日上毛新聞掲載


いまさっきかざりつけたよ空の星
前橋桃瀬小5年 角田 里帆
【評】「いまさっきかざりつけたよ」とは、星が出たばかりだということ。星が輝き出す夕刻の美しさを表現しています。
雨の日に桜のじゅうたん女神いる
榛東北小6年 渡辺 貞幸
【評】雨に散り敷いた桜の花びら。女神のために敷いたじゅうたんのようです。女神がいることを確信する作者です。
夏の朝影と2人で自転車こぐ
前橋七中1年 栗原 有加
【評】夏の太陽は、朝から濃い影を作っているのです。自分の影の上で自転車をこいでいると、2人で乗っているよう。
窓からの光のシャワーが目覚ましに
中之条中2年 冨沢 夏未
【評】夜明けの早い夏は、窓明かりで、ついつい早く目が覚めてしまいます。この句では「光のシャワー」が効果的。
一年忌祖父の墓前で俳句詠む
渋川小野上中3年 佐藤 千栄
【評】おじいさんの墓参り。元気で頑張っている報告に、新聞に掲載された俳句を詠んで聞いてもらったのでしょう。
こもれびをあつめてひかるガラス玉
六合中3年 山本  皐(さつき)
【評】ビー玉が一層キラキラ輝いて見える木漏れ日の下。それは光が動いているからです。感受性も輝いている作品。
暗い道しだれ桜の怪獣や
沼田中3年 高坂 歩実(あゆみ)
【評】暗くなって影になったしだれ桜は、まるで怪獣のように見えます。枝垂れた枝ぶりが、怪獣に変身するのです。
桜はね春の雪だよ花ふぶき
前橋大胡小5年 新井 萌香(もえか)
朝が来てまどから見たよツバメの巣
前橋大胡小5年 大竹菜々佳
パーティーで作ったギョウザは117個
前橋大胡小5年 今井隼之介(じゅんのすけ)
春の庭のらねこうっとりひなたぼっこ
前橋桃瀬小5年 富沢 絢愛(あやめ)
きいちごのあまずっぱさがはじけてる
前橋駒形小5年 浦田 涼雅(りょうが)
ならんでるつくしはまるでとうこうはん
前橋山王小5年 平井 美優
しゃくやくの頭重くておじぎする
前橋山王小5年 武藤 優
お母さんのオムライスはたいようのあじ
前橋山王小5年 伊藤 理湖
水面にたてるしぶきだ競走だ
前橋細井小6年 松田 学
風が吹き校舎に響く水の音
前橋細井小6年 設楽 和希
あつい夏水をかぶって日がひかる
前橋細井小6年 渡辺 剛史(つよし)
窓辺のユリ天空の光が恋しくて
前橋七中1年 栗原 有加
夏の日のけむりのような曇り空
中之条中2年 斉藤 有希
夕方は日々おとろえる春の色
中之条中2年 関  直人
新緑と中間テストで夏を識る
沼田中3年 阿部ふみの
靴ずれのような季節の新学期
沼田中3年 阿部 友博
桜ちりまだ風強い帰り道
高崎中尾中3年 江戸 克成
春の朝霞の中を風走る
高崎中尾中3年 青木 駿介
自分の影追われて急ぐ受験生
渋川小野上中3年 唐沢 未来

【総評】「葉桜を瞳で触れる春の朝」(高1)を、良い作品と思いながら採りませんでした。この句のよいところは「瞳で触れる」という詩的表現の確かさ。美しい葉桜に吸い寄せられるような視線を感じさせます。困ったのは「春の朝」。「葉桜」は一般に夏の季語になているからです。季が重なり、なおかつ春と夏で季節違いになってしまっているのです。朝の新鮮な緑に惹(ひ)かれる設定はよいので、「春」を再考したいところです。「葉桜を瞳で触れる風の朝」のように。これで風で揺れる葉桜をいう設定も加えることができます。書き終えた後のチェック項目に加えて推敲(すいこう)してください。