鈴木伸一選

2009年8月12日上毛新聞掲載


ねぼうして自転車とばす桜桃忌
前橋西高1年 小此木優奈
【評】太宰治の忌日が桜桃忌。必死に自転車をとばす自分を戯画化し、太宰の道化的精神との共通点をうかがわせます。
蓮の雨狐の嫁入り通りけり
前橋西高1年 小谷野遥花
【評】日が照っているのに、雨が降る。この不思議な自然現象におそれをいだくのは、今も昔も変わりがないようです。
蝿の群れうわさに群がる人のよう
前橋西高1年 岩崎  駿
木漏れ日に閏五月のこと座あり
新島学園高2年 上原  茜

【総評】漫画家の手塚治虫は、歴史に残る多くのすぐれた作品を残しましたが、実は漫画家という顔のほかに、医学博士という顔も持っていました。こうした漫画以外の分野について学んだことが、結果的に肝心の漫画にも生かされ、内容を深いものにしていることは、作品を読めばすぐに理解できます。また、俳句の方で言えば、俳句近代化の道を切り開いた正岡子規は、新聞記者をしたり、学生時代は野球に熱中したりしました。俳句に関心のあるジュニアのみなさんも、手塚治虫や正岡子規のように、幅広く興味を持ち、さまざまな分野について積極的に学んでほしいと思います。