林桂選

2009年9月30日上毛新聞掲載


駅ビルの駐車場から見る花火
熊谷女子高1年 新井 美紀
【評】偶然揚がった花火とも、よく見えるところを探した結果とも考えられます。意外性のある駐車場が効いています。
ビー玉をなめてみたいな夏の午後
熊谷女子高2年 三輪 優実
【評】梶井基次郎の「檸檬」が、句の下敷きにあるのかもしれません。それにしても、感性のよい句です。
亡き祖母の手作りパジャマに包まれて
熊谷女子高2年 中村 可奈
【評】現在も着られるサイズのパジャマということは、おばあさんが亡くなったのも遠い日のことではないのでしょう。
秋風を肌に感じて課題やる
熊谷女子高1年 佐伯 真琴
橋の上夕焼空に明日を見る
熊谷女子高1年 塚本 紗織
心臓の音だけ聞こえる青の中
熊谷女子高2年 坂本 知子
祭あとまだ眠ってる昼の街
熊谷女子高2年 曽根友梨子
昔ほど遊べる夏はもう来ない
熊谷女子高2年 棚沢 友美
太陽の下で踊った十七の夏
熊谷女子高2年 根岸 円花
振り返る帰宅途中の祭りの音
熊谷女子高2年 杉田 芽衣
君は元気ですか風鈴見て想う
熊谷女子高2年 関  愛美
恋したい高二の夏に金魚すくい
熊谷女子高2年 平塚 祥恵
鬱鬱と土手の草花羨まし
熊谷女子高2年 木村 有里
昼下がりのん気な口笛吹いてみる
熊谷女子高2年 成田 沙紀
盆が来て祖父の寝言は軍歌かな
熊谷女子高2年 佐藤  智
【総評】自由律俳句というのがあります。575の定型にとらわれない形式です。575より短いのを短律、長いのを長律と呼んでいます。大正時代などかつて盛んに作られていましたが、現在は作られることが少なくなってしまっています。新しいリズムを作るのですから、大人には難しい形式だとも言えます。しかし、子ども俳句には豊かな可能性がありそうです。特に575のリズムが難しい小学校低学年では、大人にない鋭い感性を直接定着させる方法として有効です。かつてこの欄で選んだ「おちばはすみっこがすき」(小2・村上亜美加)は、今も私の愛唱句です。もう一度こんな句に出会えたらいいなと思っています。